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2007/08/21号◆特集記事「同種幹細胞移植後サバイバーは長期的な困難に直面している」

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2007/08/21号◆特集記事「同種幹細胞移植後サバイバーは長期的な困難に直面している」

同号原文NCI Cancer Bulletin2007年8月21日号(Volume 4 / Number 24)

2007年度エルメス・クリエイティブ賞
Eニュースレター部門金賞受賞

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◇◆◇特集記事◇◆◇

同種幹細胞移植後サバイバーは長期的な困難に直面している

同種造血幹細胞移植(HCT)を行い2年以上生存した人たちは、治療15年後においても死亡リスクが増大していることが、Blood誌オンライン版8月1日号掲載の新しい試験に報告されている。このサバイバー集団は、就労や健康保険ならびに生命保険への加入・継続に関する問題を含めた全般的な健康および福祉に影響を及ぼす長期的な困難にも直面している。

「幹細胞移植の進歩がこの治療を根治目的のものにした」と、本試験の筆頭著者であり、City of Hope 総合癌センターの人口学の教授であるDr. Smita Bhatia氏は語る。「われわれはサバイバーに目を向ける必要がある。研究対象としたコホートの半数が9年半以上生存しており、さらにわれわれは、このサバイバーらが苦難の道を歩んでいることを明らかにした」。

本結果は、2000年に開始し、1974~1998年にCity of Hope 総合癌センターまたはミネソタ大学で血液や骨髄機能不全関連の癌に対してHCTを実施したコホート1479例を集積した骨髄移植後サバイバー試験(Bone Marrow Transplant Survivor Study :BMTSS)の長期追跡データを基にしている。

移植から2年以上生存した全患者のうち、2003年6月30日までに死亡したのは21.6%であった。HCT後5年の生存可能性は86.6%、10年では80.4%、15年では76.3%であった。「全体として、健常者と比較した早期死亡は予想の10倍を超えた」と著者らは語る。治療関連の疾患および慢性移植片対宿主病が、それぞれ死亡原因の25%、22%を占めた。

健常者と比較した相対死亡率はHCT後2~5年で最も高かったが、移植15年後でも2倍と高いままであった。肺機能不全による死亡リスクが15.1%高く、心合併症による死亡リスクが2.3%高いなど、サバイバーには重要臓器に及ぼす治療の影響が関与する特定の死亡リスクが認められた。

サバイバーが直面している社会的な困難をより明確にするため、研究者らはBMTSS対象者547例と、年齢が最も近い兄弟姉妹319例の調査データを収集した。兄弟姉妹と比較したところサバイバーは、就職の妨げになる健康上の問題を有する傾向が14倍、健康保険への加入や継続加入が困難である傾向が7倍、生命保険への加入または継続加入が困難である傾向が10倍であった。サバイバーは健康な兄弟姉妹と比較して結婚している傾向が有意に低かった。「彼らは社会復帰を果たしていない」とDr. Bhatia氏と語る。

「晩期にみられる影響や合併症に注意するため、この集団に対しては特別なフォローが必要である」と彼女は続けた。「癌治療チームと移植チームならびに患者の担当医との間に良好な連携を持つこと、または移植患者を生涯追跡しうる仕組みを作ることのいずれかが必要である」。

NCI癌生存者オフィスのディレクターであるDr. Julia Rowland氏はこの結論に賛同している。「本報告書は、サバイバーが治療を終えた時点で治療の概要と今後の治療計画を受け取る必要があることを、強く主張している。これは支援団体も支持している」と彼女は述べた。「それらの文書には、サバイバーが罹患した癌種や、受けた治療、結果として彼(彼女)が高いリスクにおかれているかもしれない問題に関して詳細に記すべきであり、さらに重要なことだが、今後の推奨される経過観察の概要を記すべきである。このことは将来的な癌調査や医療ニーズに関する計画立案の際に、サバイバーや医療提供者にとって指針となるだろう。

本研究で確認された身体的、心理社会的な合併症ともいえる多くの問題は、早期介入を行えば、低く抑えることが可能だったかもしれない。このように、合併症を迅速に発見し治療するという系統的なフォローを行うことによって、サバイバーの晩期合併症や死亡をさらに低下させることが可能になるだろう」と、Rowland氏は結んだ。

— Sharon Reynolds

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Okura 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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