2007/08/21号◆癌研究ハイライト | 海外がん医療情報リファレンス

2007/08/21号◆癌研究ハイライト

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2007/08/21号◆癌研究ハイライト

同号原文NCI Cancer Bulletin2007年8月21日号(Volume 4 / Number 24)

2007年度エルメス・クリエイティブ賞
Eニュースレター部門金賞受賞

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◇◆◇癌研究ハイライト◇◆◇

HPVワクチンは既に感染している場合の治療には効果がない

Journal of the American Medical Association誌8月15日号に発表された試験によれば、子宮頚部癌の原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)感染予防のために開発されたワクチンは、既存のHPV感染を有する女性の治療には無効であることが明らかになった。

コスタリカにおいて、NCI癌疫学遺伝学研究部門(DCEG:Division of Cancer Epidemiology and Genetics)およびコスタリカの試験責任医師らにより、女性2,189人を対象とする地域ベースのランダム化試験が実施された。研究者らは、A型肝炎ワクチン投与対照群と比較してHPVワクチン投与群においてHPV感染がいかに急速に除去されるかという点において、有意差を認めなかった。6ヵ月後のフォローアップ来院時には、HPV16型および18型に対するワクチンを受けた女性のウイルス除去率は33.4%であり、対照群では31.6%であった。12ヵ月後のフォローアップ来院時には、HPVワクチン群のウイルス除去率は48.8%であり、対照群で49.8%であった。

「本試験の主な知見は、すでに感染している女性においてHPVワクチンがウイルス除去率を促進するのに役立たないことが証明されたことであった。したがって、HPVに感染している女性は、感染や関連病変を治療するのにワクチン接種を受けるべきではない。本試験は、性的活動を始める前の若い女性を対象とするHPVワクチンの重要性を強調している」と、DCEGのDr.Allan Hildesheim氏は述べている。

本試験は、コスタリカ人女性7,466人を対象とするより大規模な地域ベースの臨床試験の一環として行われた。より大規模な試験が、有効性、予防期間、およびHPVとHPV関連疾患に対するワクチンの世界的影響など、ワクチンについての広範な問題について取り組むと考えられる。その他の質問の中で、「この試験によって、すでに感染し、自然に感染が除去された女性にとってワクチンが重要であるかどうかという問題にも言及されるであろう。」と、Hildesheim医師は述べている。

併用化学療法が再発性/難治性多発性骨髄腫に利益をもたらす

第3相臨床試験の指導者によれば、試験の中間結果により、新しい併用療法が再発性または難治性の多発性骨髄腫患者に対する新たな標準治療法となることが示唆されている。

8月6日にJournal of Clinical Oncology誌オンライン版で早期に発表された、患者646人を対象とする試験の最新の生存期間分析において、ボルテゾミブ単独と比較して、ペグ化リポソーム・ドキソルビシン(ドキシル)とボルテゾミブ(ベルケイド)の併用がTTP(疾患進行までの時間の中央値)を改善し(9.3ヵ月と6.5ヵ月)、15ヵ月間の全生存率が優れていた(15ヵ月目に生存していたのは、併用群で76%、ボルテゾミブ単独群で65%であった)。

この結果は、ボルテゾミブ単独が全病期の多発性骨髄腫治療によく使用される別の薬剤デキサメタゾンよりも優れていることが示された第3相試験の2年後、かつ、再発性または難治性疾患患者においてレナリドマイド(レブリミド)とデキサメタゾンの併用がデキサメタゾン単独よりも優れていることが示された試験の1年後に得られた。

ボルテゾミブ/ドキシル併用により奏効期間も延長された、とテキサス大学M.Dアンダーソンがんセンターの試験責任医師Robert Z. Orlowski氏らは報告した。しかし、こうした併用投与の利益とは、高度の血液性(好中球減少症等)および消化管性(下痢、悪心等)の毒性など、有害事象リスクの増加の代償として得られたものである。

DOXIL-MMY-3001試験としても知られている本試験結果に基づいて、米国食品医薬品局が最近、以前にボルテゾミブの投与を受けていない多発性骨髄腫患者、および1つ以上前の治療法として受けたことのある多発性骨髄腫患者の治療にこの併用療法を使用することを承認した。

大腸癌に対する補助療法においてイリノテカンは有効ではない

Cancer and Leuchemia Group B(CALGB)試験結果によれば、病期IIIの大腸癌の補助療法において、5-フルオロウラシル(5-FU)およびロイコボリンにイリノテカンを追加すべきではない。スローンケタリング記念がんセンターのLeonard B. Saltz医師らが主導したCALGB89803試験では、補助療法下で生存期間に利益が認められなかった。この結果は、Journal of Clinical Oncology誌8月10日号に掲載される。

「これらの結果は予期せぬものであった。CPT11(イリノテカン)は、術後補助療法の試験対象として認められた転移癌患者において、以前活性が明確に証明された」と、フィラデルフィアのフォックスチェイスがんセンター(Fox Chase Cancer Center)のDr.Neal Meropol氏は関連の論説で述べた。

「CPT11(イリノテカン)は、転移癌患者において、以前有効性が明確に証明された。転移性癌患者での結果は 術後補助化学療法の土台となるのだが。」

以前の試験で、Dr.Saltz氏らは転移性大腸癌患者において、5-FUおよびロイコボリン単独投与と比較して、5-FUおよびロイコボリンへのイリノテカンの追加により、わずかではあるが、生存率が統計的に有意に改善されたことを確認した。これらの知見に基づいて、さほど進行していない疾患を有する患者に対する手術後に3剤併用療法を施行したときも効果が認められると期待された。

「Dr.Saltz氏らの報告は強いメッセージを送っている。明白なことが間違っていると証明されることはしばしばあるものだと、歴史が教えてくれている。だから、ランダム化試験でこの明白性を証明する必要がある」と、Meropol医師は述べている。

Dr.Saltz氏らも同じ意見である。「われわれの試験結果は、臨床試験の正式な評価が完了する前に、結論に飛びつくことの危険性を示している」

さらに、イリノテカンと5-FUおよびロイコボリンの併用は、白血球数の大幅な減少、感染の増加、嘔吐、および倦怠感など、治療による毒性を有意に増加させた。イリノテカン追加群に割り付けられた患者635人の10%以上(65人)が、有害事象により投与中止となった。3剤併用投与を受けた別の82人は試験から脱落したが、これは5-FUおよびロイコボリン投与群の脱落患者数の2倍以上である。試験組み入れから60日以内にイリノテカン投与患者14人が死亡し、5‐FUおよびロイコボリン投与群では5人が死亡した。

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Oyoyo 訳
小宮 武文(NCI研究員)監修

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