BRCA遺伝子変異を有する乳癌患者は前世代よりも約8年早く診断される/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

BRCA遺伝子変異を有する乳癌患者は前世代よりも約8年早く診断される/MDアンダーソンがんセンター

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BRCA遺伝子変異を有する乳癌患者は前世代よりも約8年早く診断される/MDアンダーソンがんセンター

本研究結果はBRCA遺伝子変異を有する女性のカウンセリングやスクリーニングに影響を与えるであろう

MDアンダーソンがんセンター

2011年9月8日

ヒューストン・テキサス州―テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの新しい研究によると、有害な遺伝子変異を有する女性は乳癌や卵巣癌の罹患歴のある前世代の親族よりも約8年早く乳癌と診断される。

MDアンダーソンDepartment of Breast Medical Oncologyの准教授であるJennifer Littton医師によると、本研究結果は、Cancerの電子版に公表され、2009年度乳癌シンポジウムで初めて発表されて以降更新されたものであるが、本疾患のリスクの最も高い女性に対して今後カウンセリングする方法やスクリーニングする方法に影響を与えるであろう。

本研究の筆頭著者であるLittton氏は、「我々の臨床現場では、有害なBRCA遺伝子変異を有する女性が母親や叔母よりも早く本疾患を診断されていることに気付いていた。本研究では、MDアンダーソンで治療を受けてBRCA検査を受けた女性を対象とし、これまでみてきたことが予測という現象として科学的に証明できるかどうかを検討した」と述べる。

すべての乳癌の5%~10%では乳癌および卵巣癌のリスク増加と関連するBRCA1またはBRCA2の変異が認められると推定されている。米国癌協会(ACS)によると、BRCA1またはBRCA2を有する女性では生涯で乳癌を発症するリスクが60%である一方、一般集団の女性では12%である。

より高いリスクを考慮して、BRCA変異が認められる女性または母親や一方の親族の叔母に同変異が認められる女性は、25歳になるとスクリーニングを受ける。2007年にACSガイドラインでは、磁気共鳴画像法(MRI)は早期でも小さい腫瘍を検出できると考えられることから、マンモグラフィの補完として最もリスクの高いこれらの女性の監視にMRIを追加した。Littton氏によると、予防的乳房切除の検討も監視の一環である。

Littton氏は、「現在、BRCA陽性の女性に対し、25歳までにまたは最も若い罹患家族よりも5年~10年早くスクリーニングを受け始めるように推奨している。しかし、我々の研究結果から、今後の世代についてこれらの傾向を追跡し続け、最もリスクの高い女性に最善の助言およびケアをするために変更を加える必要があるかもしれないと判明した」と述べる。

本レトロスペクティブ研究では、2003年~2009年のMDアンダーソンClinical Cancer Genetics Programのハイリスク・プロトコルに参加したBRCA陽性乳癌女性を132名特定した。各女性の家系を調査したところ、106名において前世代にBRCA関連の乳癌または卵巣癌に罹患した女性の家族がいると判明した。より年配(第1世代)の女性およびより若い(第2世代)女性について診断時の年齢、変異部位および誕生年を記録した。

本研究から、第2世代では診断時の年齢の中央値が42歳である一方、第1世代では48歳であることが判明した。1つの家族内の世代を比較すると、差の中央値は6年であった。新しい数学モデルを使用して予測因子について評価したところ、世代間の年齢差は7.9年であった。

Littton氏は、「これらの結果は明らかに重要なことであり、これらの女性のスクリーニングや遺伝カウンセリングに影響を与えるであろう。BRCA陽性乳癌女性において、実際に真の予測因子を発見した。すなわち、表現型や世代ごとにより早く発症する癌である。このことは、本変異が関与するだけでなくライフスタイルや環境的因子も役割を担っている可能性を示唆している」と述べる。

本研究で確認されたのは、疑いが強い場合にはより若い年齢であってもBRCA変異を有する女性はガイドラインに従ってスクリーニング(マンモグラフィ、MRIおよび予防的乳房切除の検討)を受け続けるべきであるということである。このように述べるLittton氏は、本研究ではMRIによるスクリーニングを追加したことで診断が変更された場合があったと記している。

Littton氏によると、コホートにおける女性の数が比較的少数であったことや第2世代の女性は家族歴の情報を提供しているため、思い出しバイアスの可能性を考慮するとさらなる分析が必要である。

同氏は、本研究のフォローアップとして、より早期の診断を可能とするために生物学的根拠を研究する予定である。

本研究は、Nellie B. Connally Breast Cancer Research Fundによる資金提供を受けた。

すべてのMDアンダーソン研究に参加したLittton氏以外の著者は、主任であるGabriel Hortobagyi医師、本研究の統括著者であるBanu Arun医師、Department of Breast Medical Oncology所属のAna Maria Gonzalez-Angulo医師、Kaylene Ready氏、Angelica Gutiterrez Barrera氏、Huiqin Chen氏、Department of Surgery所属のFunda Meric-Bernstam医師、Department of Gynecologic Oncology所属のKaren Lu医師、Department of Epidemiology所属のCarol Etzel博士およびDepartment of Diagnostic Radiology所属のHuong Le-Petross医師である。

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仲里芳子 訳
原 文堅(乳腺科/四国がんセンター) 監修
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原文

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