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2007/12/18号◆癌研究ハイライト

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2007/12/18号◆癌研究ハイライト

同号原文
NCI Cancer Bulletin2007年12月18日号(Volume 4 / Number 32)
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◇◆◇癌研究ハイライト◇◆◇

小児癌の死亡率が低下

小児白血病治療の改善が、1990年~2004年の米国の小児・青少年の癌死亡率低下に貢献したことが、米国疾病予防管理センターの研究者らによって12月7日付の週間疾病死亡報告に公表された。

「この朗報は、少年少女や小児・青少年、大部分の人種・民族グループ、ならびに米国のすべての調査実施地域において、この期間の全癌死亡率が有意に低下したというものです」と共著者のDr. Jun Li氏は述べた。

National Vital Statistics Systemのデータを用い、研究者らは1990年の小児ならびに青少年の癌死2457例に比較して、2004年では2223例であることを確認した。人口増加を調整すると、癌死亡は1990年の34.2/100万人に対して、2004年は27.3/100万人であった。白血病は2004年の小児の癌死原因の第1位であり、脳腫瘍や他の神経系が関与する癌がこれに続く。これらを併せると癌死の50%以上を占める。

「白血病治療において我々は大きく前進した。この前進が現在の改善に表れている」と共著者のDr. Loria Pollack氏は述べた。しかし彼女は、この重篤な疾患によって依然として子供たちが亡くなっていることから、さらなる治療の進歩が必要であると述べた。

1990年~2004年では白血病による死亡率が1年あたり3%低下、脳腫瘍や他の神経系が関与する癌では1年あたり1%低下、さらにそれ以外の癌をすべて併せると1年あたり1.3%低下している。一方、全小児癌発症率は1975年~2002年において1年あたり0.6%増加している。癌は、小児と青少年の死亡原因として事故、殺人、自殺に続き第4位である。

この解析はいくつかの相違点を明らかにした。1990年の小児癌死亡率はヒスパニック系と非ヒスパニック系で同等であったが、1990~2004年の同死亡率はヒスパニック系よりも非ヒスパニック系のほうがより迅速に低下した。健康保険未加入や医療受診機会がないことが要因である可能性があるが、腫瘍の悪性度や診断時の癌の病期、治療への反応性の違いも要因として考えられると研究者らは述べた。

地中海式食事と身体活動が死亡率低下に関与する

Archives of Internal Medicine誌12月10/24号に掲載された2試験によれば、NIH-AARP Diet and Health Studyの個別分析で、全死亡リスクが有意に低下することが、いわゆる「地中海式食事」実施者および、米国のエクササイズ・ガイドラインが勧めるレベルの身体活動を行う人々において示されたという。

NIH-AARP studyは、現在は癌疫学・遺伝学研究部門(DCEG)の一部であるNCIの研究班が実施した。本試験では年齢50~71歳の米国のAARPメンバー50万人超の健康状態を、質問票の郵送、死亡記録、腫瘍登録データを用いて1995~2005年まで観察した。

最初の試験では、健康なAARPメンバー380296例の地中海式食事の順守状況を9点スケールで評価した。地中海式食事は、野菜や豆、果物、ナッツ、精白していない穀類、魚の大量摂取、一価不飽和脂肪を飽和脂肪よりも多く摂取する、適度な飲酒、赤身肉摂取の抑制などを行う。この食事パターンは男性の全死亡リスクを21%低下(癌死を17%、心臓死22%)させ、女性の全死亡リスクを20%(癌死12%、心臓死19%)低下させた。地中海式食事の有益な効果は喫煙者、特にBMIが正常な喫煙者において顕著であった。

2つ目の試験で研究者らは、米国ガイドラインの定める「中等度」と「激しい」身体活動を順守した場合の効果をAARPメンバー252925例で調査した。活動的でなく座りがちな人に比べて、中等度のエクササイズを行う人(ほぼ毎日30分以上)では全死亡率が27%低下し、激しい身体活動を行う人(週に3回20分以上)では死亡リスクが32%低下した。

「これら身体活動に関する米国ガイドラインの重要性がわれわれの知見によって確認された」と本試験のリーダーであるDCEG 栄養疫学部門のDr. Michael Leitzmann氏は述べた。副次的な知見では、ガイドラインの推奨よりも低いレベルの身体活動を行うものでさえ、死亡リスクが低下することが示された。

DCEGは身体活動に関してさらなる研究を行っていると、Dr. Leitzmann氏は付け加えた。「われわれは現在、特定の癌の形態に対する運動の影響について掘り下げている。その影響は全体の死亡に対するものと異なる可能性がある」と彼は述べた。

高リスクALLに対する同種移植は生存を改善しない

英国医療審議会と米国ECOG臨床試験協力団体の共同研究において、標準リスクのフィラデルフィア染色体陰性急性リンパ性白血病(ALL)の成人患者では、高用量化学療法で初回の寛解後に同種幹細胞移植を行うと全生存が有意に増大した。しかし高リスクALL患者では同種移植で再燃リスクに低下がみられるものの、移植関連死が高率であることから、全生存は有意に増大しなかった。

意外かもしれないが、全生存の点では、高リスク患者がドナーを得ることのベネフィットは、標準リスク患者のベネフィットよりも劣るのである」と11月29日付Blood誌電子版の発表論文において著者らは語る。「高リスク患者は直ちに同種移植を受けるべきであるという見解がよく見受けられることから、この知見は重要である」。

この試験では 同種移植のための適合同胞ドナーが得られなかった患者に対する自家(自己)移植と維持化学療法の比較も検証している。初回高用量化学療法実施後に寛解を得た不適合患者を自家移植または維持化学療法2.5年にランダム割付けした。

化学療法を受けた患者の全生存期間は自家移植を実施した患者と比較して有意に改善し、再燃のない(すなわち、治療関連)死亡は2群間に有意差なし。しかしドナーありとドナーなしの全症例を比較した解析では、ドナーありの全生存率のほうが良好であった。

「同胞ドナーからの同種移植は、寛解期の標準リスクの成人ALL患者の治療選択肢であり、最良の長期生存の可能性を提供する。ドナーの得られない患者に対する自家移植は地固め/維持化学療法よりも劣る」と著者らは結論付けている。

被験薬の化学予防効果が臨床試験にて示される

先週公表された試験結果にて、被験薬DFMOと低用量の抗炎症薬との併用が直腸結腸ポリープの高リスクを有するヒトにて強力な化学的予防法となる可能性が示された。

両薬の併用はプラセボと比較して、結腸ポリープの新たな形成(進行したポリープも含む)を有意に減少させた。本第III相二重盲検ランダム化試験では、結腸ポリープの切除歴を有する375名を組み入れた。

本結果は、フィラデルフィアで行われた米国癌研究会議(AACR)癌予防フロンティア第4回年次会議における癌予防臨床試験に関するセッションで公表された。

この臨床試験は、主要目的が達成されたため、独立データ安全性モニタリング委員会の勧告後に早期中止となった。こう述べているのは、本試験の治験責任医師Dr.Frank L. Meyskens氏(カリフォルニア大学、アービング)である。毒性(DFMOの早期試験で懸念された聴覚毒性など)は最小限のものであり、また2つの試験群間で同等であった。

非黒色腫皮膚癌の予防を目的としてDFMOを検討した別の第III相試験のサブグループ解析結果も、同AACR会議にて公表され、基底細胞癌に対する有意な予防効果が示された。

多発性骨髄腫に対する第1選択薬としてのボルテゾミブ試験

先週実施された米国血液学会(ASH)の年次総会にて、多発性骨髄腫に対する第1選択薬としてボルテゾミブ(ベルケード)を試験したいくつかの第III相ヨーロッパ臨床試験の結果が公表された。ボルテゾミブは、同疾患に対する第2選択薬として、米国にて現在承認されている。

1件目の多施設共同試験では、患者482名をボルテゾミブ+デキサメタゾン群またはビンクリスチン+ドキソルビシン+デキサメタゾン群のいずれかにランダムに割り付けて投与し、その後、同種幹細胞移植(訳注:自家移植の間違いであると思われます)を行った。同試験結果にて、移植前の完全寛解率はボルテゾミブ群で21%、一方、対照群ではわずか8%であることが示された。また、幹細胞移植を受けた患者404名における完全寛解率はボルテゾミブ群で41%、対照群で29%であった。

2件目の試験では、患者256名をボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン群またはサリドマイド+デキサメタゾン群のいずれかにランダムに割り付けて投与した。幹細胞移植前の完全寛解率は、ボルテゾミブ群で36%、対照群で9%であった。また、幹細胞移植後の完全寛解率はそれぞれ、57%と28%であった。

3件目の試験(VISTA)では、同種幹細胞移植(訳注:自家移植の間違いであると思われます)に対して不適格な患者682名を組み入れた。完全寛解率は、ボルテゾミブ+メルファラン+ブレドニゾン群で35%、対照群(メルファラン+プレドニゾン)で5%であった。また、ボルテゾミブ群の死亡リスクは、対照群と比較して40%低下した。

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Okura、齋藤 芳子 訳
林 正樹  (血液・腫瘍科)  監修

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