2011/10/04号◆ゲスト報告「NCIアドボカシー連携室長:アドボカシー参加型で研究を進める」 | 海外がん医療情報リファレンス

2011/10/04号◆ゲスト報告「NCIアドボカシー連携室長:アドボカシー参加型で研究を進める」

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2011/10/04号◆ゲスト報告「NCIアドボカシー連携室長:アドボカシー参加型で研究を進める」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年10月04日号(Volume 8 / Number 19)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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◇◆◇ ゲスト報告 ◇◆◇

 

NCIアドボカシー連携室長:アドボカシー参加型で研究を進める

 

癌とはいくつもの疾病の集合体であり、高度に複合的な疾患であると研究者や臨床医は理解を深めるようになった。それにしたがって癌の研究や治療アプローチの再編もなされた今日、癌のアドボケート(※サイト注:患者や家族、およびその他の癌の支援者や組織)たちは、効果的なアドボカシー(※癌支援活動)もまた複合的で多面的な事業であり、アドボケートが果たしうる役割は多種に及ぶことを認識するに至った。

NCIのアドボカシー連携室(Office of Advocacy Relations; OAR)の使命は、癌のアドボカシー活動を支援することである。そのために、OARでは、さらに効率よく癌研究を推進し、患者の転帰を改善する方法を見つけるために、米国国立癌研究所(NCI)がアドボカシー界と力を合わせる機会を探し出し、円滑な協働を推進してきた。OARの重要業務は、アドボケートに自らの持つ経験・知恵・思いを伝えるために必要な、情報やツールおよび機会を提供することである。

従来の見方では、癌アドボケート、さらに言えばあらゆる病気のアドボケート一般は、患者とその家族を支援し啓発を行うと考えられてきた。これらの役割は、癌アドボカシー界にとって今なお肝要である。

しかしながら、ここ十年来、癌アドボケートたちはそれ以外にも重要な役割を果たしてきた。たとえば、研究過程への参画(※リサーチ・アドボケート)や、癌の研究・治療に影響する公共政策の策定などにかかわってきたのである。そこに含まれる活動の例を挙げれば、ピアレビュー委員としての任務、研究者とのまたは研究者同士の協力形成、研究資金の提供、情報収集・情報伝達・広報の担当、政策立案者・研究者・患者会との情報交換などである。

OARは、臨床試験のデザイン、研究計画の審査、また、たとえばNCI地域がんセンタープログラム(Community Cancer Centers Program)やSPORE(優良研究特化プログラム)など広範な研究活動に患者全体としての視点を取り入れることを目ざすNCIの研究者や職員とアドボケートをつなぐ。

NCI総長主導消費者連携グループ(Director’s Consumer Liaison Group:DCLG)は、地域の利害関係者だけで構成されたNCIの連邦助言委員会であるが、ちょうど先週、癌の臨床試験に対する最先端のアプローチを学び議論するために会合をもったばかりである。その会合においてDCLGのメンバーは、臨床試験の過程を深く吟味することができた。とりわけ、ゲノム学の進歩がいかに臨床試験の新アプローチをもたらしているかを、NCI、米国食品医薬品局(FDA)、そして地域の研究者から学んだ。

これは、単なる教育のための教育ではない。患者のため家族のために尽力しているDCLGのメンバーは、患者や家族全体の経験に根ざした活動により、そこで学んだことを地元に持ち帰り、新規臨床試験の設計や参加者募集の助けとなるように生かすことができるのである。

OARでは、癌研究を進展させ、患者の転帰を改善するというNCIの使命をさらに推進するために前進し続けている。その原動力となっているものには、たとえば、NCIのリサーチ・アドボケート・ワーキンググループ(Advocates in Research Working Group; ARWG)が今年出した報告書などがある。数年前にDCLGが設立したARWGの任務は、癌アドボカシー界を巻き込むためのNCIにおける全般的努力を検証し、その効率化と強化をはかる方法を助言することであった。

ARWGの報告書はいくつかの重要な勧奨事項を含んでおり、OAR主導でNCIがその多くを実施しようと努力している。

改善策のひとつは、より充実したアドボケートのための訓練プログラムを作ることをめざしたものである。その第一歩として、NCI、米国国立衛生研究所(NIH)、アドボカシー団体、学会などが作成したトレーニング用の教材を集めたオンライン・レポジトリ(※集約サイト)を開発中である。これは、アドボケートが臨床試験過程ならびに研究結果を理解および伝達できるよう助け、リサーチ・アドボケートとしてもっと有効に参画できる方法を見いだすのに役立つツールや教材を集約した中枢として機能するものとなる。来年にはウェブサイトを立ち上げ、運用を開始することを目指している。

OARは召集者として、NCI内部、および外部の利害関係諸団体との間に提携すべき領域を見いだすという、固有の役割をもつ。OARは最近、NCIのいくつかのオフィスおよび数多くの疾患別アドボカシー組織と協力して、それらをまたがって資金提供を受けて遂行されている研究の分析を行った。その目的は、研究の空隙や、進展を阻害する障壁を取り除くために、どうすれば諸組織が協働できるかを明らかにすることであった。

OARの最終的な任務は、癌研究を進展させて癌患者、サバイバー、家族によりよい結末をもたらすような関係やパートナーシップを構築することである。今日、癌研究事業においてアドボケートはかつてないほど重要なパートナーであり、アドボケートの関与はこの先、さらに欠かせないものとなるであろう。

—Shannon Bell  (NCIアドボカシー連携室長)

関連記事:「ASCOでの癌アドボケイトたち~目的に向けてつながる

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盛井 有美子 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院) 監修
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