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乳癌化学療法は術前と術後で効果は同等/MDアンダーソンがんセンター

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乳癌化学療法は術前と術後で効果は同等/MDアンダーソンがんセンター

一部の女性で乳房切除を回避できる可能性も

MDアンダーソンがんセンター

2011年9月8日

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究によると、化学療法を乳房温存療法(BCT)の前後いずれで行うかは長期間の局所および領域の転帰に影響を及ぼさず、治療の成功は化学療法のタイミングよりも生物学的因子によるところが大きい。

2011年乳癌シンポジウムで本日発表されたこの研究では、術前補助化学療法(手術前)によって多くの場合乳癌の腫瘍が縮小し、BCT、すなわち乳房の一部のみを切り取る乳腺腫瘍摘出術に放射線療法を加えた治療の適応が増加することも明らかになった。

「臨床的なステージが2または3の乳癌患者でも、化学療法後のBCTで良好な転帰を示し、乳房切除が必要ないこともあります」と腫瘍外科助教で研究の代表著者であるElizabeth Ann Mittendorf医師は述べている。「腫瘍の分子特性などの因子は治療の成功に影響を及ぼしますが、化学療法と手術の順序は関係ありません」。

1987~2005年にMDアンダーソンがんセンターで乳癌の治療を受けた約3,000人のレトロスペクティブ研究でも、過去の複数の研究でBCTがある一定の患者の癌を高い割合で制御していることが確認された。

2つの治療アプローチで同等の結果
調査した患者のうち78%は手術後に、22%は手術前に化学療法を受けた。全体では、予後不良因子の多い患者ほど、術前化学療法を受ける傾向がみられた。

5年後および10年後の局所/領域無再発生存割合は両群とも良好で、術後化学療法群ではそれぞれ97%と94%、術前化学療法群では93%と90%であった。

癌のステージやグレード、患者の年齢、腫瘍のホルモン表現型などの特性が不良であることを加味すると、生存率は両群で実質的に同等であったとMittendorf医師は述べている。

術前補助化学療法では、患者の20%で病理学的に完全奏効し、化学療法実施前にステージ2または3であった患者のほぼ半数でステージが下がり、化学療法後のBCTが多くの患者で有効である可能性が高まった。

今後の展望
「この研究は、適切にBCTが適応された患者は、たとえステージ3の乳癌でも、局所/領域の制御が良好であることを示唆しています。最も重要なことは、あらゆる因子を総合して、このアプローチで最も利益を得られる患者を決定することです」(Mittendorf医師)。

同研究グループは、2005年以降にMDアンダーソンで治療を受けた患者に対象を広げようとしている。

「2005年以降、化学療法に分子標的薬療法を加えるなど、治療技術が向上しました。今後、新しい薬剤の効果が出て、術前にこれらの治療を受けた患者にとってさらに望ましい結果が出ると予測しています」。

MDアンダーソンの他のチームメンバーは次のとおりである。Thomas Buchholz, M.D.(放射線腫瘍学部門)、Susan Tucker, Ph.D.(バイオインフォマティクスおよび計算機生物学部門)、Funda Meric-Bernstam, M.D.、Henry Kuerer, M.D., Ph.D.、Isabelle Bedrosian, M.D.、Gildy Babiera M.D.、Merrick Ross, M.D.およびKelly Hunt, M.D.、Min Yi, M.D., Ph.D.(腫瘍外科部門)、Ana Gonzalez-Angulo, M.D.およびGabriel Hortobagyi M.D.(乳腺腫瘍内科部門)。

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月橋純子 訳
原野 謙一(乳腺科・腫瘍内科/国立がん研究センター中央病院) 監修 ********************

原文

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