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2008/05/13号◆特集記事「ゲノムスキャンが小児癌解明の糸口に」

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2008/05/13号◆特集記事「ゲノムスキャンが小児癌解明の糸口に」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年05月13日号(Volume 5 / Number 10)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

ゲノムスキャンが小児癌解明の糸口に

稀な癌に関する初めてのゲノムワイド相関解析において、神経系の小児癌である神経芽細胞腫のリスクを増大させる可能性がある遺伝子変異が同定された。

先週のNew England Journal of Medicine (NEJM)誌オンライン版に掲載された報告によると、より進行型の神経芽細胞腫のリスク因子が第6染色体領域上に存在している可能性がある、ということである。この領域はこれまで本疾患と関連付けられていなかった。

神経芽細胞腫の罹患に関する遺伝子的要因についてはほとんど知られていない。本疾患は多くの場合小児期早期(もしくは出生前)に発症し、最初は副腎の神経組織に影響を及ぼす。複数の主要遺伝子における突然変異が本疾患の性質を概ね決定するのであろう、と多くの研究者らは考えてきた。

今回の新たな結果は、いくつかの変異を含む異なるタイプの遺伝子学的変化が疾患に対する罹患しやすさに寄与していることを提示している。そしてさらに、ゲノムスキャンを用いて一般的なリスク因子を同定することが可能であることも示している、と研究者らは言う。

「今回の研究は、研究概念を実証したものです」とフィラデルフィア小児病院の主任試験責任医師であるDr. John Maris氏は述べた。「開始前には、何の変異も発見できない可能性もある研究でしたが、実際の結果からは遺伝子変異が神経芽細胞腫のリスクの一因となることが明確に示されています。」

神経芽細胞腫は最も難治性の小児癌の一つとなっている。限局性神経芽細胞腫の患者は、所属リンパ節が侵された場合でも90%以上は生存する。しかし、全患者の半数以上を占める進行型の神経芽細胞腫では、多くの場合死に至る。

米国における年間症例数は約700例であるが、症例数が少数であるにもかかわらず、大規模な研究が実施された。神経芽細胞腫患者1,700人およびその2倍の数の本疾患を持たない小児からDNAが採取された。患者サンプルは、NCI(米国国立癌研究所)が支援するChildren’s Oncology Group臨床試験団体により10年間にわたって集められた。

研究者らは、今後数年で最大5,000人の神経芽細胞腫患者について解析を行う予定である。遺伝子のコピー数における変化など、その他のタイプの遺伝的変異も調査中である。予備段階の結果では、これらの変異も影響を及ぼしていることが示唆されている。

「まだ発見されていない他の変異は明らかに存在しています」とChildren’s Hospital of Philadelphia の医師であり本報告の筆頭著者であるDr. Hakon Hakonarson氏は述べた。「本研究はまだ進行中です。私たちは神経芽細胞腫の発症に関わる遺伝子的な因子の大部分を同定したいと思っています。」

遺伝子コードの一つの塩基が異なる一塩基多型(SNPs)を3つ含んでいる第6染色体の変異は、2つのオーバーラップ遺伝子で発生している。研究者らは正確なリスク源を同定するために全体の領域を「リシーケンシング(re-sequencing)」した。

第6染色体の変異がもたらす絶対リスクは極めて低く、したがってこれらのSNPsそれ自体はスクリーニングの際にほとんど役に立たないと思われる。

「今回の研究は素晴らしいものです」と著者ではないがNCIの癌疫学・遺伝学部門のDr. Stephen Chanock氏は語った。「稀な小児疾患の遺伝学は2つの稀な突然変異によって説明できるだろうと多くの研究者らは考えていましたが、今回の研究で、ゲノム構造が複雑なこと並びにさまざまなタイプの遺伝子変異が関与していることが分かります。」

Chanock氏は、妊娠してから癌が発生するまでの間が比較的短期間であることに言及し、研究者らにとって神経芽細胞腫は、複雑疾患における遺伝子と環境因子の相互作用を研究する絶好の機会となるかもしれない、と付け加えた。

— Edward R. Winstead

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豊 訳
大藪 友利子 (生物工学)監修

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