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米国臨床腫瘍学会(ASCO)の臨床診療ガイドライン2006 喉頭癌治療

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米国臨床腫瘍学会(ASCO)の臨床診療ガイドライン2006 喉頭癌治療

No227 米国臨床腫瘍学会(ASCO)の臨床診療ガイドライン2006  喉頭癌治療

ASCO -ガイドライン-

原文 
喉頭癌治療における喉頭温存療法の戦略に対する米国臨床腫瘍学会(ASCO)の臨床診療ガイドライン2006

David G. Pfister, Scott A. Laurie, Gregory S.Weinstein, William M.Mendenhall,
David J.Adelstein, K. Kian Ang, Gary L. Clayman, Susan G.Fisher, Arlene A.
Forastiere, Louis B. Harrison, Jean-Louis efebvre, Nancy Leupold, Marcy A.
List, Bernard O. O’Malley, Snehal Patel, Marshall R.Posner, Michael A. Schwartz,
and Gregory T. Wolf
J Clin Oncol 24:3693-3704, 2006

目的:喉頭の形態と機能を保つ意図で喉頭癌の治療を行うための臨床診療ガイドラインを作成すること。このガイドラインは臨床試験以外の患者の診療を行う腫瘍医が用いるためのものである。

方法:多くの専門分野からの専門家からなる委員会が、扱われるべき臨床管理上の問題点をはっきりさせ、2005年 11月に利用可能な文献を、喉頭癌のみを対象とした無作為化比較試験に重点を置いて検討した。生存率、喉頭温存率、そして副作用を主要な転帰として調査された。ガイドラインは部内検討ののち、専門部会、それ以外の専門家による外部検討、American
Society of Clinical Oncology (ASCO) Health Services Committee、ASCO理事会の承認を受けた。

結果:適切に選択された患者に対しては生存率を損なうこと無しに喉頭温存療法を行うことを支持するエビデンスがある。しかし、喉頭全摘と補助療法(必要があればリハビリ)に比較して、喉頭温存法のほうが生存率が有利になるわけではない。

勧告:すべての T1、T2喉頭癌患者は、まれな例外を除き、最初は喉頭温存を意図して治療がなされるべきである。T3、T4症例で軟骨から軟部組織へと腫瘍が浸潤していないほとんどの場合では、喉頭温存法は適切で、標準的な治療選択肢であり、化学放射線同時併用療法は、最も多くの場合に適切な方法である。最高の結果を確実にするためには、特殊な専門知識と、多くの専門分野にわたるチームが必要である。
そして、そのチームは喉頭全摘を含む治療と比較して、当該患者の喉頭を温存する選択肢の利点と不利益について十分討論すべきである。

PMID: 16832122


[勧告の概要] 

limited state (T1,T2)
・すべての T1、T2喉頭癌患者は、最初は喉頭温存を意図して治療がなされるべきである。

・T1、T2喉頭癌は放射線治療でも、喉頭温存手術でも類似した生存率である。治療法の選択は、患者因子、その施設での専門技能、適切なリハビリやサポート体制の有無による。外科手術と放射線治療を併用することは避けなければならない。どちらか単独のみで効果的であり、複合させた治療により喉頭温存が困難となるかもしれない。

・外科手術の際は、断端マージンを十分とること。マージンを狭くして術後照射を行うことは、受け入れられない治療戦略である。

・放射線治療後の局所再発の場合、救済的な温存手術が可能かもしれないが、患者の多く、特に T2症例では喉頭全摘が必要となるだろう。

・化学放射線治療同時併用療法は、特定のStage III,T2 N+症例で喉頭全摘が唯一の手術選択肢の場合や、喉頭温存手術後の機能温存があまり期待できない場合、もしくは喉頭温存術そのものが技術的に不能な場合には用いられるかもしれない。

・limited state の喉頭癌は病態が多岐にわたる。したがって、腫瘍の進展範囲や大きさ、前交連への浸潤の有無、リンパ節転移の有無、年齢、職業、優先度、コンプライアンス、放射線治療や手術における専門性がどの程度か、そして頭頚部癌の既往の有無などを鑑みた判断の訓練を臨床医はすべきである。

T3,T4
・喉頭温存手術、化学放射線治療同時併用療法、そして放射線治療単独のいずれも、後の救済手術を選択肢として残すならば、生存率を落とすことなく喉頭温存療法を提案可能である。喉頭を温存できる可能性や、副作用、それぞれの患者にむいているかどうかは、それらの手法によりさまざまである。治療法の選択は、患者因子、その施設での専門技能、適切なリハビリやサポート体制の有無による。

・すべての患者は喉頭温存療法に適しているかどうかを評価すべきである。また、すべての患者はそれらの治療法の選択肢について知らされるべきである。

・、喉頭全摘と適切な補助療法とリハビリを行うことに比較して、喉頭温存法のほうが生存率が有利になるわけではない。

・T3-T4症例のなかには、supracricoid partial laryngectomyなど特別な喉頭温存手術が可能な症例も少数ある。術後放射線治療を行うことは予想された機能温存を危うくするだろう。喉頭温存手術前の術前化学療法は臨床試験以外の場合は推奨されない。

・化学放射線治療同時併用療法は照射野内の副作用の可能性は増えるが、放射線単独治療や、化学療法後の放射線治療と比較して有意に喉頭温存ができる可能性が高くなる。

・エビデンスにもとづけば、この場合に用いられる抗癌剤としては、シスプラチンが最も有効である。

・T3-T4症例について、化学放射線治療前に導入化学療法を施行することが生命予後の改善や喉頭温存率の改善をもたらすということについては確たるエビデンスは存在しない。

・喉頭温存手術や化学放射線治療の適応がないにもかかわらず、喉頭温存を強く希望する患者に対しては、放射線治療単独は適切な治療法である。放射線単独治療は救済手術をあわせることで化学放射線治療と同等の生存を期待できるが、喉頭を温存できる可能性は低い。

頚部の領域リンパ節転移
・喉頭が T1-T2病変で臨床的にリンパ節転移が無い (N0) ほとんどの患者においては、通常の頚部の予防治療は必要としない。
・喉頭が進行した病変であったり、声門上癌である場合は臨床的に N0であっても頚部に対して予防的な治療を加えるべきである。

・臨床的に領域リンパ節転移を有する患者 (N1)で、根治的放射線治療もしくは、化学放射線治療がなされ、完全奏効に至った場合は予防的な頚部廓清術は必要としない。頚部廓清は放射線治療で完全奏効に至らなかった症例で施行されるべきである。

・N2-N3症例で放射線治療もしくは化学放射線治療がなされた場合、効果の程度の如何に関わらず頚部の外科手術が推奨される。頚部廓清にともなう死亡リスクや、多くの症例で病理診断でも癌細胞が陰性が見込まれることから、外科医や患者が頚部廓清に消極的な場合もあるが、こういった状況での画像から転移の有無をみる標準的な方法が存在しないことが意思決定プロセスに有効である。もし、この状態の後、頚部の再発病変に対して救済手術を行っても、ほとんど成功しない。これらの
2点を、放射線治療もしくは化学放射線治療により明らかに臨床上完全奏効となった症例で経過観察を選択したすべての患者と討論しておくべきである。

・臨床上リンパ節転移があり原発巣を手術した症例は頚部廓清をすべきである。もし高リスクであれば術後の化学放射線治療同時併用療法が適応となる。

喉頭温存療法が選択できる患者について
・喉頭温存療法の転帰を常に示しうる有効なマーカーは存在しない。しかしながら、軟骨から軟部組織へと浸潤がみられる腫瘍の患者は喉頭温存療法の対象にはほとんどならない。こういう状況では第一選択は手術であり、通常は喉頭全摘が推奨され
る。

・個々の患者の治療法選択だけでなく、合併症、心理的な状況や関心、その施設での専門技術についても多くの専門分野にわたるチームによる評価を必要とする。

・喫煙を継続することは放射線治療後の成績が悪くなる。患者は診断後から治療期間中は喫煙を控えることが推奨される。

(平 栄(放射線腫瘍科) 翻訳寄稿)

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