死亡率の高い乳癌の増殖を促進するタンパクは、新しい薬剤の有望な標的となる/デューク大学 | 海外がん医療情報リファレンス

死亡率の高い乳癌の増殖を促進するタンパクは、新しい薬剤の有望な標的となる/デューク大学

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死亡率の高い乳癌の増殖を促進するタンパクは、新しい薬剤の有望な標的となる/デューク大学

デューク医療ニュースおよびコミニュケーションズによる。

乳癌細胞の核内に存在し、悪性腫瘍の増殖を促進するタンパクが、新しい薬剤の良い標的となりうることを、デュークがん研究所の研究チームが報告した。

Cancer Cell誌で発行され、2011年10月18日に公表された結果から、現在のホルモン療法に反応せず、致死性の特に高いエストロゲン受容体陰性癌とよばれる乳癌の増殖を阻害する潜在的な新しい方法が示された。

「これは治療の選択肢に乏しい一部の乳癌に対する、新しい薬剤標的の検証である。」と、統括著者で、デューク研究所の薬理および癌生物学部門の部門長であるDonald McDonnell博士は述べた。

乳癌の約75%における癌の増殖はエストロゲンにより促進され、これらの癌に対する現在の治療はホルモンの作用を抑制することである。

しかし、乳癌の約25%はエストロゲンによりその増殖が促進されない。この中で最も多い悪性腫瘍に、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)が癌細胞の表面に過剰発現しているHER2陽性腫瘍がある。

この腫瘍に対する治療法は、HER2を不活化し腫瘍の増殖を阻害するために開発されてきたが、癌はしばしば耐性を獲得する。

McDonnell氏らのチームは、癌細胞の核内にありHER2と関連があるタンパクに焦点を当てた。エストロゲン関連受容体α(ERRα)として知られているそのタンパクは、1980年代に同定され、誤ってエストロゲン受容体とされた。ERRαはエストロゲン受容体でなく、そのかわりにエネルギー代謝に関与する遺伝子を制御する。

しかし、ERRαには乳癌の増殖を促進する役割があると考えられる。McDonnell氏のチームは800の乳癌を解析する遺伝子解析を用いて、タンパク活性とエストロゲン陰性悪性腫瘍の悪性度との関連を明らかにした。

「ERRα受容体が活性化している時に、患者の予後はかなり悪い」と、McDonnell氏は述べた。「疑問なのは、それは何故かということです」

異なるホルモン受容体からのシグナルを受けた後に、そのタンパクは癌増殖を促進するようである。1つのトリガーは増殖因子受容体のHER2であり、別のトリガーはインスリン様ホルモンに結合するIGF-1Rである。結果として、HER2またはIGF-1Rが活性しているすべての乳癌においてERRαは活性化しており、このシナリオはエストロゲン受容体陰性癌において高い頻度で生じている。

研究者らは、その活性化を引き起こす全てを知ることなく、まだ開発中である薬剤候補物質を用いて、乳癌細胞モデルのERRαを阻害出来ることを発見した。実験において試験薬剤でERRαを阻害することにより、研究者は癌細胞の増殖を停止させた。

「乳癌の病因において重要な役割を果たしているタンパクが多くあるが、残念ながら、ごくわずかのタンパク活性が薬剤によって阻害されるのです。」とMcDonnell氏は述べた。

「反対に、ERRαの機能を干渉することは比較的容易である。ERRαを活性化する経路を探すかわりに、私たちは標的であるERRαを直接狙うことが出来る。何が上流かは重要ではない。」

「ERRαは他の悪性腫瘍において高い活性を示しているので、新しい薬剤のアプローチを結腸癌、卵巣癌および他の癌に応用出来ます。」とMcDonnell氏は述べた。

「最初の感動は、私たちがエストロゲン受容体陰性癌で重要と考えられる標的を見つけたことです。」とMcDonnell氏は述べた。

研究チームは、より高いERRα活性が、より悪性度の高い乳癌となる理由を研究中であり、研究者らはこの受容体の活性を阻害する新規薬剤の開発を支援している。

McDonnell氏に加え、著者は以下のとおり:Ching-Yi Chang; Dmitri Kazmin; Jeff S. Jasper; Rebecca Kunder; and William J Zuercher.

本研究はNational Institutes of Healthの助成金およびThe American Recovery and Reinvestment Act of 2009の褒賞金を受けた。

著者のZuercher氏はGlaxoSmithKlineの従業員で株主であることを報告した。

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木下秀文 訳
須藤 智久(薬学、臨床試験/国立がん研究センター)監修
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原文

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