調査より医師がオンラインミス報告ツールの利用を敬遠する理由が明らかに/ジョンズ・ホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

調査より医師がオンラインミス報告ツールの利用を敬遠する理由が明らかに/ジョンズ・ホプキンス大学

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調査より医師がオンラインミス報告ツールの利用を敬遠する理由が明らかに/ジョンズ・ホプキンス大学

2011年10月3日

“多忙だ”“複雑だ”。これらは、患者の安全および治療の質を改善することを目的としたオンラインミス報告システムを何故利用しないのかと医療従事者に尋ねた時に想像される典型的な理由である。しかし、放射線腫瘍医では最も多い理由はむしろトラブルや恥ずかしい思いをすることに巻き込まれることに対する恐れであることをジョンズ・ホプキンス大学の研究者らが明らかにした。

研究者らはジョンズ・ホプキンス大学、ニューヨーク州ノースショア ロングアイランド ジューイッシュ ヘルス システム(North Shore- Long Island Jewish Health System in New York)、ミズーリ州セントルイス ワシントン大学、およびマイアミ大学の医師、看護師、放射線物理士およびその他放射線専門者らに、放射線治療実施時におけるニアミスあるいはミスの報告に関する質問を含んだ匿名のアンケートをEメールで送った。上記4施設ではそれぞれ、部門内のオンラインシステムによりニアミスおよびミスの追跡を行っている。約274人の医療従事者からアンケート回答があった。

アンケート調査によると、回答からミスおよびニアミス報告システムを最もよく利用している物理士、線量測定士、および放射線療法士に比べ、オンライン報告を日常的に行っていると回答した看護師および医師はほとんどいなかった。回答者のほぼ全員がミス報告は自身の責任であることを認めている。同僚を他の同僚の目の前でトラブルや責任問題に巻き込んだり、また恥ずかしさを味わわせたりすることが医師および研修医から最も多く報告されている。

90%を超える回答者が実際の臨床現場においてニアミスあるいはミスに出会ったことがあると回答している。その大多数はミスよりはニアミスの報告で、どの医療従事者も患者に対する危害を報告していない。病院にはミス報告のための具体的なシステムがあるが、放射線治療に関連した複雑なデータに対応したシステムのあるところはほとんどない。

ジョンズ・ホプキンス大学の放射線腫瘍研修医で、10月2日の第53回米国放射線腫瘍学会(ASTRO)年次総会においてデータの概要を発表したKendra Harris医師は「何故医師がほとんどこの報告システムを利用しないのか、そしてそのギャップを埋めるために病院が取り組めるよう、具体的な理由を理解することが重要である。報告それ自体で終わりではなく、それによって潜在的な危険因子が特定され、医療チームの各メンバーは患者をより安全にすることを可能にするための視点を持つ」と述べている。
よかったことに、忙しいために報告ができない、あるいはオンラインツールが複雑すぎると回答した回答者はほとんどいなかったとHarris氏は述べている。同氏はまた「回答者はミスを報告すべきであり、それらの責任を主張すべきであることを認識している。我々が明らかにした障壁は越えられないものではない」とも述べている。

オンライン報告システムは、責任追及や懲罰を行うためではなく、シンプルかつ質の改善ツールとして広く使用されるべきである。「これらのシステムは懲罰的なものと見なすべきではなく、むしろ治療を改善するための重要な方法である。評価できないものは管理もできない」とHarris氏は述べている。

ほとんどの回答者が放射線治療のニアミスおよびミスの国内報告システムを利用するだろうと回答している。

「有り難いことに、数少ないニアミスおよびミスに関して保存されたデータを収集する国内システムは、治療を改善するために一般的傾向を明らかにし、安全のための介入の実施に役立つかもしれない」とHarris氏は述べている。

本研究には、研究者らの作業時間を除き、特別の財政的支援はなかった。研究の監督はジョンズ・ホプキンス大学のStephanie Terezakis氏およびEric Ford氏が行った。Harris氏、Terezakis氏およびFord氏以外の本研究に関係した研究者らは以下のとおりである:L. Potters and R. Sharma at North Shore-Long Island Jewish Health System; S. Mutic and H. Gay at Washington University in St. Louis; and J. Wright and M. Samuels at the University of Miami.

Web参照先:
ASTRO年次総会:www.astro.org/annualmeeting

演題タイトル:
「ミスから学ぶ:ニアミスおよびミスの自発的報告に関する姿勢および実際に関する多施設アンケート調査」

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金井太郎 訳
須藤 智久(薬学、臨床試験/国立がん研究センター)監修
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本文

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