2007/10/09号◆クローズアップ「生存率と死亡率:癌を測定する」 | 海外がん医療情報リファレンス

2007/10/09号◆クローズアップ「生存率と死亡率:癌を測定する」

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2007/10/09号◆クローズアップ「生存率と死亡率:癌を測定する」

同号原文NCI Cancer Bulletin2007年10月09日号(Volume 4 / Number 27)

2007年度エルメス・クリエイティブ賞
Eニュースレター部門金賞受賞

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◇◆◇クローズアップ◇◆◇

生存率と死亡率:癌を測定する

米国における癌に関する長期的見通しが2冊の刊行物によって示された。「Cancer Survival Among Adults」誌は、1988年から2001年にかけて診断された160万人以上の成人癌患者の生存率のデータを提供する。近刊予定の「Annual Report to the Nation on the Status of Cancer」は、1975年から2004年にかけての癌発生率および死亡率のデータの特集を組む。

生存率および死亡率統計は結局は同じことのように見えるかもしれないが、それらははっきりと異なったタイプの情報を提供する。一つは死と関係しており、もう一つは癌の診断と関係している。死亡率とは定められた暦期間の人口に対する癌による死亡数のことである。生存率はある患者が診断後、どれだけ長く生存するかを測定している。

生存率統計には予後および治療に関係する情報が含まれているため、臨床医や患者は生存率データに関心を持つ傾向がある。米国国立癌研究所(NCI)によるSEERプログラムは、数十年に渡って癌のタイプおよび疾病の程度による生存率に関するデータを収集してきた。今日、その情報は臨床医および患者双方にとっての指針となるだろう。

「生存率統計のデータは患者に彼らの疾病についての情報を提供する手助けとして利用されている」とNCIの癌制御人口学部門(DCCPS)のサーベイランス研究プログラムのアソシエイト・ディレクターであるDr. Edwards氏は述べる。

「今日では癌の特定、診断および特徴付けについてより多くのことが知られている。そしてこのため、いくつかの癌における長期的な生存率データの比較が困難になっている」と同氏は続ける。「しかし、疾病とその治療法についてより多く知ることによって患者にはより良い結果がもたらされるだろう」とも、同氏は述べている。

例えば、ある種の乳癌におけるHER2遺伝子の役割の発見、およびHER2陽性乳癌治療薬トラスツズマブが開発されたことなどの進歩によって、今日における初期の乳癌診断は10年前と同じものではないであろう。

臨床試験では無作為にひとつまたはもう一方の集団に割り当てられた個人に対する介入の効果を測定するために、しばしば生存率が用いられる。

われわれが治療法研究の際に利用する量的データは生存率である。なぜなら研究開始時は誰でも患者は同じであり、そしてその上で患者に薬剤Aまたは薬剤Bを投与するからである」とスローンケタリング記念がんセンターのBach医師は述べている。さらに、「このことは、研究開始時にバイアスがないものと思われるため合理的である」とも述べている。

生存率統計は様々な用途がある一方で、それらは慎重に考慮されなければならない。生存率は診断年数で表されるため、スクリーニングプログラムやケアを受けるためのよりよいアクセス状況など診断を受けてからの期間を伸ばす要因は何でも、生存率を実際よりもよく見せてしまうおそれがある。

なんら害を及ぼすことがなかったと考えられるものを癌として発見することは、「過剰診断」として知られており、それによって生存率が水増しされる。例えば、前立腺癌に対する前立腺特異抗原テストを広く導入することによって、「過剰診断」が起きやすくなり、前立腺癌の生存率が見かけ上高くなってしまった。

「生存率統計には限界があり、注意を払って利用されなければならない。」とDr.Edwards氏は言及する。また、「生存率によってわれわれが知ることができるもの、そうでないものを知る必要がある」とも述べている。

生存率を進歩の尺度として使用することに対して警告する専門家もいる。時間を越えて、あるいは異なる場所間で生存率を比較することは、診断のパターンが異なる傾向があるため、問題となる可能性がある。

これらの相違点によって診断期間の測定の仕方が変わってしまい、比較の妥当性がなくなる可能性があるとダーマス医科大学のDr.Woloshin氏は述べている。同氏は生存率および死亡率に関して執筆をしてきた。

「5年生存率は予後について有益な情報を提供することができる。」とDr.Woloshin氏は述べる。「しかし、5年生存率は癌に対して進歩があったか否かを示す信頼性のある量的データではない」と同氏は続ける。

1990年にNCIによって開催された専門家による委員会では、死亡率が癌における前進を見るもっとも重要な尺度であるとの結論を出した。しかし生存率のように、死亡率も問題となるおそれがある。死亡率の正確性はどのように死を判断するかによって異なり、患者が糖尿病などのその他の病態を有している場合、またはその他の原因で死亡した場合は、以上のことは複雑になるかもしれない。

それでもなお、Dr.Woloshin氏は「現在ある癌治療の成功を測る全ての測定基準のなかで、われわれは死亡率に頼るという点には変わりはない。」と述べている。

—Edward R. Winstead

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佐々木 了子 訳
大國 義典 校正
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