2007/09/25号◆癌研究ハイライト | 海外がん医療情報リファレンス

2007/09/25号◆癌研究ハイライト

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2007/09/25号◆癌研究ハイライト

同号原文NCI Cancer Bulletin2007年9月25日号(Volume 4 / Number 26)

2007年度エルメス・クリエイティブ賞
Eニュースレター部門金賞受賞

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◇◆◇癌研究ハイライト◇◆◇

遺伝子プロファイリングにより高リスクの多発性骨髄腫患者が判明

研究者らは、多発性骨髄腫の高リスク群を予測し、将来治療を決定付けると考えられる活性を持つ遺伝子の集団を同定した。このデータは最近、癌治療開発における分子診断に関する米国癌学会第2回国際会議で発表された。本試験では一部の資金がNCIから提供された。

アーカンソー医科大学骨髄腫研究治療研究所(Myeloma Institute for Research and Therapy)の研究者らは、多発性骨髄腫患者532人を対象として血液の幹細胞移植後7年間追跡調査を行い、遺伝子プロファイルを作製して疾患の重症度を図表化した。このチームは、わずか17個の遺伝子の活性が予後不良の高リスクと低リスクとの間の差を意味する可能性があることを確認した。高リスクを予測する遺伝子の約30%が第1染色体で見つかった。

さらに、試験対象となった全患者の約13%が高リスク群に分類される遺伝子発現パターンを呈しており、再発患者ではこのパターンの頻度は76%まで増加した。再発患者における遺伝子発現リスクスコアの増加により、低リスク群患者にも高リスク細胞が一部認められるであろうことと、低リスク細胞を根絶させ高リスク細胞を残してしまう現行の治療法が最適とは言えないことのエビデンスが得られた。「遺伝子発現プロファイルは今、患者のリスク層別化と、それに応じた治療を実施するのに役立つ手がかりを与えてくれた」と、主任研究者Dr. John D. Shaughnessy, Jr.氏は述べている。

生存期間の有意な改善との解析により、ボルテゾミブ多発性骨髄腫試験が中止

多発性骨髄腫と新たに診断された患者の第1選択治療法としてボルテゾミブ(ベルケードと化学療法剤2剤の併用について試験する第3相試験が独立データモニタリング委員会(IDMC)により早期中止され、対照群患者はボルテゾミブ治療群に切り替えられることになった。

ボルテゾミブを製造するMillenium Pharmaceuticals社は先週、計画された中間解析によりボルテゾミブ、メルファラン、およびプレドニゾンの併用投与が、メルファランおよびプレドニゾンのみの投与と比較して、全生存期間、無進行期間、無増悪期間、および完全寛解率を統計的に極めて有意に改善させたことが示されたため、IDMCが患者682人を対象とする本試験(VISTA試験)を中止したと発表した。

「これらの結果により、[ボルテゾミブ]をベースとする治療法は、多発性骨髄腫と新たに診断された患者に対する新しい標準治療として位置付けられた」と、Jerome Lipper Multiple Myeloma Center at the Dana-Farber Cancer Instituteの臨床ディレクター兼本試験の主任医師の1人であるDr. Paul Richardson氏は報告書で述べている。

投資家およびメディアとの電話会議でMillenium社の代表者は、本解析データを12月に開催される米国血液学会年次会議で発表する予定であると述べた。Millenium社の主任医学責任者Dr. Nancy Simonian氏は、この結果は6月にギリシアで行われた国際骨髄腫ワークショップで発表された同様の第2相試験結果の、完全寛解率43%、3年生存率85%と同様であると述べるにとどまった。

新たな便潜血検査が大腸癌発見に有望

Northern California Kaiser Permanente medical centerの3施設の研究者らが実施した大規模な前向き試験において、便免疫化学検査(FIT)と呼ばれる一種の便潜血検査(FOBT)が左側結腸直腸癌を検出するにあたって高い感度および特異度を示した。この結果は、Journal of National Cancer Institute誌9月25日号に掲載された。

研究者らは、50歳以上で大腸癌の既往歴および家族歴のない適格なKaiser Foundation Health Plan加入者7,394人を本試験に組み入れた。3枚の検査カードに用いる便試料を全参加者から採取し、各カードに付着させた試料を、高感度の非再水和グアヤク試験(GT:現行の標準FOBTより感度の高いタイプ)、FIT、この2種類を複合した検査、の3種類の検査に使用した。全参加者のうち5,841人が正しくカードを準備し、1つ以上の検査結果が使用可能であった。このうち11%の検査結果は、1つ以上が陽性であった。

研究者らは、FITまたは複合検査が陽性と判定された参加者全員に対し大腸鏡検査を、陰性と判定された参加者全員に対しS状結腸鏡検査を受けるよう推奨した。大半の参加者が陰性と判定され、左結腸のみを描出するS状結腸鏡検査を受けたため、検査間で比較できたのは左側結腸直腸癌の検出率のみであった。全参加者に対し、結腸直腸腫瘍の診断または死亡のいずれかが発生するまで2年間追跡調査を行った。

FITによる直腸結腸癌の検出感度は81.8%、進行性結腸直腸腺腫(癌ではない腫瘍)の検出感度は29.5%であった。癌に対する特異度は96.9%、腺腫に対しては97.3%であり、複合検査では98.1%および98.4%まで増加した。

研究者らはFIT検査と現行の標準FOBT検査を直接比較してはいなかったが、別の最近の比較で優越性が示されていると説明した。「左側結腸直腸癌を検出するにあたってFITの感度および特異度は高く、[現行の標準検査]に取って代わる有用な検査法となり得る」と結論付けた。

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Oyoyo 訳
林 正樹(血液、腫瘍医)監修

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