2011/10/04号◆各界のトピック「NCI総長主導消費者連携団体(DCLG)による臨床試験改善への取り組み」 | 海外がん医療情報リファレンス

2011/10/04号◆各界のトピック「NCI総長主導消費者連携団体(DCLG)による臨床試験改善への取り組み」

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2011/10/04号◆各界のトピック「NCI総長主導消費者連携団体(DCLG)による臨床試験改善への取り組み」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年10月04日号(Volume 8 / Number 19)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

PDFはこちらからpicture_as_pdf

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◇◆◇ 各界のトピック ◇◆◇ 

 

 

NCI総長主導消費者連携団体(DCLG)による臨床試験改善への取り組み

NCI総長主導消費者連携団体(DCLG: Director’s Consumer Liaison Group)は、アドボカシー活動のリーダーから構成される連邦諮問委員会である。彼らはNCIを助けて、臨床研究における科学的側面以外での障壁を特定したり、利害関係者と連携し意思疎通を図る場で助言や見解を提供しているリーダーたちである。9月21~23日にワシントンD.C.でその会合が開催され、臨床試験過程の最新化および向上を図るためNCIの取り組みにおけるアドボケートの役割について意見を聴取し議論がなされた。

NCIのアドボカシー広報室(OAR:Office of Advocacy Relations)が統括するDCLGの16人のメンバーは、癌解明における科学の進歩によっていかに臨床研究の実施方法が変わってきたかについて、NCI他の研究者によるプレゼンテーションに耳を傾けた。議論の内容は、ゲノム学および免疫学における発見、新たな画像技術、腫瘍の経路を標的とする薬剤の開発、標的化治療の診断法および治療法の同時開発、臨床試験のアダプティブデザイン、および第0相(フェーズゼロ)臨床試験などであった。

より効果的な臨床試験デザイン

試験がどのようにデザインされるかにより、検証される治療法の成功が左右される場合がある。癌ゲノムミクスおよび細胞のメタボロミクス(細胞の生化学的代謝過程の研究)の最新知見を利用して、第2相試験で新治療が奏効するとみられる患者を特定することができれば、その後の第3相試験は、それらの遺伝子および代謝プロファイルをもつ患者に治療対象を絞ってデザインすることで、広範な集団では隠れていたであろう結果が顕著に現れうる。特有の分子プロファイルを有する患者に効果がある薬剤では、こうした的を絞ったアプローチにより有効性を示せる可能性が高く、より小規模でよりコスト効率の高い第3相試験が可能となる。

しかし、このアプローチを実行するには障害がある。例えば、そのようなタイプの患者を探し出すためには、新たに癌と診断された患者に対して、こうした試験についての説明が必要であることや、大多数が適格とならない可能性を前提に試験参加者を募集しなければならないことなどが挙げられる。サミュエル・ワックスマン癌研究財団のSurvivor and Patient Advocacy Programs(サバイバーおよび患者のアドボカシー・プログラム)の事務局長で DCLGグループ長のGwen Darien氏は、より効果的な臨床試験へ向けての改善案をサポートするために、アドボカシー団体がこうした重要な課題にどのように関与できるかについてグループ討論を行った。

治験審査委員会の教育

NCI癌研究センターの臨床科学部長Dr. Lee Helman氏が強調した他の主要課題は、治験審査委員会(IRB)の教育の必要性である。各治験実施施設および医療施設において臨床試験デザインの承認に関与するIRBだが、このような研究的試験の要件の変化に対応していない可能性があること、特に、癌の分子標的薬の効果を評価する鍵となる遺伝子および他の分子データを同定するためには、患者から生物検体を採取する重大な必要性があることを同氏は述べた。

最新臨床試験の技術面について「アドボケートは、相対的なリスクとベネフィットに関して患者の視点からIRB委員を教育するため、IRBと接触しさらにその一員となる必要があります」とOAR局長のShannon Bell氏は提案した。スーザンG・コーメン乳がん財団のアドボケート兼ボランティアでDCLGメンバーであるCheryl Jernigan氏は、アドボケートがIRB参加者のトレーニングおよび認定を行う全国の専門家組織を指定することを提案している。実現すれば、現代の抗癌剤試験デザインの要件についてIRB委員への教育が可能となり、それらの組織はアドボカシー団体のよきパートナーとなると思われる。

DCLGメンバーは、他にも臨床試験に関する重大なアドボカシーの問題点を特定している。臨床試験における患者の分子スクリーニングへの保険払い戻しの支援、および癌の分子標的薬で利益を得る患者の判定に必要な遺伝子およびバイオマーカーのデータの重要性を医療従事者や患者へ教育すること、そして癌患者において、臨床試験への参加が不適格とみなされる肥満などの癌以外の健康上の問題が深刻化していることに対する解決策の必要性などが挙げられる。

—Bill Robinson

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栃木 和美 訳
須藤 智久 (国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)  監修
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