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2011/11/29号◆FDA情報「ベバシズマブの転移性乳癌適応取り消し」「急性リンパ球性白血病にアスパラギナーゼ承認」「骨髄線維症にRuxolitinibを承認」

  • 2011年12月6日

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年11月29日号(Volume 8 / Number 23)

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◇◆◇ FDA情報 ◇◆◇

・FDAがベバシズマブの転移性乳癌への適応取り消し
・急性リンパ球性白血病(ALL)の治療薬として新たな種類のアスパラギナーゼを承認
・骨髄線維症の治療薬としてRuxolitinib(ルクソリチニブ)を承認

FDAがベバシズマブの転移性乳癌への適応取り消し

11月18日に、米国食品医薬品局(FDA)局長のDr. Margaret Hamburg氏は、ベバシズマブ(アバスチン)の転移性乳癌の治療薬としての承認を取り消すという決定を発表した。2008年2月に、FDA医薬品評価研究センター(CDER)は、この薬剤を製造するGenentech社が2件の検証的臨床試験を実施することを条件に、ベバシズマブのこの適応への迅速承認を行った

「残念なことに、この追加試験では当初のアバスチンへの期待を確認することができませんでした」とHamburg氏は取り消しについて説明する記者会見で述べた。その2件の試験では、ベバシズマブは腫瘍の増殖をわずかに遅らせたが、延命や患者のQOL改善は認められないことが示された。

これらのデータに基づいて、2010年7月1日に、CDERの抗腫瘍薬諮問委員会(ODAC)は、FDAが転移性乳癌に対する迅速承認を撤回するよう推奨することを12対1で可決した。Genentech社からの不服申し立てがあった後、今年7月にも、ODACはこの適応の承認撤回への推奨を変えることはなかった

「ときには、研究者、患者、業界、またFDA自体が望みを抱いているにもかかわらず、厳しい試験の結果が期待はずれとなることがあります」とHamburg氏は記者会見で述べた。「アバスチンが転移性乳癌の治療に用いられた場合にこれがあてはまります」心臓発作や心不全、重度の高血圧、出血などの考えられる重篤なベバシズマブの副作用を考慮すると、「そうしたリスクを正当化できる利益が乳癌患者にもたらされる証拠がないことは明らかです」とHamburg氏は説明した。

ベバシズマブは、転移性大腸癌・腎臓癌、進行した非小細胞肺癌、膠芽腫の治療薬として依然承認されている。Hamburg氏は「FDAは医療現場を規制することはありません」と強調した。そのため、転移性乳癌に対してベバシズマブを用いるかどうかの最終決定は患者と主治医次第となる。「現在、この薬剤を乳癌治療に用いている患者には、リスクと利益について自分の腫瘍専門医と話し合うことを強く勧めます」とも述べた。

この先の試験により、ベバシズマブから利益を得られるであろう転移性乳癌の一部の患者集団が見つかる可能性はある。「Genentech社がそのような試験を続けていくのは大変よいことだと思いますし、アバスチンに反応する患者群が存在するという考え方を裏づける追加的データなどの新たな適応申請に対して、もちろん私たちは今後もオープンに受け入れるでしょう」とHamburg氏は語った。

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急性リンパ球性白血病(ALL)の治療薬として新たな種類のアスパラギナーゼを承認

11月18日に、米国食品医薬品局(FDA)は、急性リンパ球性白血病(ALL)の治療薬としてErwinaze(エルウィナーゼ)を承認した。この薬剤はアスパラギナーゼの一種でErwinia chrysanthemiという細菌由来であり、大腸菌由来の他のアスパラギナーゼにアレルギー(過敏)となったALL患者の治療に用いられる。

アスパラギナーゼは血漿中のアミノ酸であるアスパラギンを分解することによって白血病細胞を死滅させる。白血病細胞は正常細胞とは違ってアスパラギンを合成できないため、アスパラギンの枯渇は白血病細胞に選択的毒性がある。アスパラギンの活性レベルは白血病のコントロールと患者生存に相関していることが知られている。

FDAの承認は、2~18歳の58人の患者を対象とした単一群の臨床試験の結果、また1~66歳の574人の患者を対象としたこの薬剤に対するアクセス拡大プログラムの安全性解析に基づいてなされた。両試験の患者は、大腸菌由来のアスパラギナーゼとペグアスパラガーゼ(化学修飾されたもう一種のアスパラギナーゼ)にアレルギー反応をおこしていた。

単一群の試験では、主要評価項目は、前もって決めたアスパラギナーゼ活性の閾値が投与後48時間または72時間の時点で維持されていた患者の割合であった。この試験の評価可能な患者全員がこれを達成した。

Erwinazeは週に3回、注射で投与する。Erwinazeでの治療に関連する副作用には、重篤なアレルギー反応、膵炎、血中肝酵素の高値、血液凝固、出血、悪心、嘔吐、高血糖などがある。

Erwinazeは、米国内の患者数が20万人未満の疾患用の薬剤に与えられる指定であるオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として指定されている。

骨髄線維症の治療薬としてRuxolitinib(ルクソリチニブ)を承認

11月16日に、米国食品医薬品局(FDA)は中または高リスク骨髄線維症患者用としてruxolitinib[ルクソリチニブ](Jakafi)を承認した。ルクソリチニブルクソリチニブは、この骨髄疾患患者の治療用に特化した薬剤として初めて承認された。

骨髄線維症になると、骨髄が繊維組織に置き換わって、造血が肝臓や脾臓で行われるようになる。この疾患の特徴として、脾臓の腫大、貧血、白血球と血小板数の減少が認められる。症状としては、疲労、腹部不快感、肋骨下痛、腹部膨満感、筋肉痛・骨痛、そう痒、寝汗などがある。

骨髄線維症とその他の骨髄増殖性疾患は、JAK 1および2と呼ばれるチロシンキナーゼ酵素の活性の亢進に関連していて、これらの酵素は細胞の成長と増殖、造血、免疫反応に関わるシグナル経路で重要な役割を果たしている。ルクソリチニブは、1日2回服用の錠剤で、JAK 1および2に結合して阻害し、それが炎症と細胞増殖の減少につながる。

ルクソリチニブの安全性と有効性の評価は、計528人の患者を対象とした2件の臨床試験で行われた。両試験は、利用可能な骨髄線維症の治療に抵抗性であるか、同種骨髄移植に不適格な骨髄線維症の患者を対象とした。一方の試験ではルクソリチニブ投与または現在利用可能な最善の治療、もう一方ではルクソリチニブまたはプラセボの投与を行った。主要評価項目は、両試験とも脾臓の大きさが少なくとも35%減少した患者の割合であった。

どちらの試験でも、脾臓が35%以上縮小した患者の割合はルクソリチニブ群のほうで有意に高かった。ルクソリチニブ群の29%に対して利用可能な最善の治療の群では0%、またルクソリチニブ群の42%に対してプラセボ群では1%であった。プラセボ対照試験では、骨髄線維症関連症状が50%減少した患者の割合は、ルクソリチニブ群のほうがプラセボ群より高かった。

ルクソリチニブによる治療を受けた患者に認められた最も重篤な副作用には、血小板数減少、貧血、疲労、下痢、息切れ、頭痛、めまい、悪心があった。

ルクソリチニブはFDAの優先審査制度(現行の治療法よりも大幅な治療上の進歩が得られる、あるいは十分な治療法が存在しない場合の治療薬となる可能性のある薬剤を6ヵ月で迅速審査する制度)の下で審査された。

この治療薬は、米国内の患者数が20万人未満の疾患用の薬剤に与えられる指定であるオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)として指定されている。

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鈴木 久美子 訳
吉原 哲 (血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院) 監修
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