2007/10/09号◆特集記事「NIH(国立衛生研究所)研究祭で染色体生物学が脚光を浴びる」 | 海外がん医療情報リファレンス

2007/10/09号◆特集記事「NIH(国立衛生研究所)研究祭で染色体生物学が脚光を浴びる」

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2007/10/09号◆特集記事「NIH(国立衛生研究所)研究祭で染色体生物学が脚光を浴びる」

同号原文NCI Cancer Bulletin2007年10月09日号(Volume 4 / Number 27)

2007年度エルメス・クリエイティブ賞
Eニュースレター部門金賞受賞

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◇◆◇特集記事◇◆◇

NIH(国立衛生研究所)研究祭での焦点は染色体生物学

Dr.Francis Collins氏は、先月開催された今年のNIH研究祭(NIH Research Festival)の幕上げに、バーに行く途中で鍵を失くした男の話をした。男がバーの外にあるたった1本の照明灯の下を探していると友人が見つけ、どうしてそこしか探さないのかと尋ねる。男の返事は次のようであった「だって、見えるのはここだけなんだ」。

国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institute)所長、Dr.Collins氏がこの話をしたのは、ヒトゲノム配列が利用できるようになった数年前まで、遺伝子研究者の生活がどのようなものであったかを描き出すためであった。研究者らは、頻度が高い疾患に関与する遺伝子の変異を、ゲノムのごく限られた断片のなかから探し出そうとしていた―そこしか見えなかったからである。

今やヒトゲノムには「光があたり」、研究者らは、推測や直感のよさに頼って探すべき場所の見当をつけなくても、数多くのヒト疾患の中から遺伝的因子を探索することができるとDr.Collins氏は言う。

9月25日、NIH構内のマスア講堂で開催された研究祭開会総会で、同氏は会場を埋め尽くす聴衆に向かって、「皆さん自身の研究にも、この革命の余波は及んでいる」と語りかけた。聴衆の多くが、その後4日間にわたって、何十もの講義や何百というポスター掲示を通じて自らの研究を発表することとなっていた。

研究祭の日程は、NIHの研究所および施設27ヵ所で研究対象となっている生物医学研究および疾患の領域を網羅したものであった。多くの講演やポスターで、健康および疾患におけるゲノムや染色体の機構が論題として取り上げられていた。RNAに関するトピックには多くの聴衆が集まった。癌も同様であった。

「現代の生物学および医学における染色体」と題した総会には、NCI癌研究センターから2人の講演者が招かれていた。Dr.Shiv Grewal氏は、DNAを凝縮した染色体構造であるヘテロクロマチンと、ゲノムのさまざまな活性を調節するうえでヘテロクロマチンが果たす役割について論じ、Dr. Thomas Ried氏は、染色体の疾患としての癌について話した。

「現代の生物学および医学における染色体」のビデオキャストが閲覧できる。

Dr.Ried氏が、染色体研究の歴史のなかで気まずい一時期があったという話をしたときなど、会合では何度か和らいだ雰囲気もみられた。1950年代、ヒト染色体は48本という考えが浸透していた時期に、研究者らによって、48本ではなく46本であることがようやく発見されたが、その後、その真実が認められるまでに4年を要した。

その理由は、染色体が48本であるということが、現在各部門の主任クラスや大学総長となっているような人たちによって定説として確立されていたためであると、Dr.Ried氏は聴衆の大半を占めた若い研究者らに話した。当時の若い細胞遺伝学者らは、46本の染色体を自ら数えたとはいえ、その定説に挑むのを尻込みしたわけである。

「ここから学ぶべきことがある。自分が見たことを信じ、指導教官に挑むことだ」と、Dr.Ried氏は付け加えた。

その後、遺伝的変異と頻度が高い疾患に関するシンポジウムでは、NCI癌疫学・遺伝学研究部門のDr. Stephan Chanock氏が、癌感受性遺伝子マーカー(CGEMS)プログラムからいくつかの講義をした。

Dr.Chanock氏は、ゲノムワイド相関解析試験から得られた最初の結果を検証し、偽陽性を回避する必要性に触れて「再現性」ということを何度も繰り返した。このほか、乳癌や前立腺癌のような疾患に関与する変異を検出するには、きわめて大規模な試験が必要になることを強調した。

NCI遺伝子解析中核施設(Core Genotyping Facility)を統率し、DECGに新しく組織されたトランスレーショナル・ゲノム研究所を率いるDr.Chanockによれば、ゲノムワイド相関解析試験の世界では、変異を検出する力を最大にするため、大規模であればあるほど好ましいとされるのが常であるという。

研究祭と同時に、NIH所内教育訓練オフィスおよび女性の健康に関する研究オフィスが出資して、NIHの博士研究者、研究者および臨床家のために毎年恒例の就職フェアを開催した。求人リストのほか、バーチャル就職フェアなど詳細についてはこちらを参照されたい。

初日には、NIH所内の研究に関する副統括者であるDr. Michael Gottesman氏が20回目を記念してNIH研究祭の歴史を概括した(研究祭は1986年に始まったが、翌年は開催されなかった)。

研究祭は国立歯科・頭蓋顔面研究所(National Institute of Dental and Craniofacial Research)のDr.Abner L. Notkins氏による構想の一部であった。Dr.Notkins氏らは、NIH全体の研究者らが交わり、考えを話し合うことによって利益を得るであろうと考えたのであった。開催者側も研究祭を、若い研究者や中堅の研究者が研究発表できる場にしたいと望んでいた。

NIHは1986年以降大きく変貌したが、依然として「研究所や医療施設で長期にわたってハイリスクの生物医学研究を行うには最良の場」であるとDr.Gottesman氏は言う。同氏は、「研究所での横断的研究を推進するために為すべきことは多い」と付け加えた。

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Nobara 訳
中村    校正

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