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分子標的癌治療薬耐性を克服する方法に向けた研究/ダナファーバー研究所

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分子標的癌治療薬耐性を克服する方法に向けた研究/ダナファーバー研究所

分子標的癌治療薬耐性を克服する方法に向けた研究

2011年9月7日、タグ:結腸癌、EGFR、分子標的療法

ダナファーバー癌研究所の研究者らと米国外にいる彼らの研究者仲間らは、広く用いられている癌治療薬の効果を回避することを癌細胞に可能にしている、1対の代替経路を癌細胞中に発見した。9月7日発行のScience Translational Medicine誌に発表された研究によると、分子標的療法と併せてこの経路を妨害することにより治療薬の有効性を回復したり、あるいは高めることが出来るかもしれないという。

本研究は、上皮成長因子受容体(EGFR)として知られる構造を阻害することで癌細胞の成長を阻害する抗体である治療薬セツキシマブに焦点を置いたものであった。セツキシマブは結腸直腸癌あるいは頭頸部の扁平上皮細胞癌の多くの患者において有効である一方、その効果が1年以上続くことは稀で、なかには治療薬の効果が全くない患者もいる。

研究者らには、セツキシマブに対してはじめは反応を示していた癌が何故耐性を示すようになるのか、あるいはどうすれば耐性を克服出来るのか今日までわかっていなかった。

ダナファーバーのPasi Jänne医学博士と、前ダナファーバー、現在は日本の大阪にある近畿大学医学部のKimio Yonesaka医学博士を筆頭とする研究者らは最新の研究において、いくつかのセツキシマブ耐性癌細胞においてERBB2と呼ばれるタンパク質が、セツキシマブが誘因する“成長を止める”信号を回避するように、活発に“成長”信号を送っていることを発見した。研究者らは、ERBB2の活発化はこのタンパク質の親遺伝子であるHer2/neuの過剰供給によって生じるか、あるいは高レベルのタンパク質ヘレグリンによって誘発された関連するタンパク質ERBB3により生じることを発見した。いずれの場合においても、新たな成長指令はセツキシマブによる影響を受けない。

「ERBB2は、セツキシマブによって通常阻害されない重要な信号伝達経路を活性化し、セツキシマブの働きを妨害する。ERBB2はセツキシマブの影響を受けないことから、この方法は癌が治療薬に対して耐性を得る簡単な方法である」と本研究において近畿大学Kazuhiko Nakagawa医学博士と共上級著者であるJänne氏は言う。

研究結果から、セツキシマブに対して治療開始時より、あるいは治療開始後に耐性を示す癌に対して、セツキシマブとERBB2阻害薬を併用することが効果的な治療となる可能性があることを示唆していると本研究の著者らは言う。このような阻害薬はいくつかが既に承認されており、また他にも現在臨床試験中のものがある。

「わたしたちの研究結果が、セツキシマブ耐性を克服することを目的とした臨床試験へと発展することのきっかけとなることをわたしたちは願っている。わたしたちはセツキシマブとERBB2の併用の効果がある可能性のあるセツキシマブ耐性患者の選択において利用することのできる複数のバイオマーカーを特定した」とYonesaka氏は言う。

Jänne氏は、結腸直腸癌の最大40%が最初の診断時にセツキシマブ耐性であると推定している。同氏は、セツキシマブ耐性は多くの場合においてERBB2経路が原因である可能性があるが、現在のところ発見には至っていないが同じような役割を果たしている経路が間違いなく他にもあるとも述べている。セツキシマブ耐性におけるERBB2の役割を確認するために、またERBB2阻害薬およびセツキシマブの臨床試験についての戦略を策定するためのさらなる研究が必要である。

本研究は、National Institutes of Health、the American Cancer Society、the William Randolph Hearst Foundation、およびthe Hazel and Samuel Bellin research fundからの助成金により実施された。

本論文の共著者は以下の通りである: Kreshnik Zejnullahu, Dalia Ercan, Andrew Rogers, Juliet Philips, MS, Jason Sun, Takafumi Okabe, MD, PhD, Jeffrey Swanson, MD, and Ramesh Shivdasani, MD, PhD, Dana-Farber; Isamu Okamoto, MD, PhD, Taroh Satoh, MD, Masayuki Takeda, MD, PhD, Yasuhito Fujisaka, MD, Toshio Shimizu, MD, PhD, Osamu Maenishi, Hiroyuki Itoh, MD, Kiyotaka Okuno, MD, Minoru Takada, MD, Masahiro Fukuoka, MD, and Kazuto Nishio, MD, PhD, Kinki University, Osaka, Japan; Federico Cappuzzo, MD, Massimo Roncalli, MD, and Annarita Destro, PhD, Instituto Clinico Humanitas, Rozzano, Italy; John Souglakos, MD, PhD, University of Crete, Heraklion, Greece; Yonggon Cho, and Marileila Varella-Garcia, University of Colorado Cancer Center, Denver; Koichi Taira, MD, and Koji Takeda, MD, Osaka City General Hospital, Japan; and Eugene Lifshits and Jeffrey Engelman, MD, PhD, Massachusetts General Hospital.

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金井 太郎 訳
畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)監修
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原文

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