2008/01/22号◆特集記事「研究界、ジューダ・フォークマン氏を追悼し、その生涯を賞賛」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/01/22号◆特集記事「研究界、ジューダ・フォークマン氏を追悼し、その生涯を賞賛」

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

2008/01/22号◆特集記事「研究界、ジューダ・フォークマン氏を追悼し、その生涯を賞賛」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2008年1月22日号(Volume 5 / Number 2)
____________________

◇◆◇特集記事◇◆◇

研究界、ジューダ・フォークマン氏を追悼し、その生涯を賞賛

最も尊敬され、多くの賞賛を受けた癌研究者の一人、ハーバード大学およびボストン子供病院のジューダ・フォークマン(Judah Folkman)医師が先週心臓発作のため亡くなった。74歳であった。突然の訃報に寄せて、著名な研究者らは腫瘍形成における血管新生の役割を紐解いた彼の草分け的功績を讃え、ほぼ独力で癌や治療に対する歴史的認識を変えたパイオニアと彼を称している。

NCI ディレクターDr. John E. Niederhuber氏は次のように述べる。「フォークマン氏は、血管新生分野の提唱者、先駆者であった。彼の献身的なリーダーシップは大勢の学生とフェローら(その多くが現在重要な研究者であり、それぞれがリーダー的科学者となっている)を育成した究極の遺産となった」

フォークマン氏は、1971年New England Journal of Medicine誌において、腫瘍の成長には独自の血液供給が必要で、腫瘍自身が新たな血管を形成しようとする事実を提唱して初めて国家的名声を得た。このプロセスを阻害することは有効な癌治療となるであろうと示唆したのであった。

2001 年のインタビューで、フォークマン氏は、「私は外科医として実際に腫瘍を見て触れてきた。そして、体内のずっと離れたところから何千もの新しい血管が腫瘍に集まっているのを見た。」と語り、何十年ものあいだ、彼の血管新生理論に対してしばしば熾烈なまでの周囲からの懐疑的批判を受けてきた様子を詳述している。

1990 年中頃には、フォークマン氏らグループによる独走的研究の他に、彼の理論を研究室実験や動物モデルにおいて研究に着手するグループがさらに増加し、ようやく1971 年の仮説が正しかったことが裏づけられた。

2004 年2 月、ベバシズマブ(アバスチン)は初の特異的血管新生阻害剤として転移性結腸直腸癌の一次治療としてFDAに 承認された。その後、スニチニブ(スーテント)やソラフェニブ(ネクサバール)などの薬剤もそれに続いた。両薬剤は腎臓癌の治療薬として承認されている。現在、少なくとも50 種類以上の血管新生阻害剤の臨床試験が世界中で行われている。

近年さらに、血管新生研究は多くの興味深い側面が見いだされている。抗血管新生治療として低容量頻回化学療法の臨床試験や、脳腫瘍では血管新生阻害剤を用いて血管を正常化させ、化学療法をさらに効果的に局部に送達させるなどの試験が行われている。

ボストン子供病院によると、実際に世界で1,000以上の施設で血管新生の研究が行なわれており、その一つがNCIの癌研究センター(CCR)外科支部の腫瘍血管新生科部長であるDr. Steve Libutti氏が主導する研究である。フォークマン氏の成功の大部分が、彼の不屈の努力と熱意によるものだったと、Dr. Libutti氏は述べる。

「彼はきわめて複雑な概念を発見し、バックグラウンドや特定の興味を有する人に限らず、あらゆる人々が彼の言葉を理解できるように説明することができました。彼の講義を聞きに行けば、みな必ず癌の治癒を視野にいれた揚々とした気持ちに駆られて帰るのです」と、彼は述べている。

Dr. Libutti氏はフォークマン氏の実績は癌以外にも大きな影響を与えていたことにも言及する。黄斑変性症、糖尿病性網膜症や虚血性心疾患などといった血管新生が重要な役割を担っている症状や疾患の治療にも重大かつ新たな概念をもたらしたのである。

そして、何よりフォークマン氏は温もりをもった最高の師として人々の記憶に留められるであろう。1991年~2001年までフォークマン氏とともに研究をしていたCCRの放射線支部長であるDr. Kevin Camphausen氏の言葉によると、研究室が競争的ムードにあったり、フォークマン氏が一身に注目を浴びていた渦中にあったときでも、彼は常に時間には寛容であった。「彼は偉大な師でした。この上なく優しく、また理知的で謙虚な人柄でした。頼めばいつでも座って話をする時間を割いてくれました。すべての人をいつでも喜んで助けようとしました。」

数多の賞や名声を授与されたのに加え、フォークマン氏はNCIにも多大な貢献を果たしていた。最も最近では、NIH共同施設血管新生研究プログラム(Trans-Institute Angiogenesis Research Program)において、彼は密なる協力をし、ほんの2週間前にはNCI内科学レポートで若い研究者らに語りかけたところであった。

フォークマン氏のご遺族は妻ポーラと、二人の娘ローラとマージョリーである。

—Carmen Phillips

******
野中 希 訳
平 栄 (放射線腫瘍科) 監修
******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3卵巣がんの起源部位は卵管であることが示唆される
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6がん領域におけるシームレス臨床試験数が近年増加
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8治療が終了した後に-認知機能の変化
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10がん治療の悪心・嘔吐管理に関するASCOガイドライン...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward