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2007/08/21号◆注目の臨床試験「脳転移に対する放射線治療」
- 2007年8月21日
同号原文| NCI Cancer Bulletin2007年8月21日号(Volume 4 / Number 24)
2007年度エルメス・クリエイティブ賞 Eニュースレター部門金賞受賞 |
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◇◆◇注目の臨床試験◇◆◇
脳転移に対する放射線治療
◇臨床試験名
脳転移患者における定位手術的放射線照射に全脳照射を加えるべきか否かの第3相ランダム化比較試験(NCCTG-N0574)。試験プロトコルの概略は以下を参照のこと。
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/NCCTG-N0574
◇臨床試験責任医師
Paul Brown医師、 Kurt Jaeckle医師、Richard Deming医師、Elana Farace医師、Bruce Pollock医師(NCCTG);Anthony Asher医師 Fred Barker医師(ACOSOG); Anthony Asher医師(RTOG)
◇この試験が重要な理由
癌の脳への転移(脳転移)は多くの成人の癌において、しばしば起こる現象である。治療可能な脳転移の患者であれば、有意な延命が得られる。
全脳照射と定位手術的放射線照射は、脳転移の治療における有用性が証明された手法である。全脳照射放射線療法は1コース2、3週間かけて、増加した線量で脳全体に照射する方法である。一方、定位手術的放射線照射は、さらに高線量の照射1回を、直接、腫瘍に対して行うもので、正常な脳細胞が有害な放射線に曝されるのを最小限に抑える。
この試験では、定位手術的照射のみの群と、定位手術的照射のあとに全脳照射を行う群とを比較検討している。医師らは、全脳照射を加えることが、今後の転移予防の点で有利なのか、そしてまた、どの程度全脳照射が患者のQOLや認知能力に影響するかを確かめたいと考えている。
Brown医師は次のように述べる。「全脳照射を前もって施行することは脳転移を予防する確立された方法であるが、そのベネフィットの代償として認識能力やQOLの低下といった問題が考えられる。したがって、このセッティングでの全脳照射はいまだに賛否の分かれるところである。われわれは、この試験によって、手術的照射後の脳転移に対する治療として全脳照射を用いることの意味を明確にしたい。」
試験の修正案によって手術放射線を施行するための非侵襲的固定具の使用が許容されたことである。これによって、これまでより多くの治療施設に試験参加が開放されるだろう。」
◇試験の参加可能な人
研究者らは、体の他の部位からの脳転移1~3ヵ所を有する18歳以上の528人の患者を登録する。適格基準のリストについては下記URLを参照のこと。
◇試験を行っている施設と問合せ先
米国の複数の施設でこの試験への参加患者を募集している。問合せ先一覧は以下を参照。
http://cancer.gov/clinicaltrials/NCCTG-N0574
または、さらに詳細についてはNCI癌情報サービス1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)まで。このフリーダイヤルの内容は秘密厳守される。
過去の「注目の臨床試験(原文)」については以下を参照。
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/ft-all-featured-trials
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野中 希 訳
平 栄 (放射線腫瘍科) 監修
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