2008/03/18号◆「小児癌生存者は長期フォローアップが必要」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/03/18号◆「小児癌生存者は長期フォローアップが必要」

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2008/03/18号◆「小児癌生存者は長期フォローアップが必要」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年3月18日号(Volume 5 / Number 6)
小児癌特別号

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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小児癌生存者は長期フォローアップが必要

小児癌の非常に高い治癒率は、なんの犠牲もなく達成されたものではない。小児の生命を救う治療はまた成長期の臓器にダメージを与えるものであり、何年も表面化しないおそれのある様々な健康問題を引き起こすことがある。

小児癌生存者にみられる「遅発性副作用」の程度についての現在の理解は、治療終了後何カ月も、あるいは何年も後に起こる、癌治療に関連した健康問題で、その大部分は小児癌生存者調査(CCSS)から明らかにされた。このNCIから資金提供を受けている調査プロジェクトは、1970年から1986年の間に小児癌と診断され5年以上生存した20,000人のコホート患者を1994年から追跡している。

10,000人を超える生存者の予後を調査した2006年発行のNew England Journal of Medicine誌に掲載された研究によると、CCSSの研究者は、ほぼ2/3の患者が少なくとも一つの慢性的な健康問題を報告し、1/4が重症の状態にあり、約1/4が3つ以上の慢性的な健康問題を抱えていることを明らかにした。本研究で最も多く報告された遅発性副作用は二次癌、心臓血管疾患、腎臓疾患、筋骨格状態、内分泌異常であった。小児期の癌治療に関連して健康問題を発症するリスクは、時が経つにつれて増加した。

女性は乳癌、認知機能障害、心疾患、甲状腺機能低下症などの遅発性副作用があり、男性よりも高いリスクにさらされている。遅発性副作用に影響する要因には他に、診断時の年齢、癌の種類、受けた治療の種類などがある。放射線治療(特に頭部、女性では胸部)は長期におよぶ障害のリスクが高い。

「長期にわたる健康への影響の大きさとその多様性は著しいものです。」とCCSS試験責任医師で、聖ユダヤ小児研究病院(メンフィス)のDr. Les Robison氏は述べている。「診断から30年後では、小児癌生存者の70%以上が遅発性副作用による慢性的な健康問題を抱えているのです」。

CCSSの研究の結果は小児癌生存者への適切なフォローアップケアに関するガイドラインの策定についての情報を提供している、とRobison医師は付言する。現在までに得られた限定的データが示唆するところでは、大部分の生存者は望ましいフォローアップケアを受けていない。遅発性副作用をできるだけ早期に発見するために、より多くの生存者がフォローアップケアを確実に受ける方法を検討する新規研究が数件、CCSS調査者により目下計画されている。

CCSSのデータは、小児癌生存者における重要問題を研究する調査者向けに、聖ユダヤ病院のウェブサイト(WWW.stjude.org/ccss)で閲覧できる。CCSSは現在までに、論文審査のある学術専門誌に75を超える論文を生み出してきた。

CCSSコホートが1970年代と1980年代初頭に治療を受けて以降、小児癌治療は大きな変化を遂げている。そうした新しい治療法が長期におよぼす影響を調べるため、研究者らは1987年から1999年の間に小児癌治療を受け、5年以上生存している20,000人を調査対象に組み入れ、現在CCSSコホートを拡大しようとしている。

他の取り組みとして、生存者が治療法のコストとベネフィットを比較検討する際に役立つ意思決定支援システムと同様に、癌治療の長期にわたる遅発性副作用について臨床医や小児癌生存者が認識を高め、両者のよりよいコミュニケーションを支援する”Passport for Care”などの新たな手段が研究者により開発されている。

「われわれが癌治療後の長期生存の影響を理解するうえで、小児癌生存者は指導的立場にいます。」とNCI癌生存者オフィス長のJulia Rowland医師は述べている。「課題は、こうした生存者の癌の遅発性副作用を最小限に抑えて健康全般を最善な状態にするために小児癌生存者の生涯にわたる適切な追跡調査を確立することです。」

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Chachan 訳
榎本 裕(泌尿器科)監修
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