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NIHの研究により、HPVワクチンの2回接種で、フルコースと同じ予防効果が得られる可能性を発見

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NIHの研究により、HPVワクチンの2回接種で、フルコースと同じ予防効果が得られる可能性を発見

NCIプレスリリース2011年9月8日

4年間の追跡調査の結果、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン「サーバリックス」(Cervarix)の2回接種で、現在の標準レジメンである3回接種と同等の予防効果が得られることを、米国国立衛生研究所(NIH)の一部門である米国国立癌研究所(NCI)の研究者および同僚研究者が確認した。この研究結果は、コスタリカにおいて地域ベースで行われたサーバリックス臨床試験のデータに基づいており、2011年9月9日付のJournal of the National Cancer Institute誌電子版に掲載された。

世界中で、毎年およそ50万人が新たに子宮頸癌と診断されており、約25万人の女性がこの疾患で死亡している。こうした新規患者や死亡者の圧倒的多数が、資源に恵まれない国の人びとである。子宮頸癌の主な原因は、HPVの持続感染である。サーバリックスは、HPV16型および18型に起因する子宮頸癌を予防するために米国食品医薬品局(FDA)が承認した2つのワクチンのうちの1つであるが、この2つのHPV型で世界中の子宮頸癌の原因の70%を占めている。同ワクチンは、6カ月の間に3回の接種を行うように意図されている。これまでに、研究者らは、HPVの持続感染に対する同ワクチンの予防効果を最長8年にわたり観察してきた。予防期間の上限を確定するための研究は継続中である。

【写真】子宮頸癌、具体的には子宮頸部の扁平上皮細胞癌を示す細胞診標本。細胞組織は、パパニコロー染色で染色されており、200倍に拡大されている。

低資源国の若者集団に3回の接種を行うという実施上の問題だけでなく、ワクチンの接種費用は、2回の接種を上回る。米国のような富裕国でも、計3回のワクチン接種を完了する若年女性はわずかである。米国疾病対策予防センター(CDC)によると、米国では2010年に13~17歳女児の約49%がワクチンの初回接種を受けたにもかかわらず、3回の接種をすべて受けたのは32%にすぎない。米国で普及しているHPVワクチンは「ガーダシル」(Gardasil)で、サーバリックスとは製剤形態が異なる。ガーダシルは、HPV株16型と18型に加えて6型と11型を標的にすることから、生殖器疣も90%まで予防できる。

NCIが支援するコスタリカのワクチン臨床試験は、サーバリックスの有効性を地域ベースで評価するようにデザインされた。18~25歳の女性が無作為に割り付けられ、HPVワクチンあるいは対照薬としてA型肝炎ワクチンの接種を受けた。研究者らは、本試験に参加した女性7,466人全員に、指定ワクチンを計3回接種する予定であったが、参加者の約20%がHPVワクチンもしくは対照薬ワクチンの接種を1~2回しか受けなかった。女性の3分の1は、妊娠したか頸部異常が疑われたことから、一連の接種を完了しなかったが、こうした理由が偏った研究結果を招く可能性は低いと考えられる。

研究者らは、4年間の追跡調査の結果、ワクチンの2回接種は、HPV16型と18型による持続感染に対して、計3回の接種レジメンと同様に予防効果が高いことを見出した。研究者らは、1回の接種だけでも高レベルの予防効果を観測したが、通常、同種同効薬は追加接種(ブースター)を必要とすることから、1回接種の長期有効性については慎重であった。1回接種の有効性と、1回および2回接種の予防期間を評価するためには、さらなる研究が必要である。

「われわれの研究から、2回のHPVワクチン接種プログラムは効果的であるというエビデンスを得ました。3回の接種を少数の女性に行なっている標準プログラムよりも、一人につき少ない回数の接種をより多くの女性に行うことで、子宮頸癌の発症率を下げることができるかも知れません」と主著者で、NCI癌疫学・遺伝学部門の研究者でもあるAimée R. Kreimer博士は述べた。「本当に知りたいのは、接種回数を減らしても予防期間が十分かどうかということです」。

今回のコスタリカ人女性を対象にしたサーバリックスワクチン臨床試験の結果は、HIV感染、栄養不良、風土病によって免疫反応に影響を受けた人びとの集団など、すべての母集団に適用するわけではない、とKreimer氏は強調している。さらに、サーバリックスとはワクチンの製剤形態が異なるため、FDAが認可している別のHPVワクチン、ガーダシルで同様の結果が得られるかどうかは明らかではない。

「われわれの研究結果を他の集団で確認すると同時に、3回未満の接種による予防期間を数値化するためには、今後も研究が必要です」とKreimer氏は述べた。「3回未満の接種でも、HPV16型と18型の持続感染に対して十分な予防効果が得られることを他の研究で確認できれば、特に必要性の高い低資源国の女性のための、子宮頸癌の予防に一歩近づくかも知れません」。

特筆すべきは、規制当局は持続感染の予防ではなく、子宮頸部前癌病変の予防を踏まえてHPVワクチンを承認したということである。専門家らは、HPVおよび子宮頸癌の自然史を調査することで、持続感染が前癌状態への第一段階であることを認識している。また、ワクチンの推奨には、多くの要因と研究結果が考慮される。米国では、CDCの「予防接種の実施に関する諮問委員会」(ACIP)が、ワクチンに関する連邦政府の勧告を採択する。

本研究は、NCI、コスタリカHPVワクチン臨床試験の専門家およびオランダにあるDDL診断研究所の同僚研究者から成る国際チームによって実施された。

参考文献:AR Kreimer, et al. Proof-of-Principle Evaluation of the Efficacy of Fewer Than Three Doses of a Bivalent HPV 16/18 Vaccine. J Natl Cancer Inst. Epub ahead of print Sept. 9, 2011. In print Oct. 15, 2011.

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マクドナルド 晋子 訳

林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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原文

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