骨髄異形成症候群(MDS)に対する鉄キレート療法は生存を改善/Medscape・ASH報告2006/12 | 海外がん医療情報リファレンス

骨髄異形成症候群(MDS)に対する鉄キレート療法は生存を改善/Medscape・ASH報告2006/12

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骨髄異形成症候群(MDS)に対する鉄キレート療法は生存を改善/Medscape・ASH報告2006/12

原文 | Medscape
骨髄異形成症候群(MDS)に対する鉄キレート療法は生存を改善Medscape
Zosia Chustecka

2006年12月13日(オーランド)-178人の骨髄異形成症候群(MDS)患者における後ろ向きレビューにおいて、鉄キレート療法(ICT)を受けた患者は、その治療を受けなかった患者に比べて、結果が良好であった。ICTを受けた患者では4年生存率が80%、ICT治療なしの患者は44%であったことが、筆頭著者であるバンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学Heather
Leitch医学博士によって、第48回米国血液腫瘍学会総会および展示会(American Society of Hematology (ASH) 48th
Annual Meeting and Exposition)で報告された。
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「われわれの知る限りでは、これらはキレート療法を受けたMDS患者の臨床効果改善を証明した初のデータです。」と、Leitch氏は会議で語った。

彼女の発表は、聴衆であった他の臨床医らの賞賛を得た。評価委員であるニューハンプシャー州レバノンにあるダーマス・ヒッチコック医療センターのLeo Zacharski医師は次のように述べた。「あなたの研究はこのアプローチの持つ可能性のほんのさわりに過ぎないかもしれない。」Zacharski氏は、彼のグループが同会で末梢動脈障害患者の死亡率における優位性を示した研究を発表していることにも言及し、鉄量を減少させることの利点は幅広い可能性があることをMedscapeに語った。「まだまだ研究が必要ではあるが、これらMDS患者の体内の鉄量を減少させることによって、疾患自体を改善できるかもしれない。」と、彼は予測する。

しかしながら、コネチカット州エール大学医学部Nancy Berlinger医師は注意を促した。この演題が注目を集めた記者会見後、彼女はMedscapeに語った。「この結果はとても興味深いですが、どのように重要であるかを述べるには時期尚早です。それらは後ろ向き研究でしかありません。前向き研究でも同様の結果が出るかどうかを見極めなければなりません。」

同じチームが現在前向き試験を計画中であることをLeitch医師は述べた。

輸血を繰り返した後の慢性鉄過剰症

MDSの骨髄機能異常の結果として、慢性的に貧血を発症する。そして、慢性貧血を発症したMDS患者の90%以上がいずれ定期的な輸血が必要になると、Leitch医師は説明する。残念なことに、この度重なる輸血の副作用のひとつが鉄過剰の発症であり、鉄過剰はそれ自体で、元の疾病の症状に加えて、問題を引き起こしうるもので、肝臓障害、不整脈、感染症、皮膚色素沈着、そして悪性腫瘍などの原因となると、彼女は述べる。

鉄過剰の問題は、鉄による細胞傷害を回避するのに有用な、鉄キレート療法によって治療が可能であるが、これまで臨床的治療結果への影響を示したデータは存在しなかった。このレビューの患者には、ICTはdesferroxamine(Desferal、ノバルティスファーマ社製造)を用い、投与量0.5~3gを12時間かけて皮下注射し、これを週5日間行った。治療期間の中央値は15ヶ月であった。

このレビューは、バンクーバーのセントポール病院の患者178人による調査であった。鉄過剰と診断される22人中、フェリチン値が上昇した(13人)か、臨床上または生化学的に鉄過剰と診断された(3人)、もしくはすでに受けた輸血回数によって(2人)、18人がICT療法を受けるよう選別された。

ICT療法を受けた18人全員が、生存および急性白血病に転向するリスクを予測するInternational Prognostic Scoring System
(IPSS)(国際予後スコアシステム)によって、リスクが低~中-1とみなされた。ICT療法は、通常、このリスク範囲の患者に提供され、それはこれらの患者が十分な恩恵を受けられる余命が期待されるためであると、Leitch氏は言う

ICT療法を受けた患者は、受けなかった患者に比べ、当初のフェリチン値は高かった(中央値4215 μg/L vs 1647 μg/L)が、ICT療法後のフェリチン値は顕著に減少していた(中央値2659
μg/L vs 3188 μg/L)。

ICT群のうち1人が急性白血病、1人がMDS合併症、1人が鉄過剰で、計3人が死亡した。ICT療法を受けなかった患者においては、71人の死亡が確認されている。内訳は、22人が急性白血病、21人がMDS合併症、18人が感染症/敗血症、10人がMDSに関連しない原因によるものであった。

ICT療法を受けた患者と受けなかったMDS患者の全生存率

全生存率

ICT (%)

ICT なし(%)

P

中央値

160ヵ月後、未だ到達せず

40.1

 

4年

80

44

.03

MDS治療でICT療法を受けた患者の臓器不全の減少を示すことはできなかったが、全生存率には有意な改善が見られたことを、Leitch氏は語った。

ASH(米国血液腫瘍学会)第48回年次総会および展示会:抄録番号249、2006年12月11日発表

******

(野中希 訳・林 正樹(血液・腫瘍科) 監修)

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