2008/03/18号◆「最も有望な新治療をどのように試験するか」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/03/18号◆「最も有望な新治療をどのように試験するか」

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2008/03/18号◆「最も有望な新治療をどのように試験するか」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年3月18日号(Volume 5 / Number 6)
小児癌特別号

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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最も有望な新療法をどのように試験するか

初期相の臨床試験に適格となるのは小児癌患者のうち少数であり、試験的な癌治療薬は実際には小児を対象としてよりも、成人を対象として臨床評価段階に入っている数の方がはるかに勝る。この問題を考えてみよう。

このことは、研究者らが薬剤(開発)を優先していることを意味するが、その決定による影響は多大なものとなる。毎年、20種類の新薬の試験利用がなされ、しかも小児を対象として試験が行われるのは1種類または2種類に過ぎないとすると、小児癌に対して有効性を欠く薬剤を選択するようなことが起こった場合、真に有効な薬剤の試験が遅れたり、行われなかったりすることになる。

それではどうすれば、いずれの新薬を小児対象の臨床試験に進めるかについて、研究者らが最善の決定をする可能性を向上させられるであろうか。1つの方法は、小児癌の細胞株や動物モデルを用いた実験にて候補薬剤を試験することである。2004年に開始されたNCI主導の小児非臨床試験プログラム(Pediatric Preclinical Testing Program[PPTP])では、年間12種類の新薬を小児癌非臨床モデルのパネルで試験を行っている。

このプロジェクトは実験的であり、患者での抗癌作用を同モデルでどの程度予測できるかが判明するまでには数年間を要するとみられる。しかし、初期の結果は有望である。研究者らは、標準的な化学療法薬が非臨床モデルでも患者における効果と同等の作用を有すると示すことにより、この手法の有効性を証明した。重要なのは、PPTPの小児癌腫瘍パネルのいくつかに対して強い活性を示す新規薬剤を同プログラムにてすでに数種類特定したことである。

Pediatric Blood Cancer誌におけるPPTPの最新報告では、いくつかの固形腫瘍に対して抗癌活性を有する薬剤が掲載されている。それはSCH 717454という薬剤であり、多くの小児固形腫瘍と関連するインスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)に対するモノクローナル抗体である。PPTPによるもう1つの報告は、ABT-263(Bcl-2ファミリータンパク質の小分子阻害剤)が急性リンパ芽球性白血病(ALL)の細胞株および異種移植片に対して単独で強い活性を有することであった。

「このプロジェクトは、小児を対象として試験可能な新薬および併用療法について、有用な知見をもたらす」と、同プロジェクトの主要研究者である聖ユダヤ小児研究病院(St. Jude Children’s Research Hospital)のDr. Peter Houghton氏は述べている。PPTPの研究チームは、試験用に60種類以上の動物モデルと27種類の細胞株を有している。これらは、小児に発症する一般的な癌の大半を代表するものである。

このプログラムでは、成人を対象として臨床試験を行う段階に近い新規薬剤の評価を試みている。このことにより、成人対象の第1相試験を行っている間に、小児用非臨床データの作成が可能となる。その結果、小児を対象とした試験薬剤の臨床評価実施を判断する上で、その非臨床データが役立つであろう。成人対象の試験で、ヒトにおいて忍容される薬物血中濃度の情報が得られる。この情報を基とし、マウスを対象に非臨床モデルを行い、活性を示す薬剤の用量に小児が忍容性を示すか否かを知ることができる。

Dr. Houghton氏は、「非臨床モデルから臨床への転換に関して重要な点は、患者で到達可能な血中濃度となる用量を動物で用いることである」と述べている。

20社以上の製薬会社が、試験用に1種類以上の薬剤を提供している。NCI癌治療評価プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program)のDr. Malcolm Smith氏は、「これらの企業がPPTPと積極的に共同研究しようとする姿勢は、非常に心強いものであり、本プログラムの成功に向けて重要となるであろう」と述べている。同氏は、PPTPの監督を務めている。

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斉藤 芳子 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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