2007/07/10号◆スポットライト「癌ワクチン最新報告-新しい発想」 | 海外がん医療情報リファレンス

2007/07/10号◆スポットライト「癌ワクチン最新報告-新しい発想」

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2007/07/10号◆スポットライト「癌ワクチン最新報告-新しい発想」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年7月10日号(Volume 4 / Number 21)
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◇◆◇スポットライト◇◆◇

癌ワクチンの最新情報-新しい発想

何百万もの人を死に至らしめた多くの致命的な伝染病は、病原体が病気を引き起こす前にそれを認識し攻撃する免疫システムを刺激するワクチンによって、現在は制御されている。癌にもまもなく同様なことが起きるかもしれない。

この目標に向けての最初の大きな前進は最近のことであった。つまり、子宮頸癌の主たる原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)感染予防のために、Gardasil〔ガーダシル〕を米国食品医薬品局(FDA)が承認をし、メルク社が製造を始めたときである。HPVワクチンは癌ワクチンの1つのタイプで、癌が発症する前に予防をするかもしれない。その一方、癌治療ワクチンは、患者の免疫システムが既に存在している癌細胞に対抗するように助けるかもしれないワクチンである。

「癌ワクチンの分野は多大な進歩がある」と、癌研究センター(CCR)にある米国国立癌研究所(NCI)の腫瘍免疫学・腫瘍生物学研究室(Laboratory of Tumor Immunology and Biology)の室長であるDr.Jeffrey Schlom氏は述べている。

しかしながら、Dr.Schlom氏は、癌を引き起こす状況を防止するより固形癌を攻撃する癌治療ワクチンは、全体の腫瘍量が少ない早期癌もしくは転移癌の治療に最も用いられやすいであろうと指摘している。

「ワクチンに出来ることには限りがある」とDr.Schlom氏は語る。これは、大きな腫瘍の塊の場合には、ワクチンにより活性化したリンパ球は多数の癌細胞に立ち向かわなければならないからである。そしてこの闘いの勝算はあまり良いものではない。「例えて言うなら、取っ組み合いの喧嘩のようなものである」と説明した。ここ数年の研究では、ワクチンは、外科手術により癌の大半を取り除いた後、他の標準治療と併用した場合に最も効果的であるかもしれないことを示している。

もしワクチンが化学療法や放射線治療と同時に投与されるのなら、この戦略はことに効果的であるかもしれない。これはワクチンブースターやサイトカインが免疫反応を増大させると同時に、癌が検知され攻撃されやすくなると思われるからである。Dr.Schlom氏は、薬や放射線による受動的な治療法と、ワクチンにより引き起こされるダイナミックな免疫過程を対比させた、Clinical Cancer Research誌7月1日号の概説記事でこの現象を説明した。

これらのワクチン戦略をテストするランダム化第2相試験は、このデータが公表された時点で対照群に対して生存期間の中央値を4~8ヶ月延長したことを示している。このときの全生存期間は3~5年であった。これらの試験の多くが継続されれば、生存期間もより長くなるかもしれない。

NCIのCCRのDr.James Gulley氏は、NIH臨床リサーチセンターで、腫瘍に注射するワクチンの効果を調べる試験や、免疫を賦活する添加物、抗体や腫瘍関連抗原を作るウイルスベクターをテストするための、5つの第1相と第2相の臨床ワクチン試験を主導している。

「ワクチン単独でも、前立腺癌、卵巣癌と乳癌の患者に臨床的反応が認められた。抗CTLA-4モノクローナル抗体をワクチンに加えると、転移性前立腺癌の患者集団の一部において、臨床的恩恵がさらに向上されるようだ。」と、Dr.Gulley氏は記している。

CCRのDr.Philip Arle氏はDr.Gulley氏に協力して、前立腺癌または乳癌患者に対するホルモン剤、あるいは低用量単剤抗癌剤(標準的な多剤併用療法より毒性が低い)にワクチンを併用する療法をテストする臨床研究センターでの2つの第2相試験を主導している。これらの試験の中間結果によると、ワクチン療法は忍容性があり、そして、患者の中には病状が進行することなく1年以上も治療を続けている人もいることを示している。

「癌治療ワクチンは患者に恩恵を与えることが出来るという予備的証拠がある」とDr.Arlen氏は述べる。「ここNCIでは、われわれはこれらをどのように利用するか、例えば、どんな患者集団に用いるかといったことや、どのような治療と組み合わせたらよいかといったことを検証する小規模で最先端の試験をさらに進めることが出来る。」Dr.Arlen氏は、現在、ワクチン治療戦略の一環としてホルモン療法と同種幹細胞移植の臨床試験を計画している。

10数種類以上のワクチンが、用量、追加スケジュールや、ワクチンを投与する部位等を含む使用条件を改良するための第3相試験中、あるいはそれに近い段階にある。しかし、今現在をもってもFDAはどの癌治療ワクチンにも認可を与えていない。

「私は、今後5年以内にFDAが癌ワクチンを認可すると思いたい。」とDr Schlom氏は述べ、「多分、2~3年以内に1つ、2つは認可されるであろう。しかし、ワクチン試験が計画され、評価される方法において初のパラダイム変化を必要とするため私たちには確かなことは言えない」と続けた。

Dr.Schlom氏は、今年の春にFDAにより検討された進行性前立腺癌に対するワクチンのProvengeのケースを指摘する。このケースでは、患者の生存の延長は示されたものの、この試験の主要評価項目である腫瘍の進展を減少させることが出来なかった。「多分、ワクチンは病巣を検知し続けることが出来るが、全体の腫瘍量を減らすことが出来ないためであると思う」とDr.Schlom氏は述べる。

倫理的には、患者は実験的治療を提示される前に、実証された利益を伴う治療を提示されなければいけない。そのため、治療ワクチン試験に参加する患者は、外科手術を行っており、癌が転移をしていて、そして、抗癌剤治療、放射線治療やホルモン治療を含む術後補助療法を1ラウンド以上、既におこなっている。「この時期には、多くの患者に腫瘍の再増大が認められ、これはワクチン試験にとって理想的な状況ではない。」とDr.Schlom氏は述べる。

「私たちは、今、これらの試験を標準治療と併用するか、あるいは、標準治療と比較をするかといったことを考えることが出来るポイントにさしかかっている」とDr.Schlom氏は述べ、NCIとFDAが今年の2月にNIHにおいて、ワクチンや他の免疫療法をどのようにしたら最も免許付加に発展できるかに付いて会議を開いたことを記した。「しかし進行癌の場合は、他の免疫療法のほうがより有益であろう」と彼は述べる。

癌ワクチンの詳細については下記参照のこと:
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/learning/cancervaccines

— Brittany Moya del Pino

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Nogawa 訳
榎本 裕(泌尿器科医)監修

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