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米国生物医学先端研究開発局が放射線防護のため5薬剤の研究開発に資金援助/HHSニュース

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米国生物医学先端研究開発局が放射線防護のため5薬剤の研究開発に資金援助/HHSニュース

2011年9月28日

急性放射線症候群(acute radiation syndrome:ARS)に関連した傷害を治療する5薬剤の研究開発が、米国保健社会福祉省の生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)の援助契約を獲得する事で前進する。

 急性放射線症候群は高用量の有害な(電離)放射線に被爆することが原因である。ARSは多臓器障害、出血、感染症、および感染の原因となる微生物と闘う免疫システムの能力の低下を含む。

 ARSの治療には未だ承認された製品がないため、BARDAは放射線による骨髄、消化管、肺、および皮膚の障害を治療する医薬品の研究開発を支援している。BARDAはこのリストを核爆発による可能性のある熱傷を治療する製品にも拡大したいと期待している。

 今回の援助契約は総額5630万ドルで、例えば簡易型核機器の爆発後のような高レベル放射線による骨髄および消化管の障害を治療できる可能性のある製品開発を目的としている。骨髄および消化管の障害は核爆発後の放射性関連死の死因の大部分を占めている。

援助契約は、カリフォルニア州パサデナのNeumedicines社、 テネシー州ジョンソン市のRxBio社、アーカンソー州リトル・ロックのUniversity of Arkansas for Medical Sciences(UAMS)、ニューヨーク州オシニングのAraim Pharmaceuticals社、カリフォルニア州サン・カルロスのCellerant Therapeutics社に授与された。

「これらの援助契約は放射線の医学的対策手段を必要とする公衆衛生上の緊急事態に取りくみ、同時に他のまだ対処されてない医学的な要求も満たす可能性を持つ製品開発をサポートします」とBARDAのディレクターRobin Robinson博士は述べた。「例えば、それらは癌の放射線治療や化学療法の副作用の治療に日常的に使用できる可能性があります。これらの先進的な研究開発の援助契約は、緊急の公衆衛生上の要求を満たすため、製品化される可能性を持つ薬剤に再度目的を持たせることで達成できることを示し、他の製薬会社と協力者がこのアプローチに続くことを奨励したいと思います」。

今回の1700万ドルのNeumedicines社との援助契約は、組み替えヒトインターロイキン-12製剤であるHemaMaxとして知られる薬剤の安全性および有効性を評価し、HemaMaxの製造プロセスの研究開発を促進するものである。BARDAとの2008年の援助契約ではNeumedicines社はHemaMaxが有害な放射線による骨髄の損傷を減少することを明らかにする概念立証(プルーフオブコンセプト)試験を実施した。今回の援助契約はその試験研究をもとに進められる。

2年間1500万ドルの援助契約で、RxBio社はアポトーシスとして知られるプログラムされた細胞死を阻害することで放射線が誘発する消化器損傷から守る可能性のある薬剤Rx100の有効性を研究する。予備データによると、致死的な全身性放射線暴露後72時間以内に投与された場合、Rx100は損傷を保護または緩和し、生存率を向上させることを示している。また、その援助契約ではRx100の製造プロセスの研究開発も支援する。

2年間450万ドルの援助契約でUAMSはノバルティス社が研究開発し、合意のもとで供給する薬剤SOM230を評価する。ノバルティス社はクッシング症候群として知られるホルモン障害の治療のためSOM230、すなわちパシレオチド(pasireotide)を開発した。予備データでは、この薬剤は消化器系の放射線障害の治療に役立つ可能性を示している。新たな援助契約では、UAMSの治験担当医師は、SOM230を放射線暴露による消化器傷害治療への使用に対して米国食品医薬品局の承認が見込まれるにあたり、ノバルティス社が新たな申請を提出するために必要なデータを作成する。SOM230は、腸内壁の損傷や腸の炎症を悪化させる膵臓からの消化液を減らすことで腸を保護するとみられる。

Araim Pharmaceuticals社は、2年間310万ドルの援助契約で、ARA290が高用量の電離放射線暴露後に24時間以上投与された場合に全生存期間を改善することを評価する。その薬剤は抗炎症性および細胞を保護する特性があり、脳卒中、心臓疾患、腎不全の治療に有望である。この援助契約にもとづいて、製薬開発プロセスの次の段階である、臨床試験および主要な有効性試験を実施する。

これらの新たな援助契約に加えて、BARDAは今回Cellerant Therapeutics社の2010年の援助契約を2年間延長し、1670万ドルを追加援助した。この援助契約のもとで、Cellerant社は高レベルの電離放射線暴露で起こる異常な白血球減少つまり、好中球減少症として知られる疾病の新たな治療法の開発を促進する製造および研究活動を行う。CLT-008と呼ばれるCellerant社の薬剤は、人体が必要とするあらゆる種類の血液細胞に成長できる骨髄系前駆細胞と呼ばれる種類の細胞を使用する。

CLT-008は、患者自身の骨髄が回復中に、生命を脅かす感染や出血から守る役割を持ち、患者の前駆細胞の増加をサポートするために研究開発された。CLT-008は、他の血液疾患および血球や血小板の補充が必要な癌の合併症に使用できるので、骨髄や胎児臍帯血の移植を受ける患者のための支持療法としても有望である。

今回の授与は、急成長するBARDAの放射線障害の治療と診断の研究開発プログラムの一部である。BARDAは急性放射線症候群による疾病や損傷を治療する可能性のある製品や、核爆発や放射線事故後の人体の放射線の吸収量を測定するための診断装置の改良について、より一層の提案を求めている。提案はwww.fbo.gov のBroad Agency Announcement BARDA-CBRN-BAA-11-100-SOL-00009 で受理される。

BARDAは米国保健福祉省の対策準備次官補室の内局で、緊急の公衆衛生にたいする脅威に対抗するワクチン、薬剤、療法、診断ツールや非薬剤製品の先進的な研究開発、革新、統合および製造基盤整備について包括的に統合された多岐にわたる援助政策を実施している。これらの脅威には化学、生物学、放射線学上および核の脅威、インフルエンザの大流行、新興感染症の拡大を含んでいる。

BARDAおよび医学的対抗策の先端研究開発についての詳細な情報はこちら(www.phe.gov およびwww.medicalcountermeasures.gov)を確認のこと。援助契約の機会と授与はこちら(www.fbo.gov)で公開されてる。

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岩崎 多歌子 訳
辻村 信一 (野獣学/農学博士、メディカルライター)監修
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原文

 

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