2010/01/12号◆スポットライト「新規抗癌剤の新たな副作用に取り組む看護師たち」 | 海外がん医療情報リファレンス

2010/01/12号◆スポットライト「新規抗癌剤の新たな副作用に取り組む看護師たち」

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2010/01/12号◆スポットライト「新規抗癌剤の新たな副作用に取り組む看護師たち」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年1月12日号(Volume 7 / Number 1)
日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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スポットライト

新規抗癌剤の新たな副作用に取り組む看護師たち

ここで取り上げるのは、EGFR阻害剤として知られる抗癌剤を受けた患者に一貫してみられる症状についてである。重度の発疹を(多くの場合は顔面に)発症する患者は、発症しない患者に比べて転帰が良好な傾向がある。しかし、この発疹は軽視できるものではない。セツキシマブ(エルビタックス)、エルロチニブ(タルセバ)といった広く普及してきたEGFR阻害剤に関連する他の皮膚の副作用と同様、発疹は非常に深刻な不快感、苦痛、および生死にかかわる感染症さえ伴うことがあるため、医者や患者が治療の延期または中止を決定することも多い。

医師助手および診療看護師(ナース・プラクティショナー)とともに癌治療に関連する副作用の管理を主導することが多い癌専門看護師にとって、EGFR阻害剤によって起こる皮膚毒性への対処は臨床上重要な課題である。残念ながら、今日までこれらの副作用に対する科学的根拠に基づいた治療はほとんどない。

「骨髄抑制、粘膜炎、吐き気などの問題については、うまく対処してきました」と、カリフォルニア州サラトガの腫瘍診療看護師および看護コンサルタントであるPamela Hallquist Viale氏は、従来の化学療法に共通する一部の副作用について述べた。「標的治療ではその機序が異なるので、副作用も異なります。われわれは、それらの副作用の最善の管理法を理解しはじめたばかりです」。

方法と量

これらの薬剤が皮膚に過度に影響する理由は、薬剤の有効性が腫瘍に対して証明されていると同様に、上皮の特定の成分にも上皮細胞増殖因子(EGF)に対する多量の受容体が含まれているからである。受容体を阻害すると、皮膚の炎症と菲薄(ひはく)化などの事象が急激に発生し、多くの場合に顔と胸部に明確に現れる発疹という皮膚損傷が引き起こされる、まつげが減る、指の爪が割れるなどの後遺症を伴うこともある。これらの薬剤に対する予後マーカーとしての発疹の検証はまだこれからである。

EGFR阻害剤が臨床試験から医療現場へと移ってから、発疹の発症と重症度に関するより正確な評価が進められている。EGFR阻害剤による治療後、大多数の患者が何らかの発疹を発症する。腫瘍内科医によるある調査によれば、EGFR阻害剤による治療を受けた患者のうち最高3分の1が、発疹を発症した結果、治療の中止を余儀なくされた。

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターの研究者および癌専門看護師であるDr. Lori Williams氏は、EGFR阻害剤が早期疾患に使用されるようになってから、「普通の生活を続けようとする患者が、外見の変化を恐れて薬を飲むのをやめてしまうのではと心配しています」と懸念を示す。「顔面の発疹は、髪の毛を失うのと同じくらいの苦痛です」。

管理の改善

EGFR阻害剤が患者にもたらす副作用についてはより好意的な見方もあるが、相対的に見れば、EGFR阻害剤はまだ新しく、ランダム化臨床試験もほとんど行われていないため副作用の最善の管理法も解明されていない。発表されている2件の臨床試験(うち1件は、スローンケタリング記念がんセンター(MSKCC))の結果では、経口ミノサイクリンの投与により発疹が軽症化するというわずかな有効性が示されている。

公表されたエビデンスがなかったため、患者の顔面に発生するいわゆる丘疹(きゅうしん)膿疱性皮疹に加えて重度の乾燥肌などの皮膚毒性の最善の管理法について、腫瘍学界は皮膚科医の指導に大きく依存してきたと、ペンシルバニア大学アブラムソンがんセンターの癌専門看護師Beth Eaby氏は説明する。

「われわれは皮膚科医の指導から多くを学び、また、これらの薬剤の投与を受ける患者にその指導が役に立ちました」と同氏は述べる。

それでも、これらの副作用の管理は試行錯誤を繰り返した。丘疹膿疱性皮疹は、典型的な例であるとViale氏は説明する。かつては「座瘡様(にきびのような)発疹」と呼ばれた(今ではあまり推奨されなくなっている用語)この重度の炎症に、従来の座瘡用薬剤は効果がなかったと同氏は述べている。実際には、一部の座瘡薬は皮膚を激しく乾燥させ、感染症の発症を促進し、症状をさらに悪化させた。しかしながら、臨床経験では濃厚な皮膚軟化薬がきわめて効果的であることが示されている。

皮膚毒性はQOLに影響を与え、延命治療の妨げとなる可能性があることから、複数のグループが皮膚毒性の最善の管理法および治療手段を展開したが、その中には、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)が招集した集学的治療グループによる
2009年の報告書も含まれている。

現在までのデータでは、発疹の管理に対して予防療法が有効である可能性が示唆されている。MSKCCの臨床試験に加えて、米国臨床腫瘍学会(ASCO)2009年の年次総会で発表された小規模の単一施設臨床試験による結果もある。同臨床試験の患者は転移性大腸癌で、EGFR阻害剤であるパニツムマブ(Vectibix)が投与される予定であった。患者は治療開始後に副作用に応じて治療を受けるか、または治療開始直前に、必要時のヒドロコルチゾン、保湿剤、中等度の保護用日焼け止め(SPF 15以上)に加えて、抗生ドクシサイクリンを含む6週間の投薬計画での予防療法を受けるかに無作為に割り付けられた。予防療法群の患者は、皮膚毒性の50%以上の減少と良好なQOLを示した。

一方で、Williams氏は、同M.D.アンダーソン皮膚科の医師と協力し、これらの発疹のより正確な分類に取り組んでいる。発疹を含む「有害事象」の報告および分類についてはNCIで規定されたシステムが確立されているが、臨床試験における同氏の取り組みは皮膚毒性の報告基準を確立する努力のひとつとなり、発疹の重症度および治療が与える影響を測定する上でより有効な助けとなるかもしれない。現在検討されている方法のひとつは、実際の発疹の写真を使用して、さらに正確な重症度の段階を確立することだと、同氏は説明した。

標的治療の多くは経口薬であり、家庭で服用されることから、患者が画像をもとにして自分の症状を記録するシステムが有用である。「(標的治療の)相当数が経口薬であるという事実が大きな問題です」とWilliams氏は指摘する。経口の化学療法剤の使用が増加したことから、「医療従事者は、幾分、副作用の制御が難しくなっていると感じています」。

したがって、潜在的な副作用の理解と対処法について患者を教育することが、おそらく今までになく重要になってきている。「われわれは患者に対して、頻繁に保湿をしたり、日光を長時間浴びる場合には高いSPFの日焼け止めを使用するなどの重要性を徹底して伝えなければなりません」とViale氏は述べる。「教育という要素をわれわれの診療に取り入れなければなりませんが、その点では進歩が見られています」。

—Carmen Phillips

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横山 加奈子 訳
小宮 武文(胸部内科医/NCI研究員・ハワード大学病院)監修

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