2008/02/05号 ◆特集記事「経口避妊薬により卵巣癌の長期リスクが低下」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/02/05号 ◆特集記事「経口避妊薬により卵巣癌の長期リスクが低下」

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2008/02/05号 ◆特集記事「経口避妊薬により卵巣癌の長期リスクが低下」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2008年2月05日号(Volume 5 / Number 3)
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 ◇◆◇特集記事◇◆◇

経口避妊薬により卵巣癌の長期リスクが低下

ほぼ50 年前の初承認以来、エストロゲンを含有する避妊薬は世界中で約20 万人の卵巣癌を予防してきたと推定されると1 月26 日にLancet 誌で報告された。しかも、経口避妊薬を使用していなければ、こうした女性の半数は卵巣癌で死亡していたであろう。

研究者らによると、経口避妊薬(OC)の保護効果は、女性が使用を中止してから何年、何十年と持続することが示された。ゆえに、「予防される卵巣癌の数は、今後数十年間にわたって増加し」、毎年3 万人以上にのぼるであろうと研究者らは推測する。

このような数値は包括的なメタアナリシスから明らかになったもので、欧米を中心とした21 カ国で実施された45 の疫学研究(プロスペクティブ試験および症例対照試験を含む)から得られたデータに基づいている。「このような知見は、致死的である癌の予防に新しい標準をもたらし、公衆衛生に重要な影響を及ぼすことになる」とLancet 誌の編集者らは記している。

分析結果から、OC を使用したことのある女性は卵巣癌を発症する可能性が27%少ないことが明らかになった。試験に組み込まれた卵巣癌患者23,257 人のうち31%がOC を使用し、対照となった87,303 人のうち37%がOC を使用していた。

Gynecologic Oncology 誌の主任編集長で、ロサンゼルスのCedars-Sinai 外来患者がんセンターGilda Radner 癌発見プログラム代表のDr. Beth Karlan 氏によると、二つのきわめて顕著な傾向が明らかになった。一つは、OC の使用期間が長いほど卵巣癌のリスク低下が大きく、5 年使用するごとに約20%低下した。

もう一つの明らかな傾向は保護効果の持続期間で、OC の使用中止後長期間持続した。使用期間が5 年増えるごとに、使用を中止してから10 年までの卵巣
癌発症のリスクが29%ずつ減少した。使用中止から10~20 年では、リスク低下の程度はいまだ有意であるものの小さくなり(19%)、20~29 年になるとさらに小さくなる(15%)。

ほかの特徴に、分析結果の一貫性がある。OC は、上皮性、非上皮性を問わず、ほぼあらゆるタイプの腫瘍に保護効果があるように思われる。粘液性卵巣癌(このメタアナリシスで対象となった全症例のわずか12%に過ぎない)についてはこれに当てはまらない可能性がある。Lancet 誌の論説では、経口避妊薬の有益性は、製剤[エストロゲン含有量]とは無関係で、人種、出産経歴、乳癌の家族歴、体格指数(BMI)およびホルモン補充療法によりほとんど変わらないことが指摘されている。

分析の統一を図るため、NCI の癌疫学・遺伝学研究部門(DCEG)疫学・生物統計学プログラムのDr. PatriciaHartge 氏、Dr. James Lacey 氏、Dr. Louise Brinton およびDr. Robert Hoover 氏をはじめ、ほぼすべての試験の代表者が参加してCollaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancer(卵巣癌疫学研究共同グループ)を結成した。代表者はオックスフォ
ード大学キャンサー・リサーチUK、疫学部門のDr.Valerie Beral 氏らであった。

卵巣癌には証明されたスクリーニングの方法がないため、なおさらこのような知見が歓迎される。しかし、この問題は簡単ではないとモントリオールMcGill 大学のDr. Eduardo L. Franco 氏およびDr.Eliane Duarte-Franco 氏が記事に付随するコメント欄で記している。「女性の健康に及ぼす総体的な影響を評価することは確実なことではない」ためであるという。コメントではさらに、OC 使用の結果、リスク上昇の可能性のあるものに血栓塞栓症、心疾患、片頭痛、肝疾患およびそのほか比較的頻繁には見られない疾患をあげている。

分析はOC の有益性とリスクの比較に焦点を当てたわけではなく、OC の卵巣癌リスクに及ぼす影響を評価したにすぎないと、DCEG のDr. Brinton 氏は説明する。OC を使用し、のちにホルモン補充療法を長期間受けた女性の癌など現時点では知られていないリスクを含め、リスク対有益性の詳細なデータがない以上、「このメタアナリシスは、卵巣癌に対する予防的な方法としてOC の広範な処方を推奨するものではありません」と氏は語る。

Dr. Beral 氏は、OC が乳癌および子宮頸癌のリスクをわずかに高める可能性はあるが、その影響は小さく、かつOC の使用をやめればリスクはなくなるのとは対照的に、卵巣癌に対する保護効果は継続するとコメントしている。

「卵巣癌は、初期に信頼度の高い診断を下すことができないことが[主な]理由から、依然として死亡率の高い癌です。女性はこのリスクを心配しています」とDr. Karlan 氏は付け加える。氏は、女性が避妊法の選択肢について医師に相談するときはOC がこのリスクを低下させることを認識していることが重要であると言及している。

— Addison Greenwood

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中村 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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