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2008/05/27号◆特集記事「フィナステリドの前立腺癌予防効果が立証」

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2008/05/27号◆特集記事「フィナステリドの前立腺癌予防効果が立証」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年05月27日号(Volume 5 / Number 11)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

フィナステリドの前立腺癌予防効果が立証

試験データの3つの新たな解析の結果、すでに終了している最大規模の前立腺癌予防試験の当初の初期結果がフィナステリドの有益性を過小評価し、リスクの可能性を過大評価していたのではないかとみられている。これらの結果は、前立腺癌に対する予防薬としてのフィナステリドの正当性を裏付けると試験の責任医師らは述べている。

これらの解析結果の2つは、フロリダ州オーランドで行われたAmerican Urology Association(米国泌尿器学会、AUA)総会で5月18日に発表され、3つの解析すべては、5月18日号のCancer Prevention Research誌のオンライン版に掲載された。

19,000名近くが参加した前立腺癌予防試験(PCPT:Prostate Cancer Prevention Trial)からの初期結果は2003年に公表され、フィナステリド5mgを毎日7年間服用した男性は、プラセボを服用する男性と比較して前立腺癌を発現するリスクが25%低かったことが示された。

しかし、フィナステリド治療は、グリーソンスコア7から10の高悪性度の前立腺癌を発症する、わずかではあるものの統計学的に有意なリスク増加とも関連した。また、フィナステリドの前立腺癌予防効果は、グリーソンスコア6以下の高悪性でない癌の減少による結果であるとして、フィナステリドは治療を必要としない進行の遅い癌だけを予防すると議論した前立腺癌研究者もいた、とサンアントニオのテキサス大学健康科学センターの泌尿器科部長であり、2つの新たな解析の統括著者でもあるDr. Ian Thompson氏は説明する。

いずれの結論も、今回の結果からは正確ではないとみられる、とThompson氏は述べる。

「フィナステリドで予防された癌は、多くの場合外科処置につながる癌と同種の臨床的に意義のある癌であることが今回判明しました」とThompson氏は述べる。「さらに、フィナステリドで高悪性度前立腺癌の28%の低下が示されました。」

Cancer Prevention Research誌に掲載された付随の論説では、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのDr. Christopher Logothetis氏およびイースタンバージニア医科大学のDr. Paul Schellhammer氏が、この結果は「前立腺癌予防の期待は真実のものになった」ことを示していると主張し、今回の解析を評価した。

解析のうち2つは、2つの試験群(フィナステリドおよびプラセボ)における高悪性度癌の「正確な率」を評価するため、PCPTで癌と診断された2,000人以上の患者からの500の前立腺摘除標本を使用し別々に実施されたものである。その解析は、前立腺摘除でのグリーソンスコアをより大規模な試験集団に適用するために統計学的モデリングを使用し、一つはフレッド・ハッチンソン癌研究センターのDr. Mary Redman氏により指揮され、もう一つは、NCIのDr. Paul Pinsky氏によって指揮された。前立腺摘除は、グリーソンスコアを決定するための最も信頼できる判断基準である。両方の解析は、最近の研究が示したように、フィナステリドは高悪性度癌を検出するための前立腺特異抗原(PSA)検査および針生検の両方の感度を高めるという事実に適合させたものである。

フィナステリドに関連して高悪性度癌が全体として増加するということはどちらの解析でも見つかっていない、とThompson氏は強調する。それよりむしろ、フィナステリドは、グリーソン7に分類される腫瘍の減少によってもたらされる適度の予防効果があることを発見した。グリーソン8から10として分類される癌の数は限られているので、そのような腫瘍に対するフィナステリドの効果について確かな結論を引き出すことは難しいとNCI癌予防部門のDr. Howard Parnes氏は、述べる。

3つ目の解析は、コロラド大学デンバー校のDr. Scott Lucia氏らによって実施され、PCPTの生検標本においてグリーソンスコア6に分類される癌-この癌もPCPTにおいてフィナステリドが抑制することが示された-の存在の程度を調べることでフィナステリドが「臨床的に有意義な(処置の必要な)」前立腺癌を予防するかどうかを検討した。彼らは、治療法の決定を導くために用いられる2種類の異なる基準に従って生検標本を評価した。グリーソンスコア6以下と分類された腫瘍の60%は、これらの基準では臨床的に問題となるものであった。

前立腺生検がグリーソンスコア6と分類された男性の90%以上は、直ちに治療を受けることを選択する、と2つの解析の共同著者であるParnes氏は説明する。つまり、これらの生検基準でこういった癌が臨床的処置が必要な癌と考えられるか否かにかかわらず、「いわゆる『臨床的に問題とならない』癌を予防することの重要性を見過ごしてはなりません」とParnes氏は述べる。

フィナステリドは、前立腺癌予防に対して米国食品医薬品局(FDA)からはまだ承認されていないとParnes氏は述べる。「しかし、定期スクリーニングに専心している男性および前立腺肥大症(BPH)の男性は、このオプションについて主治医と話し合いたいと希望することもあるでしょう。」Parnes氏は付け加えた。フィナステリドは、BPH症状の治療および低用量での脱毛の改善に対しFDAに承認されている。

FDAの承認は別として、フィナステリドを阻む別の要因がある、とカンザス大学医療センターの泌尿器科部長であるDr. Brantley Thrasher氏は述べる。

泌尿器科医らには、フィナステリドは高悪性度癌のリスクを増加するという考えが「定着」してしまった、とThrasher氏は述べる。そして、それだけではない。「どの患者にフィナステリドを推奨すべきであるかは正確な答えが得られていません」とThrasher氏は付け加える。「広く採用されるには苦戦することになると思います」。

AUAおよび米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、前立腺癌予防に関するフィナステリド使用の指針を作成中である、とParnes氏は述べる。

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湖月 みき 訳
榎本 裕(泌尿器科)監修

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