2008/02/05号◆スポットライト「乳癌の女性たちが痛みについて語る」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/02/05号◆スポットライト「乳癌の女性たちが痛みについて語る」

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

2008/02/05号◆スポットライト「乳癌の女性たちが痛みについて語る」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2008年2月05日号(Volume 5 / Number 3)
____________________

◇◆◇スポットライト◇◆◇

乳癌の女性たちが痛みについて語る

「痛みを我慢する必要がないということを肝に銘じてください。これは私が経験上学んだ事実です」-癌サバイバー女性(トロント在住)

痛みは癌患者にとっていまだ重大な問題である。最近の痛みに対する理解と管理の進歩にもかかわらず、ほとんどの癌患者は未治療または治療不足による痛みに悩まされている。ヘルスケアシステム、臨床医、患者全てのそれぞれの役割を考えると、多くの要素が絡んでこのようなことになっていることが説明できる。

例えば、医師や看護師らは忙しくて患者と痛みの管理について話し合う時間を取ろうという気持ちに欠けているかもしれない。例えば、政府規制によって特定の疼痛薬の使用は制限されている。そして、多くのヘルスケアの専門家自身が効果的に疼痛を管理するための訓練を十分に受けていないのである。

一方、患者側も痛みについて語るのを躊躇している。臨床医には癌の治療にのみ専念して欲しいという患者もいるかもしれないし、また、痛みについて話すことが、不満を言っている、すなわち、「良い」患者ではないと考えている可能性もある。

最も重要なことは、多くの人が痛みと癌は切っても切れない関係、つまり痛みは避けられないものとして「耐える」ものであると思い込んでいることである。実際に、ほとんどの症例で癌の痛みは効果的に管理可能である。疼痛専門家は何年にも渡ってこの誤解と闘っている。

最近実施した18 名の女性乳癌患者が感じた痛みに関するインタビューでもこのような考えがよく聞かれた。2 月に発行されたJournal of Pain and Symptom Management誌に掲載されたそのインタビューの要約は、ある癌患者グループからの痛みについての質問に包括的な見解を与えている。

このインタビューは、痛みから救われる方法を知らなかったためにより困難な状況となった一部のケースを含め、さまざまな経験談が得られる窓口の役割も果たしている。不幸なことに、このようなことは癌患者にとって珍しいことではないとトロント大学の博士課程の学生であり、本試験の代表著者であるJackie Bender 女史は述べている。

彼女のインタビューは一貫して、痛みをコントロールするための治療選択肢、疼痛管理するために利用できるサービス、およびそれらへのアクセスの方法などについて患者の知識の欠如を強調していた。また、患者がこのようなサービスの存在すら知らなかったことに初めはショックを受けていた。

「世の中に疼痛専門医あるいは疼痛スペシャリストがいるなんてどうして知ることができますか?全く知りませんでした。」と、ある女性患者は言う。「私がお話をさせていただいた女性の多くは、あまりうまく痛みが管理できていなかったために重度の痛みを耐えていましたが、幸い、お話をさせていただいたときに、疼痛のスペシャリストのところを受診していただきました。」とBender 女史は述べている。インタビューの時点で、大半(70%以上)の患者の痛みは軽度となっていた。

ある女性患者が「私の痛みを軽減してくれるこのような疼痛薬の存在を当時知っていたらどんなによかったか・・・。そうすれば、あの時あんなに苦しまずにすんだのに、違いますか?」とコメントした。

痛みを表現すると時々、薬(特にオピオイド薬について)の常習性と忍容性への不安が話にでることがある。このような不安は癌患者のあいだでは多く聞かれることであるが、癌のために疼痛薬の投与を受ける患者で中毒になる人はほとんどいないと専門家は声を大にする。

試験に参加した多くの女性は副作用を恐れて、疼痛薬を拒否、あるいは中断した。同時に、代わりになるものおよび従来と違ったアプローチで疼痛を管理する方法を学びたいという患者もいた。

また、他の患者の痛みについても学びたいという人もいた。「人は自分の痛みが標準的で普通のことなのかを確認するのと同様、自分の支えのために他人の痛みに関しても知りたいのです。」とBender 女史は述べている。

参加者の質問は全部で200 以上あるが、他の癌や他の病気に関連するものが多いようである。トロント大学のCenter for Global eHealth Innovation および大学ヘルスネットワークのDr. Alejandro R. Jadad 氏ら研究者は別の慢性疾患のある患者、あるいは異なる民族コミュニティまたは文化コミュニティに属する患者の視点から痛みについて現在調査している。これまで、本研究では各グループにある特定のテーマと、グループ枠をこえて患者共通の中心テーマを明らかにしてきた。

次のステップとして、研究者らは内科医および看護師に会う前に、患者が痛みについての質問を検索し、痛みに苦しむ他の患者と情報交換ができる対話形式のインターネットツールを開発している。

患者と医療従事者は痛みについて効果的に情報交換しなければなりませんからと注釈しながら、「この開発は痛みを抱えている患者のための医師との面談準備ツールであると私たちは考えています。」とBender女史は述べている。本ウェブサイトは患者らが医療従事者との面談の際にうまく話せるように自分たちの質問事項をまとめやすくすることを目的としている。

痛み・・・またはどんな健康問題でも質問をまとめることは容易ではない。患者は診察時間として割り当てられた時間よりも質問時間の方が長くなるかもしれないことを気にしている。

「疼痛管理が適切に行われるためには、患者が自身で尋ねたいことを考え、実際に質問し、解答を得るという効率的な仕組みが必要になります。」と研究者らは記している。

ウェブサイトは確かに役立つと思われるが、本当の進歩とは関係者すべてを巻き込んだものであろう。患者は自分が必要なものをはっきりと伝えなければならない。一方で臨床医は、恐怖心と痛みへの不安などを患者が話しやすいような雰囲気づくりをしなければならない。

「まさに癌と診断された当初から、痛みに取り組むことが重要なのです。なぜなら痛みを軽減しないと、すでに悪化した生活の質をさらに落とすことになります」とBender 女史は述べている。

癌を生き抜いた治療の後、実りの多い生活を取り戻す人が増えるにつれて、痛みを管理する事は、患者一人一人の生活の質の向上を約束する上でも重要になるだろう。

「痛みに自分の人生を中断されたくない。私は痛みと共に生きられるようになりたい」と、ある女性患者は言う。

— Edward R. Winstead

******
舛田 理恵 訳
上野 直人 (M.D.アンダーソンがんセンター 准教授) 監修
******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward