2007/09/11号◆スポットライト「癌治療決定のための患者支援ツール」 | 海外がん医療情報リファレンス

2007/09/11号◆スポットライト「癌治療決定のための患者支援ツール」

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2007/09/11号◆スポットライト「癌治療決定のための患者支援ツール」

同号原文NCI Cancer Bulletin2007年9月11日号(Volume 4 / Number 25)

2007年度エルメス・クリエイティブ賞
Eニュースレター部門金賞受賞

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◇◆◇スポットライト◇◆◇

癌治療決定のための患者支援ツール

医師と一緒に治療計画を選択することに始まって、治療終了後の遅発障害を見きわめ、フォローアップ治療を特定するに至るまで、患者が従来以上に積極的に治療に参加できるよう後押しする双方向プログラムが、最近、出版物またはオンラインの形で提供されている。

これらのツールは、米国医療制度の不十分な部分に対処しようとする試みであり、最近発表された米国医学研究所(Institute of Medicine)の報告書に数多く記載されている。癌治療のメリットとリスクをはじめ、観察が必要な治療後の経過について患者が医療提供者と効率的に話し合うことを可能にする上で、これらのツールは癌治療において有用な補完手段となるだろう。

そのひとつが7月にオンライン上に発表されたOncoLifeと呼ばれるもので、ペンシルバニア大学アブラムソンがんセンターの癌情報サイトOncoLink.orgの癌専門医および看護師のチームが開発したものである。コンピューターを用いて、患者または医師が癌の種類や受ける治療法に応じてチェックボックスに印を入れ、ドロップダウンメニューから選択肢を選ぶことができる。このプログラムで、たとえば、二次発癌、骨密度低下、不妊症、認知障害など治療によって起こる可能性のある副作用をまとめたものを知ることができるが、これは「癌治療後ケアプラン(サバイバーシップ・ケアプラン)」と呼ばれている。

「当病院の癌専門看護師は現在、患者が癌治療に入る時点でこの治療計画を作成してひとりひとりに渡している。」と、OncoLink編集長であり、ペンシルバニア大学放射線腫瘍部の准教授兼臨床部門長でもあるDr.James Metz氏は言う。

使用者のニーズや、治療情報の更新に応じてシステムが進化できるようにOncoLifeは利用者の入力情報の履歴を残すと、Dr.Metz氏は説明する。OncoLifeの最初の更新は数ヶ月後に実施される予定である。

「医療において、ますます増えるこれらのテクノロジーの需要を牽引する『激動期』を私たちは目の当たりにしている」と、NCI医療関連コミュニケーションおよび情報研究支部(Health Communications and Informatics Research Branch)長、Dr.Brad Hesse氏は語る。同氏は電子カルテ普及時代の到来といい、医療において予測される対消費者への直接販売の趨勢といい、いずれにしても、何事も自分で取り組む姿勢へとアメリカ人を駆り立てるものであるという。

また、患者が癌治療にいっそう積極的に関わるようになっているという見解が研究によって裏づけられている。たとえば、乳癌患者に関するいくつかの研究では、患者の女性が治療計画をめぐる決定に関与すると、関与していない場合より結果や生活に対する満足度が高くなることが示された。この傾向は、受けた治療や治療数年後の転帰には無関係に認められた。

しかし、患者が治療決定ツールに頼るようになると、人間同士の関わりが希薄になる可能性があることが懸念される。NCI全国医療情報動向調査(Health Information National Trends Survey、HINTS)の最新データは、オンラインや印刷物などの無機質な情報源より、人から直接伝えられる医療情報の方が好ましいと考える人が増加していることを示している。

「私たちが住む世界は新しく移り変わり、患者や癌サバイバーが自らの健康状態に以前より大きな責任を負うことを求められるようになったが、未だその状態は満足できるものではない」と、NCI癌生存者オフィスのDr.Julia Rowland氏は述べる。「たとえば、高齢の生存者や文化背景が異なる人のなかには、医師が父親を演じる治療モデルの方が居心地がよいと感じ、癌治療に関する選択を迫られた場合、医師に決定を委ねたいと思う人がいる。」と説明する。

また、情報を読み取る能力や数字を読み取る能力(確率や「見込み」など、リスクに関する数字が実際は何を意味するかを理解する能力)が低いと、有用な情報も使い物にならなくなるばかりか、医療専門家の関与がなければ恐怖を与える要因ともなりうる。このため、IOMの報告は、正式な退院相談の際には医療専門家が患者と一緒に『癌治療後ケアプラン』を見直すことを推奨している。

NCI基礎および生物行動学研究プログラム(Basic and Biobehavioral Research Program)部長のDr.Wendy Nelson氏は、患者が医療情報にアクセスしそれを理解するためにテクノロジーがどのように支援できるかを検討するいくつかのプロジェクトにNCIは出資していると語る。「治療決定支援ツールが万能の解決策となるわけではないが、患者と医師とが一緒に意思決定していくうえで有用な補助ツールとなる可能性を秘めている。しかし、これらを発展させる上で、治療決定支援ツールがどのように機能し、どのように用いられているかなど、まだ多くのことを知らなければならない。」

—Brittany Moya del Pino

ウェブ上の治療決定支援ツール 研究所から一般に向けて多くのウェブ上の治療決定ツールが公開されている。ツールの詳細情報や例は以下のサイトを参照。NCI’s list of Cancer Risk Prediction Resources
(NCIの癌リスク予測に関する情報のリスト)The Harvard Disease Risk site
(ハーバード大学癌予防センターの疾患リスクに関するサイト)癌に関する情報が掲載

OncoLink
(癌治療後ケアプランに関する情報)

ASCO Survivorship Resources
(ASCOの癌生存者に関する情報)

The Lance Armstrong Foundation’s LIVE STRONG Cancer Treatment Summary
(ランス・アームストロング財団の癌治療に関するまとめ)

NCI Benchmarks article on Passport for Care
(NCIの「治療のためのパスポート」に関する指標)インターネットによる癌治療後ケアプラン

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Nobara 訳
島村 義樹(薬学)監修
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