[ 記事 ]
2007/08/07号◆注目の臨床試験「肺癌における切除手術後の補助療法」
- 2007年8月7日
同号原文| NCI Cancer Bulletin2007年8月07日号(Volume 4 / Number 23)
2007年度エルメス・クリエイティブ賞 Eニュースレター部門金賞受賞 |
____________________
◇◆◇注目の臨床試験◇◆◇
肺癌における切除手術後の補助療法
◇臨床試験名
腫瘍を完全切除した病期ⅠB-ⅢA期非小細胞肺癌患者に対して、補助化学療法にベバシズマブを加えるか否かを比較する第3相ランダム化比較試験(ECOG-E1505)。試験プロトコルの要旨は以下を参照のこと。
http://cancer.gov/clinicaltrials/ECOG-E1505
◇臨床試験責任医師
Heather Wakelee医師、Alan Sandler医師, Steven Keller医師(ECOG):David Gandara医師、Eric Vallieres医師(SWOG):Stephen Graziano医師、Richard Battafarano医師(CALGB):Charles Butts医師(NCIC-Clinical Trials Group)、Alex Adjei医師(NCCTG)
◇この試験が重要な理由
乳癌、大腸癌、前立腺癌を合わせた以上の数の米国人が、毎年肺癌によって死亡している。手術によって治癒可能な場合もあるが、多くの患者が再発を経験し、最終的にこの疾病によって死亡する。必然的に、医師らは、残った癌細胞を殺してしまう試みとして、外科手術の後に化学療法を行う(術後補助化学療法)ことがしばしばである。
化学療法にモノクロナール抗体ベバシズマブ(アバスチン)を加えることは、一部の手術不能な進行性および転移性非小細胞肺癌(NLCLC)患者の生存を延長させる。現在医師らは、ベバシズマブを補助化学療法に加えることが、腫瘍摘出手術後の早期の非小細胞肺癌患者の生存を延長させることが出来る否かを検定することに関心をもっている。
ベバシズマブは腫瘍血管の増生(血管新生)を促進する血管内皮細胞増生因子(VEGF)と呼ばれる蛋白質の活性を遮断する。血管新生は、腫瘍が数ミリ以上に大きくなるに必要な酸素と栄養を得るために腫瘍にとって必須である。
「化学療法に加えた場合ベバシマブは、進行非小細胞肺癌患者に延命をもたらすことが証明されている。」Wakelee医師は語る。「この薬剤の作用機序から、われわれは、完全切除後の早期肺癌患者へ化学療法とともにベバシズマブを投与することは、病勢の進行の発展を遮断させ、これらの患者の一部を治癒に導くことを可能にしたいと希望を持っている。」
◇試験の参加可能な人
研究は、外科手術によって、完全に腫瘍を切除した病期ⅠB-ⅢA期非小細胞肺癌患者1,500人の登録に努めている。適格基準のリストについては下記URLを参照のこと。
◇試験を行っている施設と問合せ先
米国の複数の施設で、この試験への参加患者を募集している。問合せ先一覧は以下を参照。
http://cancer.gov/clinicaltrials/ECOG-E1505
または、さらに詳細についてはNCI癌情報サービス1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)まで。このフリーダイヤルは秘密厳守。
過去の「注目の臨床試験(原文)」については以下を参照。
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/ft-all-featured-trials
******
野中 希 訳
古瀬 清行(呼吸器科医)監修
******
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。