2008/04/01号◆クローズアップ「骨転移の管理:放射性医薬品の有用性」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/04/01号◆クローズアップ「骨転移の管理:放射性医薬品の有用性」

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2008/04/01号◆クローズアップ「骨転移の管理:放射性医薬品の有用性」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年04月01日号(Volume 5 / Number 7)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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クローズアップ

骨転移の管理:放射性医薬品の有用性

進行した病期において癌が骨転移を起こした場合、その結末は悲惨なものとなり得る。重度の疼痛を伴い、骨折やその他の骨関連合併症のリスクが増加する場合もある。これらが原因となって追加治療が必要になることもあり、さらに患者の生活の質が低下して生存期間が短くなる可能性もある。

全身性の抗癌治療が向上するにつれて骨転移の問題がますます一般的になり、費用対効果の高い新治療が必要となっている。この目的に向かって、骨転移による骨関連合併症の発症を予防または遅延させるための治療法が、NCI主導のプロスペクティブ、ランダム化臨床試験にて評価されている。

骨転移を伴う患者に対する標準療法であるゾレドロン酸(ゾメタ)をストロンチウム-89やサマリウム-153などの放射性医薬品と併用した場合、より有効性が示されるか否かについて検証されている。放射性医薬品とは骨集積性の放射性薬剤であり、転移によって変化した部位に取り込まれる。

研究者らによると、放射性同位元素の長所は、それが静脈内に投与されると、正常な骨髄やその他の器官周辺に存在する全ての骨転移部位を低線量の放射線で狙えることである。

試験の共同責任医師であるサマ・ヘルスシステム病院(オハイオ州アクロン)のDr. Michael J. Seider氏は、「患者の骨に30~40箇所の転移がある場合、放射性同位元素はすべての転移箇所に分布するであろう。これは、迅速、簡潔に集積する比較的毒性の低い薬剤である。」と述べている。

本試験で検討する課題は明快であると、同氏は述べている。すなわち、「骨関連事象の発症を遅延させる上ですでに効果が示されている薬剤と放射性同位元素を併用した場合、その発症がさらに遅延するかどうか。」である。

本ランダム化第III相試験には、骨に転移することの多い3種の癌(肺癌、乳癌および前立腺癌)を伴う患者が登録された。試験の適格規準は、骨転移は認められるが、顕著な骨痛を伴わないことである。すべての患者に対し、一次治療としてゾレドロン酸を投与し、そのうち半数の患者に対し、放射線同位元素を単回投与する予定である(試験では、放射線同位元素が治療として的確であると仮定している)。

疼痛および骨関連合併症の発症について、患者を追跡調査する。試験期間中、細胞毒性療法、ホルモン療法、または追加の放射線療法(骨転移の治療は除く)など、その他の種類の治療法を受けてもよい。

この点は重要である。なぜならば、放射線同位元素の投与を受けている患者は、その他の治療法を同時に受けてはならないという誤った認識が、特に一部の腫瘍内科医の間で広まっているからである。しかし、放射線同位元素を他の治療法と併用してもその他の併用療法ほど副作用を引き起こさないことが、研究で示されている。

本試験の共同責任医師であるフォックスチェイスがんセンターのDr. Corey Langer氏は、「放射性医薬品に関する誤った認識や懸念を明らかにする必要がある。この種の薬剤に関する重大な誤認識は、これらを患者に投与すると骨髄機能が再度回復することはないということである。われわれは本試験にてこのような事態は起こらないと確信している。」と述べている。

本試験には現時点で予定患者数352名のうち50名以上が登録された。生活の質を評価する計画もある。もう1つの論点は、この併用療法の費用対効果である。その理由は、骨関連事象に対する追加治療の必要性を遅らせることで高価な処置を回避できるためである。

この試験が成功裏に終わった場合、この併用療法を行うことで疼痛を軽減させること、および、その後の合併症の発症を遅延させることによって骨転移を伴う多くの患者の生活が改善するであろうと、Dr. Langer氏は述べている。

今回の課題は、放射線同位元素を投与した場合は他の治療法を回避するべきであるという認識を覆すことである。Dr. Seider氏は「われわれがこの認識は誤りであると証明することができれば、本試験は将来、非常に有望なものとなるであろう。」と述べている。

- Edward R. Winstead

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斉藤 芳子 訳
中村 光宏(医学放射線)監修

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