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2007/11/06号◆特別レポート「新ガイドラインは非小細胞肺癌の補助療法として化学療法を推奨」

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2007/11/06号◆特別レポート「新ガイドラインは非小細胞肺癌の補助療法として化学療法を推奨」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2007年11月6日号(Volume 4 / Number 29)
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◇◆◇特別レポート◇◆◇

新ガイドラインは非小細胞肺癌の補助療法として化学療法を推奨

非小細胞肺癌(NSCLC)患者の補助療法に関する新ガイドラインでは、腫瘍切除が成功した患者に対してはシスプラチンベースの化学療法を行うことを推奨している。このガイドラインでは、病期I期とII期の患者に対しては、手術単独と比較して生存率を低下させることから術後補助放射線療法を行わないことを薦めている。

米国臨床腫瘍学会(ASCO)とキャンサー・ケア・オンタリオが招集した専門委員会によって作成された本ガイドラインは、腫瘍を完全切除した病期IIA、IIB、IIIAのNSCLCに対して補助化学療法を行うことを推奨している。これらの症例の多くは、疾患がリンパ節近くにまで広がっている。

10年前までは、NSCLCに対する補助化学療法のランダム化比較試験では否定的な結果や結論に至らない結果が報告されていたと、ガイドライン専門委員会の共同議長であるM.D.アンダーソンがんセンターのDr. Katherine M.W. Pisters氏は語る。

「肯定的な結果を得たのは、実にこの5~6年でのことである」と彼女は語る。「比較的新しい試験は対象症例数が多く、デザインも優れており、登録患者集団もより均質である。さらに、これらの試験で採用している化学療法レジメンは、以前の試験で採用していたレジメンよりもNSCLCに対する有効性が高い。」

本ガイドラインでは、適応のあるNSCLC患者に対して補助化学療法を行うよう、腫瘍医らに強く求めている。

「本ガイドライン委員会は、病期II-III期NSCLCに対する補助化学療法無用論はいまや捨て去るべきだと結論する」と委員会は記している。「本ガイドラインに示す知見や推奨は、これらの患者に対する治療義務の根拠を臨床医に提供している。」

腫瘍医が補助化学療法を嫌がる理由の一端は、開胸術(肺癌評価のために胸壁を開き、腫瘍を摘出すること)施行後の化学療法の忍容性の低さにあると、NCI癌研究センターの腫瘍内科支部(Medical Oncology Branch)のチーフである Dr. Giuseppe Giaccone氏は語る。

「これは大きな問題である」と、Dr. Giaccone氏は語る。「術後に全投与量をもって化学療法を行えるのは患者の70%以下に過ぎない」。しかし今や、複数の試験によって補助化学療法がもたらす明白な生存ベネフィットが示されたため、これを控えることを改めなければならない。

本ガイドラインは補助化学療法の選択に関して、いく分肯定的ではあるが結論の出ていない2つの問題について記している。すなわち病期IB期に対する補助化学療法と病期IIIA期の患者に対する補助放射線療法である。

病期IB期の患者(リンパ節近傍に進展している可能性がかなり高く、腫瘍サイズが比較的大きい局所病変)に関して、現時点ではそのような傾向はあるものの、ルーチンの補助化学療法を推奨するほど強力なデータではないと、Dr. Pisters氏は語る。2006年のASCO年次総会では、病期IB期の患者のみを対象としたランダム化比較試験CALGB9633の長期データで補助化学療法のほうが良好な傾向がみられたが、全生存ベネフィットには有意差がないことが示された。計画外のサブセット解析では、腫瘍サイズが4cm以上の患者では有意差がみられた。

「これはとても複雑な問題だ」とDr. Pisters氏は語る。「腫瘍医は、補助化学療法が適切であるかどうか、きちんと時間をとって患者(IB期)と話し合う必要がある」。

補助放射線療法は、病期IIIA期の患者に対して有効である可能性が2つの試験によって示唆されている。しかしこの問題に直接取り組んだ前向きランダム化比較試験のデータはなく、現在のエビデンスでは、IIIA期の患者に対して補助放射線療法を推奨するには不十分であると委員会は考えた。

腫瘍医らは、彼らが担当するNSCLC患者に対して補助放射線療法を行うことを通常は控えているが、IIIA期は例外である、とDr. Giaccone氏は指摘する。「これらの患者では局所再燃の可能性が高いので、局所再燃を予防しうる対策を講じることは魅力的な選択肢である」と語る。

本ガイドラインには、補助療法について患者との意見交換のための推奨-必ずしも『エビデンスに基づいた』ものではないと委員会も認めている-も記載されている。

この推奨では、補助療法に関する話し合いのため診察室での時間を1度とることとしている。この話し合いには生存以外のことがら、すなわち補助化学療法の副作用やQOLへの影響などについても含めるべきであると委員会は示唆している。本ガイドラインには、患者が最近の臨床試験で得られた補助化学療法の生存におけるベネフィットをより明確に確認できる図表も添付されている。

—Carmen Phillips

 11月は肺癌月間
11月は肺癌月間。肺癌に関するNCIの情報はhttp://www.cancer.gov/cancertopics/types/lung11月15日に全米禁煙大会が開かれる。禁煙および喫煙者の禁煙を手助けする方法を学習する機会である。

嫌煙大会に関する情報は
http://acsf2f.com/gaso/

喫煙と癌に関するNCIの情報は
http://www.cancer.gov/cancertopics/smoking

 

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大倉 綾子 訳
小宮 武文(NCI研究員)監修

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