2008/04/01号◆特別レポート「肺癌診断検査による早期発見の向上」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/04/01号◆特別レポート「肺癌診断検査による早期発見の向上」

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2008/04/01号◆特別レポート「肺癌診断検査による早期発見の向上」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年04月01日号(Volume 5 / Number 7)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特別レポート

肺癌診断検査による早期発見の向上

画像診断によって喫煙者の肺に疑わしい影が示された場合に行う次の検査は気管支鏡である。異常を検索するために患者の気道にカメラを装着した細いチューブを挿入し、生検のため組織を採取する。だが、患者に癌があるかどうか判明しないことも多い 。

この段階で医師は、入手可能なエビデンスに基づき、患者に対してより侵襲的な検査を勧めるか、経過観察によるアプローチを選択するかを決断するであろう。残念ながら、疾患のある喫煙者とそうでない喫煙者を確実に判別できる診断検査や生物学的マーカーはない。
ボストンの研究者らはこの状況を変えたいと願い、患者の気道にある細胞の80の遺伝子活性を解析する遺伝子検査を開発した。気管支鏡で採取可能な気道の細胞は顕微鏡下では正常にみえるが、肺癌が関与する異常な遺伝子活性パターンを有することがある。

この検査はタバコの煙の毒素が気道の(腫瘍ではなく)遺伝子の性質を変化させ、この変化に診断的価値があるという発想を基にしている。

「この研究は、肺癌がある喫煙者とそうでない喫煙者を判別しうる遺伝子発現パターンを同定することを目標にしています」と、本プロジェクトの共同筆頭研究者であるボストン大学医学部のDr. Avrum Spira氏は語る。

昨年報告された予備結果では、遺伝子検査と気管支鏡の併用は、いずれかの検査単独よりも肺癌予測能に優れることが示された。これら検査の併用は小病変や早期癌(治療に対して反応する可能性が比較的高いが気管支鏡では見逃されることが多い)の発見が向上する可能性さえ示唆している。

Dr. Spira氏は先月、NCIが後援する早期発見のための研究ネットワーク(EDRN)の年次総会で本検査について討議した。会議のテーマは、この肺癌の遺伝子検査が目的とするところの、臨床に役立つ生物学的マーカーの必要性についてであった。EDRNとDr. Spira氏はこの検査を臨床評価に移すための道筋を議論する。

「この検査は臨床上の深刻なジレンマを課題としており、まさに現実的な問題である」と共同研究者であるボストン大学のDr. Marc Lenburg氏は語る。

よりよい診断ツールが必要なことは明白である。気管支鏡では病期I期肺癌の15~20%が発見できるにすぎないので、医師は発見された病変が癌であるかを確認するため探索的手術などのより侵襲的かつ高額な検査を行わねばならないと、ボストン大学肺センター長であり遺伝子検査開発を支援したDr. Jerome Brody氏は語る。

すべてのバイオマーカー候補と同様、80の遺伝子特性に関して大規模かつ十分にデザインされた試験において検証が必要である。米国および欧州において遺伝子検査の評価のため、300例を対象とした試験が計画されている。

この確認試験では、遺伝子検査が患者の肺癌のサブタイプの同定や、潜在する遺伝子の傷を発見するのに役立つかを探索する予定である。

本試験の実施ならびにこの検査を商業的に利用するために資金提供しているAllegro Diagnostics社と3人の研究者は金銭的利害関係にある。

研究者らは自らのアプローチを「臨床的遺伝子」予測モデルと評する。Cancer Prevention Research誌電子版に昨日掲載された試験において彼らは、臨床情報と遺伝情報は、ともに補完し相乗的に働く、と語る。

ここで目新しいのは、統計学的に確認された肺癌の予測因子を明らかにするため、遺伝データと臨床情報を組み合わせていることである」と、最新の試験では著者として名を連ねていないDr. Brody氏は語る。「この試験は、これら2つを統計学的に有効な方法で組み合わせることを試みた数少ない癌関連試験の一つに過ぎない」。

この予測モデルによって、肺癌のある喫煙者に対するより侵襲的な検査や適切な治療は迅速になされ、肺癌でない人に対する侵襲的な診断検査は減少するであろうと著者らは結んでいる。

— Edward R. Winstead

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Okura 訳
小宮  武文 (NCI研究員)  監修
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