アロマターゼ阻害剤による関節症状およびその他の有害事象/Medscape2006/12 | 海外がん医療情報リファレンス

アロマターゼ阻害剤による関節症状およびその他の有害事象/Medscape2006/12

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アロマターゼ阻害剤による関節症状およびその他の有害事象/Medscape2006/12

原文 | Medscape
エキスパート・コラムアロマターゼ阻害剤による関節症状およびその他の有害事象
Medscape

Zosia Chustecka

2006年12月22日(サンアントニオ)-アロマターゼ阻害剤(AI)に関連する有害事象についての新たな詳細情報が、サンアントニオ乳癌(SABC)シンポジウムの複数のポスター発表で報告され、この比較的新しい薬剤についてもっと知りたいと熱望する医師らが殺到した。ここ数年で、3種のAI-アナストロゾール(アリミデックス、アストラゼネカ社)、エキセメスタン(アロマシン、ファイザー社)、レトロゾール(フェマーラ、ノバルティス社)-が、ホルモン受容体陽性乳癌患者で、閉経後の女性における術後補助療法剤として発売された。AIはエストロゲン合成を阻害する作用によって、これまでの標準療法である選択的エストロゲン受容体修飾剤(SERM)のタモキシフェンに対する代替療法となる。

あるプレゼンテーションでは、AIによる関節症状は、以前の臨床試験で示されていたよりも、頻繁にみられ、より深刻であると結論付けた。ニューヨーク、コロンビア大学のHerbert Irving総合がんセンターのKatherine Drew医師らは、2002年から2004年の間に報告された大規模術後療法試験により、筋骨格疾患の罹患率が20%から30%で、5%近くの患者が副作用のために治療を中止したことを指摘した。

しかし、コロンビア大学で学究的医療を受けた200人の患者のクロス・セクショナル(横断的)試験では、47%の患者がAI関連性の関節痛を訴え、44%がAI関連性の関節硬直を訴えた。

関節症状を訴えた患者のうち約3分の2の患者は、症状は中程度から重度のものであり、最もよく症状が現われたのは膝と手であると訴えた。症状緩和のため、これらの女性患者の半数強(52%)は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、アセトアミノフェン(パラセタモール)などの経口薬を服用し、46%は非薬物的方法(主に運動)をとった。

これらの患者において、関節症状のリスクは、年齢、使用されたAIの種類、服薬期間とは関連がなかった、と研究者らは述べた。しかし、過体重および以前に受けたタモキシフェン療法は負の方向に関連した。また、以前のタキサン系薬剤の服用は、AI関連性関節症状の有力な予測因子であった。タキサン系薬剤を使用した患者は、使用しなかった患者よりも、AI服用中に関節痛や関節硬直を発症する可能性が4倍であった。

「AI療法の成功は、患者が推奨治療を遵守できるかどうかにかかっているので、これらの症状を緩和したり、生活の質(QOL)を向上させる治療法に関してさらなる試験が必要である。」とCrew医師らは結論付けた。隣接したポスター発表において、同チームは、鍼治療が関節症状の治療に有効であった事例を報告した。21人の女性患者における単一群パイロット試験では、痛みや硬直の改善および鎮痛剤使用の減少がみられた。

別のポスター発表では、米国患者支援団体のBreast Cancer Action(BCA)が実施したインターネットでの患者調査による結果が発表された。2005年8月に開始されたこの調査は、アロマターゼ阻害剤に関連した38の有害事象(FDAの承認薬ラベルを基に決められた)のリストを載せ、更に回答者がリストに無い有害事象を経験したかどうかを尋ねた。

回答した612人の女性のうち、ほぼ全員(96%)が1つ以上の有害事象を報告した。約30%の女性が治療を中止したと回答し、そのほとんど(87%)が耐え難い有害事象のためであり、47%が関節関連の問題であった。回答者の半数以上は、脳卒中、咳、腕や脚の腫れ、風邪に似た症状、不安を訴えた。その他の有害事象には、膣の萎縮や乾燥、コレステロール値の上昇、痛み全般などがあった。報告書全文および回答者からのコメントは、インターネット上で入手可能である。

「この調査に回答した女性の中には、多大な苦痛を感じている人がいることは明らかです。」と筆頭著者のMarilyn Zivian博士はコメントし、「患者は医師が知るよりも前に副作用について知るのです。副作用を実際に経験するのは患者ですから。」とBCAの常務取締役であるBarbara Brenner女史が付け加えた。上記の2人の女性は共に、元乳癌患者である。

3製剤の直接比較

健常な閉経後女性における第1相試験で、3種のAIの直接比較が行われ、それら薬剤間の違い、特に3製剤の脂質プロファイルに対する影響の違いを明らかにした。レトロゾール・エキセメスタン・アナストロゾールの薬理学(LEAP)試験が、英国シェフィールド大学のチームと、アストラゼネカ社の研究者らとの共同で報告された。

3種のAIは全て、治療後24週目の、骨代謝の血清マーカーの軽度の上昇および骨ミネラル濃度(BMD)の軽度の低下に関連しており、薬剤間で有意な差はみられなかった。AIの長期投与は、閉経後の乳癌患者においてはすでに、BMDの低下や骨折のリスクおよび骨粗しょう症の増加との関連性が分かっていたことを、研究者らは指摘した。

エキセメスタンは本来ステロイド性であり(その他の2製剤は非ステロイド性)、以前から骨量の減少を防ぐ可能性が示唆されていた。「今回の試験では、そのような効果があるという証拠は得られませんでした。」と研究者らはコメントした。しかし、ある違いが浮かび上がってきた。エキセメスタンのみが副甲状腺ホルモン(PTH)レベルの低下と関連があり、そのことは骨吸収の増加を示している可能性がある、と研究者らは示唆した。

これら3製剤は、脂質プロファイルに対して異なる効果を示した。アナストロゾールと比べ、レトロゾールおよびエキセメスタンによる治療は、健常人ボランティアの脂質プロファイルに好ましくない変化を及ぼした、と研究者らはコメントした。レトロゾールによる治療の結果、12週目においてトリグリセリドの顕著な増加がみられた。しかし、本試験の36週間の治療の間、そのレベルは非常に変動的であり、この増加が臨床的ばらつきによるもので、治療とは関係がない可能性もある、と研究者らは述べた。エキセメスタンは高密度リポタンパク(HDL)コレステロールの増加に関連し、さらには低密度リポタンパク(LDL)コレステロールとHDLコレステロールとの比率、およびアポリポタンパク質apoBとapoA-1との比率の増加とも関連していた。これらのことは全て、動脈硬化作用の可能性を示唆している、と研究者グループはコメントした。

SABCシンポジウム:アブストラクト番号 2092, 3131, 5068, 507。 
2006年12月15、16日発表。

(Oonishi 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

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