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2011/10/04号◆特集記事「一部の進行乳癌患者に併用療法が利益をもたらす可能性」

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2011/10/04号◆特集記事「一部の進行乳癌患者に併用療法が利益をもたらす可能性」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年10月04日号(Volume 8 / Number 19)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

一部の進行乳癌患者に併用療法が利益をもたらす可能性

2種類の抗癌剤の併用が、ホルモン療法に反応しなくなった閉経後の進行乳癌患者に対する新たな治療方法となるかもしれないことが、先週ストックホルム(スウェーデン)で開催された科学会議で発表された。

この試験的治療とは、エベロリムス(アフィニトール)とエキセメスタンの併用である。第3相臨床試験で、この併用療法を行った患者の無増悪生存期間の中央値は11カ月、対照であるエキセメスタン単独療法の患者ではおよそ4カ月であった。

「このベネフィットは注目に値します」と、欧州合同癌学会(European Multidisciplinary Cancer Congress)で試験結果を発表した主任研究員であるマサチューセッツ総合病院のDr. José Baselga氏は述べた。同氏によると、この試験に参加した多くはすでに複数の治療歴がある患者であった。

米国では、エベロリムスは進行腎臓癌と一部の膵臓癌に対する治療薬として承認されている。この薬剤は、多くの癌細胞で非常に活性化し、細胞の成長と増殖を促進するシグナル伝達経路に関与するmTORと呼ばれるタンパク質を阻害する。アロマターゼ阻害剤であるエキセメスタンは、転移性乳癌の治療に用いられており、他のアロマターゼ阻害剤に耐性が出た場合にも効果が期待できる。

これらの薬剤の併用は、進行乳癌患者に対する新たな治療の一つとなる可能性を示していると、Baselga氏は欧州会議で指摘した。また、ビデオインタビューで、本試験は「おそらく、ER(エストロゲン受容体)陽性の転移性乳癌に対する一番有益な試験」であると述べた。

初期の中間解析結果により併用療法の無増悪生存期間の改善が示され、この7月、BOLERO2と呼ばれる本試験は中止になった。

「これらは素晴らしい結果です」と、本試験には関与していないNCI癌治療・診断部門の乳癌治療リーダーであるDr. Jo Anne Zujewski氏はコメントした。

全生存に関するデータはまだ公表されていないが、Zujewski氏は、この併用療法は一部の乳癌患者の新たな治療選択肢となる可能性があることに同意し、副作用は、ほとんどの場合対処可能であったと述べた。

本試験は、24カ国の724人の患者を対象として実施された。参加者全員がアロマターゼ阻害剤(レトロゾール又はアナストロゾール)の服用経験があり、ほぼ半数はタモキシフェンそして3分の2は化学療法による治療を受けていた。

本試験のスポンサーであるノバルティス社は、本年中にエベロリムスのER陽性進行乳癌治療に対する承認申請を行う予定である。

「エベロリムスが(この新たな適応について)承認されないということはありえないでしょう」と、エモリー大学ウインシップ癌研究所、乳癌トランスレーショナル研究プログラムのディレクターであるDr. Ruth O’Regan氏は述べた。同氏も本試験には関与していない。

O’Regan氏は、この併用療法は、ホルモン療法に効果が認められなくなったER陽性進行乳癌の治療において化学療法に代わるものとなる可能性があると考えている。

ホルモン療法に耐性が生じている場合、さらに別のシグナル伝達経路が活性化しているのだと、O’Regan氏は説明した。急速に分裂する細胞をターゲットとする化学療法とは異なり、mTOR阻害剤は、成長促進シグナル経路をブロックする可能性がある治療の1つである。

多くの研究室内の試験では、このアプローチの可能性を示唆している。「今回の試験で素晴らしいのは、この戦略が有効であることが患者参加の試験によって確認できた点です」と、エベロリムスの臨床試験を率いたO’Regan氏は述べた。

この結果は、エベロリムスと乳癌に関する最近の知見を裏づけるものとなった。例えば、昨年12月のサンアントニオ乳癌シンポジウムでは、エベロリムスとタモキシフェンの併用療法試験がER陽性/HER2陰性の転移性乳癌に対して有効であったことが公表されている。

そして2009年、Basela氏らは、新たにER陽性乳癌と診断された患者に対して、レトロゾールにエベロリムスを併用した治療は、レトロゾール単独より効果があったと発表した。

次のステップは、「このデータを消化」することであるが、 「mTOR阻害は、ER陽性乳癌のすべての病期において重要な役目を果たしていると思います」と、Baselga氏はストックホルムにて述べている。

— Edward R. Winstead

 

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野川 恵子 訳
上野 直人(乳癌、幹細胞移植・細胞療法/MDアンダーソンがんセンター) 監修
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