2008/03/18号◆「青年および若年成人に治療の向上が必要」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/03/18号◆「青年および若年成人に治療の向上が必要」

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2008/03/18号◆「青年および若年成人に治療の向上が必要」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年3月18日号(Volume 5 / Number 6)
小児癌特別号

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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青年および若年成人に治療の向上が必要

過去30年間の若年小児の治療の進歩に対し、青年および若年成人(AYA)の癌患者においては、より有効な治療法の発見において比較的進歩はみられなかった。AYA患者とは、15-39歳で癌と診断された患者のことであるが、数十年間、これらの患者の癌生存率はほとんど、またはまったく改善されていない。この問題によって、NCIおよびランス・アームストロング財団(LAF)がこの寒々しい現状に潜む問題を評価するために2005-2006年にProgress Review Group(PRG)を召集する運びとなった。

最終報告書では、無保険のAYA患者が多数いること、および癌に罹患した子供および若年成人が、小児科と成人腫瘍科の「中間的な」カテゴリーに入る傾向があることなど、問題の一因となる要素についてPRGが記述している。PRGは、「主に、AYA患者の臨床試験やアウトカム研究に重点を置いたAYA[腫瘍学]独自の自主研究が緊急に必要です」と結論づけた。

現在、AYA患者を対象とした癌制御・人口科学部門率いるNCI内共同試験が、LAFの協力の下7カ所のSEERレジストリで登録受付中である。本試験は15-39歳の急性リンパ球性白血病(ALL)、肉腫および胚細胞腫瘍の患者の治療ならびに転帰のパターンを患者調査および診療記録の調査を通じて検証する。本試験は、治療、担当医および施設の特徴、臨床試験参加者、治療を受ける上での障壁はじめ、癌の身体症状への影響、心理社会的体験、経済的問題およびQOLなどを評価するものである。

また、NCI癌治療評価プログラムのDr. Malcolm Smith氏はALLのAYA患者の臨床試験についても次のように指摘している。「最近の発表では、ALLの小児の臨床試験で治療を受けた青年および若年成人のほうが、成人用プロトコル(試験実施計画)で治療を受けた同様の患者より転帰が良かったと報告されている」とSmith氏は述べた。

Dr.Smith氏の引用した臨床試験の1つがダナファーバー癌研究所(DFCI)で実施されているが、DFCI共同団体は昨年、米国血液学会の年次総会で予備所見を発表した。現在、小児ALL患者の化学療法レジメンはイベントフリー生存率(EFS)が80%以上であるのに対し、成人ALL患者では30-40%である。DFCI共同体の研究者らは、集中的な小児用レジメンで投与された18-50歳のALL患者の2年間のEFSは72.5%と推定されると報告した。試験は、より長い追跡期間を要するが、予備結果では、ALLの若年成人では、この集中的な治療方法が、治療の大きな前進となるかもしれないと示唆している。

ALLの若年成人の転帰を改善するためのもう一つの試験CALGB-10403は、NCI支援の成人の臨床試験協力団体とともに進行中である。本試験は小児癌臨床試験協力団体(COG)で使用されているALLに対する治療アプローチを採用している。臨床試験の一部として実施されたレトロスペクティブ分析で、CALGBインターグループの医師に治療を受けた患者と、COGの小児専門医に治療を受けた16-20歳のALL患者の転帰を比較した。

「私たちが見出した結果には格段の差があり、小児科のレジメンで治療を受けたAYA患者のほうが有意に無進行生存期間および全生存期間を改善しました。それは30%近くのポイント差がありました。非常に残念でしたが、このようになる原因について一層多くの疑問を抱かせてくれました」と、シカゴ大学医学部助教のDr. Wendy Stock氏は述べた。

インターグループのレトロスペクティブ分析は、Blood誌で発表されることになっているが、両群の決定的な相違が明らかになった。つまり、小児癌専門医と成人癌専門医とでは使用する薬剤の用量強度および投与スケジュールに重大な違いがあるということである。「プロトコルのデザインおよびスケジュールの違いに加え、転帰の相違についても、プロトコル遵守、および成人腫瘍医および患者が、小児癌専門医およびその患者と同じくらい厳格にプロトコルを遵守しているかどうかについて疑問が生じた。成人の臨床試験協力団体(adult cooperative group)におけるALLのAYAの転帰を改善するため、この治療アプローチの実施を模索し、その上で治療方法の遵守に関する特定データの収集を開始したい」と述べた。

「2008年度NCI SEER癌統計レビューはAYAの癌に関する新しい章を含めて、
5月にオンラインhttp://seer.cancer.gov/で掲載される。」

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吉村 祐実 訳
林 正樹  (血液・腫瘍科)  監修
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