2008/03/18号◆「家族―小児癌に耐える子供たちを支える重要な存在」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/03/18号◆「家族―小児癌に耐える子供たちを支える重要な存在」

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2008/03/18号◆「家族―小児癌に耐える子供たちを支える重要な存在」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年3月18日号(Volume 5 / Number 6)
小児癌特別号

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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家族―小児癌に耐える子供たちを支える重要な存在

小児癌の子供を持つ家族は、辛い治療に耐える、愛する子供の世話に加え、大変になる日常生活、医療機関への移動、託児施設の手配、経済面、他、様々な問題に対処しなければならない。治療期間中または治療後もこの蓄積した影響は、QOL(生活の質)へ深刻な結果をもたらしうる。

「現在、われわれは、小児患者に彼らが必要とするサービスを提供するため、子供達が家族や地域社会の一員であると理解すること、そして、そのそれぞれの側面がすべて成り立つ方向で、子供たちが癌とともに生きていくためのサポートや設備、対処法を備えて家に帰れるようにしなければならないと実感している」と、米国国立癌研究所の小児癌支部、心理社会科主任で、心理社会的支援・研究プログラムのコーディネーターであるLori Wiener氏は言う。

医療施設と家族のために資料や実例を開発した彼女のプログラムのうち、いくつかの研究が進行中であり、彼女は、それらの研究が、そうした問題に直面して解決策を探している人々の役に立つことを願っている。小児癌プログラムに含まれている心理社会的サポートは、ソーシャルワーカーから始まる。ソーシャルワーカーは、小児患者がNIHの臨床試験に推奨されるとすぐに患児とコンタクトを取り、患児の治療期間を通して患児の家族とソーシャルワーカーが1対1でコンタクトをとり続ける。

家族の多くは、NIHの『子供宿泊施設(Children’s Inn)』に滞在し、臨床センターでは、遊び・芸術・音楽療法、サポートグループやワークショップ、精神科医による相談、カウンセリング、キャンププログラム、スクールプログラムや職業適性検査、痛みや緩和ケアサービス、牧会カウンセリング、死別プログラムなどを含むサポートプログラムを無料提供している。

臨床試験での子供への心理療法は、家から遠く離れて病院に居ることや、新たな治療、負担のかかる医療処置に対する恐れや不安を話すようにしている。「迫り来る骨髄移植や、あらゆる注射針に反応してパニックに陥る子供を見るのは酷くショックなものです」と、精神科医であり、この分野における国内で最も大きなトレーニングプログラムを持つスローンケタリング記念がんセンター腫瘍精神科のWayne Chapman ChairであるJimmie Holland氏は言う。ショックな体験をすることによって、パニックの原因に近づくと、誰もが動揺するようになる。しかし、もし、厳しい治療を前にした子供達やその家族を、証明された行動テクニックを利用して助けることができるなら、患児や患児の家族に対して、このような状況に陥った時にパニックをコントロールし、和らげる感覚を教えることができるだろう。

Holland、Wiener両氏は、癌治療がうまくいくために不可欠な心理社会的問題と解決の概要の資料を提供している。そのうちのいくつかは、Institute of Medicineによって委託されたレポートが元となっているCancer Care for the Whole Patient: Meeting Psychosocial Health Needs(一人の患者のすべてを看るがんケア)や、まもなく米国サイコオンコロジー学会から発行予定で、Wiener氏が代表監修を務めるQuick Reference for Pediatric Oncology Clinicians: The Psychiatric and Psychological Dimensions of Pediatric Cancer Symptom Management(小児癌専門医のための簡易資料:小児癌における症状管理の精神科および心理学的側面)である。

Wiener氏のプログラムでは、他に小児癌患児の兄弟のためのツールなどを開発した。「This is MY World(これが僕の世界)」や「Brothers and Sisters – We’re in This Together(兄弟姉妹、私たちは一緒にここにいる」というタイトルのワークブックや、カスタマイズ可能なボードゲームなどがあり、これらは今年の後半には利用可能となる。

癌治療が終了した子供達や、臨床センターを去った子供達は、彼らの地域社会にあるサポートネットワークと連絡をとっている。しかし、彼らとNIHにいるスタッフとの関係は、生涯続くこともある。Wiener氏は、子供が亡くなっても、子供の家族を小児癌サバイバーとみなしていると言う。彼女は、毎年、子供達の命日には、その家族と連絡をとっている。「私たちは、人生を変えてしまうような経験を共に乗り越えて生きてきたという意識をもっています。そして、子供たちと共に旅路を歩んできた家族と医療者との間には、しばしば特別な関係が生じるのです」と、Wiener氏は言う。

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大藪友利子 訳
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