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2008/03/04号◆癌研究ハイライト

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2008/03/04号◆癌研究ハイライト

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年3月04日号(Volume 5 / Number 5)
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癌研究ハイライト

癌リスクはホルモン療法終了後も持続

併用ホルモン療法(エストロゲン+プロゲスチン)と関連のある乳癌リスクの増加は、ホルモン投与中止後もなくなるわけではないとみられる。女性の健康イニシアチブ(WHI)の最新情報によれば、ホルモン療法中止から2年以上経過後も、5年間併用ホルモン療法を使用していた女性はホルモン療法を使用していなかった女性よりも乳癌リスクが依然として高かった。

Journal of the American Medical Association 3月5日号における結果において、ほてりなどの更年期症状に対するこの治療法の利益よりも健康リスクが上回るというWHIエストロゲン+プロゲスチン試験の主な知見が確認されている。この試験は主に、ホルモン剤を使用している女性の乳癌リスクが増加し、明らかな健康上の利益を得られなかったという理由から、2002年に中止された(WHIエストロゲン単独療法試験では癌リスク増加は示されなかった)。
その後の追跡結果で、ノースカロライナ大学のDr. Gerardo Heiss氏とChapel Hill氏らは、試験の当初の参加者16,608人の95%を、さらに2.4年間追跡した。治療後の期間では、ホルモン投与を中止した女性はホルモン投与を受けなかった女性よりも乳癌の罹患率が27%高かった。しかし、この知見は統計的に有意ではなかった(治療後の期間に乳癌を発症した女性群79人とプラセボ群60人)。

あらゆる種類の癌リスクはホルモン投与を中止した女性で24%高く、統計的に有意であった(癌を発症した女性は治療後群281人に対しプラセボ群218人)。このようなさらなる癌の原因は依然として明らかにされていないが、研究者らはホルモン使用の長期使用について、その後の数年間女性を慎重にモニタリングすることの重要性を主張している。

「われわれがWHIを開始したとき、閉経後のホルモンは女性にとって有用であり、女性にみられる年齢に関連する多くの大きな疾患を防ぐことができると広く考えられていた」と、本試験中にWHI運営委員会の議長をつとめたスタンフォード大学のDr. Marcia Stefanick氏は述べた。

「しかし、この試験中にわれわれは、乳癌、心臓発作、卒中、および重篤な血液凝固の増加を含むエストロゲンとプロゲスチン併用療法のリスクが、骨折や大腸癌が少ないという利益を明らかに上回ることを知った。また、癌、具体的には乳癌のリスクはホルモン投与中止後数年間持続し、利益はまったく持続しないことも今では分かっている」と、Stefanick氏は続けた。

併用ホルモン療法中止後、心血管リスクの大半がなくなることはよいニュースである。それでも多くの専門家は、女性は併用ホルモン療法を避けるか、あるいはその投与を最小限にすることを推奨している。最近、別のWHIフォローアップ試験により、併用ホルモン療法によりマンモグラム異常が認められ、マンモグラムや乳房生検の癌検出能力が損なわれることが示された。

これら2件の報告が一致して、ホルモン療法のマイナス面を強調している。「乳癌リスクはホルモン療法中止後になくならないだけでなく、癌を検出するマンモグラムの感度もさほど優れず、少なくとも1年はマンモグラム異常が続く可能性がある」と、米国国立衛生研究所(NIC)癌予防部門WHI窓口担当者であるLeslie Ford医師は述べている。

ホルモン療法は乳癌の発見を妨害する

乳癌検出に使用される2つの方法、マンモグラムおよび乳房生検は、併用ホルモン療法(エストロゲン+プロゲスチン)を使用する女性では使用しない女性よりも有効性が低い。また、女性の健康イニシアチブ(WHI)における参加者のフォローアップ試験によれば、これらの癌を発見する能力の低下がホルモン療法を中止後1年以上続く可能性がある。

更年期症状の治療にホルモンを使用する女性では、しばしば他の女性よりも後期ステージで乳癌が検出されることが分かっている。この試験では、併用ホルモン療法を使用する女性は、ホルモンを使用しない女性よりも異常がみられるマンモグラムや乳房生検が多いことも示された。

ハーバー-UCLA医療センターのDr. Rowan Chlebowski氏らは、WHIエストロゲン+プロゲスチン試験における女性約16,000人を対象として、試験終了後さらに1年間、追跡調査を行った。この1年間、試験中にホルモンを使用していた女性は、使用していなかった女性よりもマンモグラム異常が引き続き多かった。このことは、マンモグラフィ直前の短期間のホルモン療法を中止しても、マンモグラムの所見および乳癌の診断に影響を及ぼさない可能性を示唆していると、研究者らはArchives of Internal Medicine誌2月25日号に記載している。

短期間でも併用ホルモン療法を考えている女性は、乳癌検出に対する有害な作用をリスク-利益分析の要因として含めるべきである。最初のWHIエストロゲン+プロゲスチン試験では、女性はホルモンかプラセボのいずれかを5.6年間使用した。試験は、併用ホルモン療法と関連のある健康リスクの増加が明らかになったため、2002年に期間が短縮された。

今週発表された次のWHIフォローアップ試験は、併用ホルモン療法を使用している女性の乳癌リスク増加は、治療終了後最大3年間は持続すると報告している。

貧血薬による凝血と死亡リスクが試験で確認

癌患者を対象として抗貧血薬の臨床試験のメタ解析により、凝血および死亡のリスク増加を示した前回の試験の知見が確認された。

Journal of the American Medical Association誌2月27日号で発表された知見が得られてから1カ月もたたずに、米国食品医薬品局(FDA)抗腫瘍薬諮問委員会(ODAC)が赤血球生成促進薬(ESA)として知られる薬剤の安全性について検討する4年間で3回目の会合が行われる。

全体として、解析によれば、ESA投与患者において静脈血栓塞栓症(VTE)リスクが57%増加し、死亡リスクが10%増加した。このレビューには、生存期間に関する情報が得られた第3相試験51件とVTEに関するデータが得られた試験38件が含まれた。

「われわれの知見と基礎科学研究により、本剤が癌を刺激し、癌患者の生存期間を短縮する可能性があるという懸念が持ち上がっている」と、本試験の筆頭著者であるNorthwestern University Feinberg School of Medicine誌のDr. Charles L. Bennett氏は述べている。

癌による貧血、および化学療法、放射線療法関連の貧血を有する患者を対象とした試験に関する本レビューには、様々なタイプの癌患者を対象とした最近の8つの第3相臨床試験からのデータが含まれている。一件の例外を除いて、最近の試験はいずれもヘモグロビン値が13~15 g/dlの範囲になるようにデザインされており、「貧血の矯正の範囲外」の試験とみなされている。

FDAは2007年にESA使用に関する2件の公衆衛生勧告を出し、現在進行中の本剤の安全性レビューに関与している。

早期外陰部癌治療におけるセンチネルリンパ節郭清は安全である

オランダのグローニンゲン大学医療センターが主導する国際研究者グループによると、早期外陰部癌を有する女性において、鼠径部および下肢上部のリンパ節を広範に切除し、副作用が長期に続く可能性のある標準治療の鼠径大腿リンパ節切除と比較し、顕微鏡レベルの転移を検出するセンチネルリンパ節郭清(SLND)は安全であった。

研究者らは女性403人を試験に組み入れ、全員に対し原発腫瘍の切除およびSLNDを施行した。このうち127人では検査したリンパ節に転移細胞が認められたため、鼠径大腿リンパ節を全摘した。残り276人にはSLNDで転移の証拠が認められなかったため、追加の手術は施行しなかった。

全女性は、術後最初の2年間は、少なくとも2ヵ月ごとにフォローアップ診察のため再受診した。4人のみ追跡不能であった。残りの女性について、研究者らは短期および長期の合併症ならびに鼠径部の癌再発率について、鼠径大腿リンパ節切除施行群と未施行群とで比較した。

SLNDのみを受けた女性は鼠径大腿リンパ節切除を受けた女性よりも、創傷治癒困難、リンパ浮腫、および持続感染など、短期および長期の合併症が有意に少なかった。SLNDのみを受けた女性における鼠径部の全再発率は3%であり、著者らはこれを以前算出された再発率2%と同等であるとみなした。

「センチネルリンパ節陰性の患者において鼠径部の再発率が低く、疾患特有の3年生存率が97%と優れていることは、一部の外陰部癌患者に対し、鼠径大腿リンパ節切除の代替法であるセンチネルリンパ節郭清が安全であることを示唆している」と、著者らは結論付けた。しかし、著者らは、これらの肯定的な結果を再現するには、外科医および治療を支援する集学的治療チームのどちらにもSLNDに関する広範な臨床経験が不可欠であることを強調している。

発展途上国の妊婦に拡がる喫煙の脅威

「発展途上国におけるタバコ使用の増加が、世界的な健康レベルの向上という目標達成に歯止めをかけ、逆行させている」ことが、ラテンアメリカ、アジア、アフリカの9つの発展途上国の妊婦およそ8,000人の調査で示された。多施設、クロスセクショナル調査によって、妊婦の喫煙、間接喫煙、および女性の喫煙に対する態度を調べた。結果は、American Journal of Public Health誌2月28日号に掲載されている。

妊娠中の喫煙は、ラテンアメリカの5カ国で現在または今後の問題であると、著者らは結論している。ウルグアイでは、調査した妊婦の78.3%がタバコを吸った経験があり、そのうち3分の2が常習となり、3分の1が妊娠中にも喫煙を続けていた。アルゼンチン、および、それには及ばないまでもエクアドル、ブラジル、グァテマラでも同様の傾向があった。女性の喫煙がさらに文化的に受け入れられるようになれば、これらの国々以外でも妊婦の喫煙が大幅に増えるだろうと考えられる。

パキスタンでは、大半の家庭(調査したうちの92%)で喫煙が許されており、結果的に、パキスタンの妊婦の半数、および小児の半数が頻繁に、または常に間接喫煙に曝されている。無煙タバコや嗅ぎタバコといったタバコ製品の使用はインドのオリッサで最も多かった(34%)。

この調査は、米国国立衛生研究所(NIH)および国立小児の健康と発育研究所(NICHD)の研究者らをはじめとする国際チームの研究員によって行われた。研究は、ビル&メリンダ・ゲイツ基金から資金提供により、NICHDのGlobal Network for Women’s and Children’s Health Research(女性と子供の健康調査のグローバルネットワーク)の9施設で行われている。米国保健社会福祉省の女性の健康オフィスも研究を支援している。

これらの国々の「妊婦における喫煙の予防と規制の根拠に基づく介入の実施が緊急に必要であること」を、この結果は強調していると、筆頭著者である国立癌研究所(NCI)タバコ規制研究支部のDr. Michele Blochらは記している。

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Oyoyo、野中希 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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