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アスベストへの暴露

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アスベストへの暴露

NCI原文ページへ  原文日時:2009年5月1日

キーポイント

 

・アスベストとは繊維の束として自然環境中に存在する鉱物の一群につけられた名称です。(Q 1参照)。

 

・アスベストへの曝露は石綿症(asbestosis)、肺癌、中皮腫、その他の癌、肺・胸膜の非悪性疾患へのリスクを増すかもしれません。(Q3参照)。

 

・アスベストにも曝露している喫煙者は肺癌の危険性が非常に高くなります。(Q6参照)

 

・業務、環境、自宅で家族経由にてアスベストに曝露した人(もしくは曝露している疑いがある人)は医師に曝露した期間と症状について報告しなければいけません。(Q7参照)。

 

・政府機関はアスベスト曝露について、さらに詳しい情報を提供できます。(Q89、参照)

 

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1. アスベストとは何ですか?

 

アスベストとは耐久性のある細い糸状にばらばらにできる線維の束として、環境中に自然に存在する鉱物群の名称です。これらの繊維は熱、火、そして化学薬品に対して抵抗性があり、電気伝導性もありません。これらの理由により、アスベストは多くの産業界にて幅広く使われてきました。

化学的には、アスベストの鉱物群はケイ酸化合物でその分子構造にケイ素および酸素の原子が含まれます。

 

アスベストは蛇紋石(じゃもんせき)系および角閃石(かくせんせき)系アスベストの2つに分類されます。蛇紋石アスベストにはクリソタイルがあり、繊維が長く縮れた状態になっていてこれを編むことができます。クリソタイルは工業用にもっとも広く利用されてきました。もうひとつは角閃石アスベストで、これには陽起石、透明角閃石、直閃石、青石綿、茶石綿を含みます。角閃石アスベストの繊維はまっすぐな針状で、蛇紋石アスベストと比較すると脆いために加工用としては用途が限られています。(下記資料1、2参照)

 

2.アスベストはどのように使われていますか?

 

北アメリカでは1800年代後半から採掘され、商業的に使われています。アスベストの使用は、第二次世界大戦中に大きく拡大しました。(3、4参照)それ以来、アスベストは多くの産業にて使用されています。たとえば、建築・建設業界では強化セメント、強化プラスチックに用いたり、断熱材、屋根ふき材、不燃・防音加工に使われてきました。造船業ではボイラー、蒸気管、温水管の断熱材としてアスベストが使われてきました。自動車産業では車のブレーキシューズやクラッチパッドにアスベストが使われています。アスベストはまた、天井や床タイルの塗料、被覆材、接着剤、またはプラスチックにも使われています。さらに、アスベストはバーミキュライトで覆われた一般向け庭製品やタルク含有クレヨンからも見つかっています。

 

1970年代の終わりに、米国消費者製品安全委員会(U.S. Consumer Product Safety Commission, CPSC)は壁補修材とガスを使用する暖炉におけるアスベストの使用を禁止しました。これは、これらの製品に含まれるアスベスト繊維が使用中に周りの環境に放出される可能性があったからとしています。さらに、1979年に電気ヘアドライヤー製造業者らが自分たちの製品にアスベストを使うことを自主的に中止しました。1989年、米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency, EPA)は新しくアスベストを使用することを禁止しましたが、1989年以前に使用されたものについては許可しています。EPAは学校で破損したアスベスト使用部を調べて、アスベストの除去もしくは完全にカバーする措置を実施することでアスベスト曝露を阻止・減少させるという規則を作りました。(2参照)

 

2000年6月、CPSCは子供たちがクレヨンに含まれるアスベスト繊維により曝露する危険性は非常に低いという結論を出しました(1参照)。しかしながら、アメリカのクレヨン製造社らはそれぞれの製品よりタルクを除去することに合意しました。2000年8月、アスベストに汚染されたバーミキュライトの曝露に関連した健康被害についての報告書を受けてEPAはリスクの程度を評価する一連の研究を行いました。EPAの調査では同様のバーミキュライト製品からの潜在的なアスベスト曝露は、消費者に対して最小限の健康リスクしかないと結論付けました。EPAは消費者に対し、使用中に発生する埃を少なくすることで、園芸作業中のバーミキュライトからの危険性をさらに少なくすることをすすめています。特にEPAは消費者に対してバーミキュライトを野外、もしくはよく換気された場所にて使用すること、使用中はバーミキュライトをよく湿らすこと、服についたバーミキュライトの粉を屋内に持ち込むことを避けること、埃がたちにくいようにあらかじめ混ぜられた園芸用土を使うこと、を推奨しました。

 

上記の規制とそのほかの指導、そしてアスベストの危険性を心配する世論がひとつとなり、その結果米国によるアスベストの年間使用は激減しました。米国国内におけるアスベスト使用量は、1973年では年間803,000トンでしたが、2005年には2,400トンまで減少しました。(3、5参照)

 

3.アスベスト曝露による健康被害は何がありますか?.

 

私たちは職場、地域、またはそれぞれの家庭にて、アスベストに曝露するかもしれません。アスベストを含む製品に物理的な力が加えられた場合、小さなアスベストの繊維が空気中に放出されます。アスベスト繊維を吸い込んでしまうと、この繊維は肺の中に閉じ込められ、長期にわたりその中にとどまります。時間と共に、これらの繊維は肺の中で蓄積して、呼吸に影響を与える、深刻な健康問題につながるような瘢痕化(はんこんか:傷跡になること)や炎症をおこすことがあります。(6参照)

 

米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)、EPA、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer)により、アスベストはヒト発癌性物質(癌の原因となる物質)と分類されています。(2、3、7、8参照)アスベストへの曝露は肺癌や中皮腫(胸部や腹部を覆う薄い膜に発生する、比較的珍しい癌)の危険性を上昇させるかもしれないことが、複数の研究にて指摘されています。中皮腫は珍しいとはいえ、アスベスト曝露に関連した癌のなかではもっとも多く見られるものです。肺癌と中皮腫に加えて、いくつかの研究ではアスベスト曝露と消化器・大腸癌との関連性、そして同様に咽頭・腎臓・食道・胆嚢癌の危険性を上昇させることを指摘しています。(3、4参照)しかしながら、これらのエビデンスは確定的とはなっていません。

 

アスベスト曝露はアスベスト肺(息切れ、咳、永久的な肺の損傷をおこす肺の慢性疾患)、そして胸膜プラーク(肺を覆っている膜の変化)、胸膜の肥厚、そして胸水(肺と胸郭壁の間にある組織に異常貯留する液体)を含む、その他の肺や胸膜の非悪性疾患をおこす危険性も上昇させるかもしれません。胸膜プラークは肺癌の前癌状態ではありませんが、アスベスト曝露を原因とする胸膜疾患のある人は、肺癌の危険性が上昇するかもしれないという研究結果がでています。(9参照)

 

.アスベストに関連したリスクがある人はどのような人ですか?

 

一生のうち、なんらかのかたちで誰もがアスベストに曝露します。大気、水、そして土壌中には低レベルのアスベストが存在します。しかしながら、ほとんどの人はこれらの曝露により病気になることはありません。一般的にアスベストで病気になるのは、日常的に曝露を受ける場合、つまり原材料を直接扱う仕事をする、または、アスベストが高濃度に含まれる環境にいる人たちです。

 

1940年代はじめより、何百万人もの米国の労働者はアスベストにさらされてきました。アスベスト繊維からの健康被害は造船業、アスベスト採掘工場、アスベスト敷物産業やその他のアスベスト製品、建築現場における断熱材を使った作業、あらゆる貿易場で曝露した労働者たちの間で認められてきています。解体業者、乾式壁除去業者、アスベスト除去作業員、消防士、そして自動車整備士もアスベスト繊維に曝露する可能性があります。ブレーキ修理によってアスベストに曝露した自動車整備士の発癌リスクを評価した研究は限られているものの、総合的なエビデンスは、アスベスト曝露において安全なレベルはないと指摘しています。(3,8参照)

政府の規制と業務手順改善の結果、現在の労働者(過去に曝露した人を除く)は過去に曝露していた人よりも、アスベスト曝露の危険性は少なくなっています。

 

2001年の9月11日に起きたNY世界貿易センター(WTC)へのテロ現場にて救助、復旧、そして清掃にかかわった人々は、アスベスト関連疾患を発症する危険性のあるグループです。なぜなら、アスベストはWTCのノースタワーの建築に使われており、テロが行われたときには数百トンにものぼるアスベストが大気中にばら撒かれました。最もリスクが高いのはグラウンドゼロの瓦礫の中で働いていた消防士、警察官、医療従事者、建築作業員、ボランティアの人々です。それ以外では、WTCタワーに近いところに住んでいた住民、近隣の学校に通っていた人たちにリスクがあります。これらの人々はアスベスト曝露による長期的な健康への影響を見極めるための追跡調査する必要があるでしょう。(10参照)

 

WTC現場での作業中に救助・救援作業員の70%近くが新たに呼吸器症状を訴えたり、呼吸器症状が悪化したという研究報告があります。この研究は、WTC関連の健康被害について回答者に確認し、その特徴を明らかにするために行われたWTC労働者・ボランティアの医療スクリーニングプログラムの結果を示したものです。今回の検討では検査を受けた人の28%に肺機能の異常があることが示され、過去に健康問題が無かった人の61%に呼吸器症状の出現を認めたことが明らかになりました。(11参照)しかしながら、これらの症状はアスベスト以外の建物の残骸に曝露したことが原因であるかもしれないということにも注意を払う必要があります。

 

アスベスト曝露による健康へのリスクは、その量が多ければ多い程、期間が長ければ長い程に悪化することが明確となっています。しかし、研究者らはわずかの曝露を受けた人でもアスベスト関連疾患を発症した場合があることを報告しています。一般的に、アスベスト関連疾患患者は初めてアスベストに曝露してから長い年月の間無症状のままです。アスベスト関連の症状が現れるまで、10年から40年、もしくはそれ以上かかることがあります。(2参照)

 

多量のアスベストに曝露した労働者の家族も中皮腫発症のリスクの増大に直面するというある程度のエビデンスがあります。これは労働者の靴・服・皮膚・そして毛髪により家の中へ持ち込まれたアスベスト繊維に曝露した結果、発生する危険性と考えられています。家庭でのアスベストの曝露を減らすために、このようにしてアスベストを家庭に持ち込んでしまう可能性を抑える作業の実施に関する連邦法が制定されています。労働者は職場から帰る前にシャワーを浴びて衣服を変える、私服を職場とは離れた場所に保管する、または作業着を洗濯する際、その他の衣類とは別に洗うことなどを求められる場合があります。(2参照)

 

職業上アスベストの曝露がなくても、アスベスト採掘所に近いところに住んでいた人にも中皮腫の患者がみられます。(6参照)

 

5.アスベスト関連疾患を発症する危険性に影響する要因は何ですか?

 

アスベスト曝露が個人に対してどのように影響するかを判断するのに参考となる要因がいくつかあります。それは以下のようなものがあります。(2、6参照)

 

・量(どれくらいのアスベストに曝露したか)
・期間(どれくらいの期間、アスベストに曝露したか)
・アスベスト繊維の大きさ、形、化学的構造
・曝露原因
・喫煙・肺の既往疾患など各個人の危険因子

 

すべてのタイプのアスベストが危険であると考えられていますが、異なるタイプのアスベスト繊維が異なるタイプの健康リスクと関連しているかもしれません。例えば、アスベストの角閃石系は、より長期にわたって肺にとどまる傾向があるため特に中皮腫においてクリソライトよりも害があるかもしれないと、いくつかの研究結果で指摘されています。(1、2参照)

 

6.喫煙が及ぼすリスクはどのようなものですか?

 

多くの研究で喫煙とアスベスト曝露の組み合わせは特に有害であると結論づけています。アスベストに曝露した喫煙者が肺癌を発症する危険性は、アスベストに曝露した人と喫煙した人、それぞれ単独のリスクを合わせたものよりも高いです(3、6参照)。アスベストに曝露した労働者が、喫煙を辞めることで肺癌の危険性を減らすというエビデンスもあります(4参照)。中皮腫のリスクに関しては、アスベスト曝露と喫煙の組み合わせでリスクが増加することはないとみられます。しかしながら一生のうちで、職場でアスベストに曝露をした人、または曝露が疑われる人は喫煙をすべきではありません。

 

7.アスベスト関連疾患はどのようにして見つかりますか?

 

職場・環境・自宅にて家族経由でアスベストに曝露している人(または、曝露していると疑われる人)は、主治医に曝露歴・症状の有無について知らせるべきです。アスベスト関連疾患の症状は、曝露後数十年たたないと表れないかもしれません。特に、以下の症状がある場合には医師に相談しましょう。(6参照)

 

・息切れ、ゼイゼイとした呼吸、声が嗄れる
・時間と共に悪化してくる、しつこい咳
・肺から咳と共にあがってくる痰(液体)に血が混じる
・胸痛、もしくは胸の圧迫感
・食べ物を飲み込むのがつらい
・首や顔のむくみ
・食欲不振
・体重減少
・倦怠感や貧血

 

胸部レントゲン撮影や肺機能検査を含む一連の健康診断を勧められるかもしれません。現在のところ、胸部X線はアスベスト関連疾患を見つける上で最も一般的に使用されている方法です。胸部X線は肺の中のアスベスト繊維を見つけることができませんが、アスベスト曝露からくる肺疾患の初期症状を特定する助けになることを頭に入れておくことが重要です。(2参照)

 

いくつかの研究では、アスベストに曝露した人のアスベスト関連肺疾患を見つけるためには、一般的に使われる胸部X線よりもコンピューター断層撮影(CT)(異なる角度から撮影された体の内部をみるための詳細な一連の画像。X線撮影機と連動しているコンピューターによって画像が作られる)の方が効果的であるかもしれないと指摘されています。(12参照)

 

肺生検(外科的手技により肺組織の一部を取り除き、非常に小さなアスベスト繊維を見つける方法)はアスベスト関連疾患の存在を確定するには最も信頼できる検査法です。気管支鏡は生検よりも侵襲の少ない検査で、これは肺の中を洗浄し、その洗浄液からアスベスト繊維を見つけます。しかしこれらの検査では個人がどのくらいアスベストに曝露しているのか、または将来発症するかどうかを見ることはできないということを留意しておくことが重要です。(12参照)アスベスト繊維は尿・粘液・便からも検出することができます。しかし、これらの検査ではその人の肺にどれくらいアスベストがあるかどうかを調べるには信頼性が高くありません。(2参照)

 

8. 労働者がアスベスト曝露から自分を守るためにはどうしたらいいですか?

 

労働安全衛生庁(The Occupational Safety and Health Administration、OSHA)は米国労働省(the U.S. Department of Labor、DOL)の一部であり、海運業・建築・産業・サービス業における健康と安全を監督する責務のある連邦組織です。OSHAは職場におけるアスベスト曝露に対する規制(特に建築現場、造船所、一般工場にて)を作成し、労働者にはそれを遵守することを求めています。さらに、DOLの別の支部である鉱山安全衛生庁(the Mine Safety and Health Administration、MSHA)では採掘時の安全保持に関連する規制を執行しています。労働者は雇用者が提供する保護用具を使用し、推奨されている労働手順と安全手技に従わなければなりません。例えば、必要とされるときには自分のサイズに合っていて、米国国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health、NIOSH)が認可した呼吸マスクを着用しなければいけません。

 

職場にてアスベスト曝露に不安がある労働者は、同僚・社内の労働衛生担当者・雇用者と話し合わなければいけません。必要であれば、OSHAではさらに情報を提供すること、または査察を行うことができます。OSHAの地方支部は、電話帳ブルーページの「合衆国政府の項目」(労働局の下にあります)にリストアップされています。地方支部はインターネットのhttp://www.osha.gov/html/RAmap.htmlで探すことができます。

 

アスベストに関する詳細な情報は、OSHAアスベストウェブページで参照でき、そこではOSHAの基準が何に適応されるか、アスベストの害、アスベスト曝露の評価、労働者を守るために使われる規準を含む、労働現場でのアスベストについての情報がリンクしてあります。このウェブページはインターネット上の
http://www.osha.gov/SLTC/asbestos/index.htmlで利用可能です。OSHAの国内オフィスの連絡先は、下記にあります。

 

団体名 Office of Public Affairs;
Occupational Safety and Health Administration;
U.S. Department of Labor;

 

住所

 

Room N-3649
200 Constitution Avenue, NW.
Washington, DC 20210;

 

電話番号

 

202-693-1999
1-800-321-6742(1-800-321-OSHA) 

 

TTY (聾唖者・聴覚障害者のための電話番号)

 

1-877-889-5627

 

インターネット

 

http://www.osha.gov/as/opa/worker/index.html (労働者のページ)

 

採掘労働者はMSHAに連絡することができます。

 

団体名

 

Office of Public Affairs
Mine Safety and Health Administration ;
U.S. Department of Labor

 

住所

 

21st Floor
1100 Wilson Boulevard
Arlington, VA 22209

 

電話番号

 

202-693-9400
1-800-746-1553

 

インターネット

 

http://www.msha.gov
http://www.msha.gov/codeaphone/codeaphonenew.htm
(国立有害物レポートページ)

 

米国国立労働安全衛生研究所(The National Institute for Occupational Safety and Health、NIOSH)は米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)の一部であり、職場でのアスベスト曝露に取り組んでいる政府組織です。NOIPSHはアスベスト関連の研究を行い、職場での健康被害の可能性について評価し、曝露管理の勧告を行います。加えて、NIOSHはアスベスト曝露の健康への影響について本を作成・配布し、詳しい情報源についてアドバイスすることができます。NIOSHには以下の連絡先から連絡を取ることができます。

 

団体名:

 

Education and Information Division
Information Resources Branch
National Institute for Occupational Safety and Health

 

住所:

 

4676 Columbia Parkway
Cincinnati, OH 45226

 

電話番号:

 

1-800-CDC-INFO (1-800-232-7636)

 

メールアドレス:

 

cdcinfo@cdc.gov

 

インターネット:

 

http://www.cdc.gov/niosh

 

9.アスベスト関連疾患患者は個々の救済をうけるためにどういった事業が利用できますか?

 

アスベスト関連疾患にかかった人は、メディケアの対象者になるかもしれません。給付金に関する情報は、米国内で大都市10ヶ所にあり、その地域の特徴に沿ったサービスを提供しているメディケアのリージョナルオフィスで見ることができます。リージョナルオフィスは利益受給者、医療従事者、州と地方政府、そして一般市民にとって、最初の窓口となる政府組織です。それぞれのリージョナルオフィスへの連絡先は、インターネット上のhttp://www.cms.hhs.gov/RegionalOfficesで見ることができます。メディケアに関する一般的な情報は通話料無料の1-800-633-4227 (1-800-MEDICARE)、またはインターネットのhttp://www.medicare.govで利用可能です。

 

 労働環境が原因であるアスベスト関連疾患患者は、州の労働者補償法により医療費を含む経済的援助を受けられる可能性があります。受給資格は州により異なるため、会社や州・地方政府組織により雇用を受けた労働者はそれぞれの州の労働補償局に連絡を取らないといけません。州の労働者補償オフィスの連絡情報は地方版電話帳のブルーページ、もしくはインターネットのhttp://www.dol.gov/esa/regs/compliance/owcp/wc.htmで見つけられるでしょう。

 

 連邦政府によって雇用されているときに曝露を受けた場合、医療費とその他の費用はDOLによって運営されている連邦雇用者補償プログラム、雇用基準局の労働者補償プログラム室により補償されるかもしれません。このプログラムでは就労時に発生した怪我・病気のため、連邦(市民)労働者へ支払われる補償費用を提供します。給付内容としては、賃金補償、医療費の支払い、そして必要な場所では仕事復帰に向けた医学的・社会復帰目的のリハビリテーションの援助があります。怪我や病気により労働者が亡くなった場合、その遺族に給付金が支払われるかもしれません。このプログラムでは国内12ヶ所に管轄オフィスがあります。

 

さらに、湾岸労働者への補償プログラム(the Longshore and Harbor Workers’ Compensation Program)では、就労中に発生した怪我や、就労により病気を発症もしくは悪化させた港湾労働者、海運労働者、そのほかの種類の民間企業労働者へ補助を行います。これらのプログラムに基づいた受給資格や申請方法についての情報はこちらから得ることが出来ます。

 

団体名

 

Office of Workers’ Compensation Programs
Employment Standards Administration
U.S. Department of Labor

 

住所

 

Frances Perkins Building
200 Constitution Avenue, NW.
Washington, DC 20210;

 

電話番号

 

1-866-692-7487 (1-866-OWCPIVR)
202-693-0040
(連邦職員補償プログラム)
202-693-0038
(湾岸労働者補償プログラム)

 

メールアドレス

 

OWCP-Public@dol.gov

 

インターネットアドレス

 

http://www.dol.gov/esa/owcp_org.htm

 

受給資格のある退役軍人は、アスベスト関連疾患のための治療を米国復員軍人省(VA)の在郷軍人病院で受けることが出来るかもしれません。退役軍人は軍務とかかわるかは関係なく、病気にかかったときに治療を受けることが出来ます。受給資格とその給付内容について、在郷軍人健康手当サービスセンター(VA Health Benefits Service Center)の1-877-222-8387、またはインターネットでは在郷軍人ウェブサイトhttp://www1.va.gov/healthにて情報を得ることが出来ます。

 

10.アスベスト関連疾患の被害者を助ける法律はありますか?

 

アスベスト関連疾患の被害者に補償をする、または人々をアスベスト曝露から守る連邦法は、いまだに制定されていません。しかしながら、the Fairness in Asbestos Injury Resolution (FAIR) と呼ばれる法案が議会に何度か提議されています。この法案はアスベスト関連疾患に苦しむ被害者に対し、補償をするための国の供託金を作るものです。この提案中の供託金が実現すれば、DOLによって管理され、裁判ではなく申請によってある種の医学的症状とアスベスト関連疾患である証明がされた人はすべてが保障を受けるでしょう。供託金の財源は保険会社と採掘業者、アスベストやアスベスト製品を加工・販売した企業から来るものとしています。この法案のもとでは、アスベスト曝露によって影響を 受けた個人は連邦もしくは州の裁判所にて損害賠償を求めて裁判を起こすことは出来なくなります。

 

12.アスベスト曝露に関する情報を提供するその他の団体は何ですか?

 

以下に列挙された団体はアスベスト曝露についてもっと詳しい情報を提供できます。

 

アメリカ毒性物質疾病登録庁(The Agency for Toxic Substances and Disease Registry、ATSDR)は有害物質が人間の健康に与える影響を評価する責任がある主要連邦機関です。この機関は有害物質の曝露からおこる健康被害を予防し、またはその害を減らすために、地方、州、連邦機関、そして部族政府と地域社会、地方医療機関と共に密接な連携を保って活動します。ATSDRはアスベストに関する情報と、どこで職務・環境に詳しい医療機関を探すかという情報を提供できます。

 

団体名

 

Agency for Toxic Substances and Disease Registry

 

住所

 

4770 Buforf Highway, NE
Atlanta, GA 30341

 

電話番号

 

1-800-232-6348(1-800-CDC-INFO)

 

TTY(聾唖者・難聴者のための番号)

 

1-888-232-6348

 

メールアドレス

 

cdcinfo@cdc.gov

 

インターネットアドレス

 

http://www.atsdr.cdc.gov

 

米国環境保護庁(The U.S. Environmental Protection Agency、EPA)は一般の人々の建築物中、飲料水、環境中にあるアスベストへの曝露を規制します。EPAは有毒物質管理法ホットライン(Toxic Substances Control Act (TSCA) Hotline)とアスベスト・オンブズマンを提供します。TSCAホットラインでは技術的アドバイスと、アスベスト学校有害物排除法(Asbestos School Hazard Abatement Act)・アスベスト災害緊急対策法(Asbestos Hazard Emergency Response Act)を含むTSCAを元にしたアスベストプログラムについての情報提供を行っています。アスベスト・オンブズマンでは学校におけるアスベストに焦点を当て、問い合わせと苦情の対応をしています。TSCAホットラインとアスベスト・オンブズマンは、共に学校やその他の建物におけるアスベストの管理に関する数多くの項目について印刷物を提供できます。オンブズマンでは中小企業、産業団体、そして他の無料・匿名の情報を探している人たちに向けて、通話料無料のホットラインを提供しています。

 

インターネット上のEPAウェブサイト http://www.epa.gov/asbestos/pubs/regioncontact.html では、EPAの地方・州のアスベスト関連の連絡先がリストアップされています。さらに、EPAのアスベストとバーミキュライトホームページでは、アスベストに関する情報とその健康への影響、そして家にアスベストが使われている疑いのある家主に向けたアドバイスや、アスベストの法律や規制を含むアスベスト情報源へのリンクが載っています。このページはインターネット上のhttp://www.epa.gov/asbestos/で見つけることが出来ます。直接問い合わせをする場合は、下記が連絡先となります。

 

団体名:

 

U.S. Environmental Protection Agency
EPA West Building
National Program Chemicals Division  

 

住所:

 

Mail Code 7404T
1200 Pennsylvania Avenue, NW.
Washington, DC 20460

 

TSCA ホットライン:

 

202-554-1404

 

TTY(聾唖者と難聴者用の番号):

 

202-554-0551

 

アスベストオンブズマン:

 

1-800-368-5888

 

メールアドレス:

 

tsca-hotline@epa.gov

 

インターネットアドレス:

 

http://www.epa.gov/asbestos/

 

 他にEPAの関連情報源としては、Current Best Practices for Preventing Asbestos Exposure Among Brake and Clutch Repair Workersというタイトルの冊子があります。これは2007年4月に発行され、内容としてはアスベスト曝露を防ぐために車両整備の専門家・愛好家の両方に使える作業手順となっています。また、これは車両整備の専門家に向けて、既存のOSHA規制上必要とするものの要約もされています。この冊子はゴールドブックとして知られるEPAの「Guidance for Preventing Asbestos Disease Among Auto Mechanics」よりも重要なものです。この冊子はインターネット上のhttp://www.epa.gov/asbestos/pubs/brakesbrochure.htmlで見つかります。

 

米消費者製品安全委員会(The U.S. Consumer Product Safety Commission、CPSC)は自らの権限にてアスベストを含む15,000件以上もの消費材を原因とする傷害もしくは死亡する可能性のある不合理な危険性を予防する責務があります。OPSCは無料の24時間ホットラインを提供しています。相談者は製品安全情報や他の機関の情報を手に入れること、そして安全ではない製品をレポートすることが出来ます。さらCPSC印刷物ではアスベストの修理と除去に関するガイドライン、自宅におけるアスベストの一般的な情報を提供しています。CPSCは以下で連絡を取ることができます。

 

団体名:

 

Office of Information and Public Affairs;
U.S. Consumer Product Safety Commission

 

住所:

 

4330 East West Highway
Bethesda, MD 20814;

 

電話番号:

 

1-800-638-2772

 

TTY (聾唖者または難聴者用の番号):

 

1-800-638-8270

 

メールアドレス:

 

info@cpsc.gov

 

インターネットアドレス:

 

http://www.cpsc.gov

 

アスベストに関する質問や意見について、それぞれの地方や州の健康課に連絡することもできます。

 

参考文献

 

1 Agency or Toxic Substances and Disease Registry (April 2006). What Is Asbestos? (アスベストとは何?)Retrieved April 2009, from: http://www.atsdr.cdc.gov/asbestos/more_about_asbestos/what_is_asbestos.

 

2  Agency for Toxic Substances and Disease Registry Toxicological Profile for Asbestos. (アスベストの毒性プロフィール)Retrieved September 2001, from: http://www.atsdr.cdc.gov/toxprofiles/phs61.html 

 

3 National Toxicology Program. Report on Carcinogens. Eleventh Edition.(発癌性物質レポート 第11版) U.S. Department of Health and Human Services, Public Health Service, National Toxicology Program, 2005. Retrieved April 10, 2009, from

 

4 Ullrich RL. Etiology of cancer: Physical factors. In: DeVita VT Jr., Hellman S, Rosenberg SA, editors. Cancer: Principles and Practice of Oncology.(癌: 腫瘍学の原理と診療) Vol. 1 and 2. 7th ed. Philadelphia: Lippincott Williams and Wilkins, 2004.

 

5 Virta RL (January 2006). Mineral Commodity Summaries: Asbestos. U.S. Geological Survey Minerals Information.(鉱産物サマリー:アスベスト 米国地質調査鉱物情報) Retrieved April 10, 2009, from:, from: http://minerals.usgs.gov/minerals/pubs/mcs/2006/mcs2006.pdf..

 

6 Agency for Toxic Substances and Disease Registry (June 2006). Asbestos: Health Effects.(アスベスト:健康への影響) Retrieved April 10, 2009, from: http://www.atsdr.cdc.gov/asbestos/asbestos/health_effects/index.html.

 

7 U.S. Environmental Protection Agency. Health Effects Assessment for Asbestos. (アスベストの健康への影響評価)U.S. Environmental Protection Agency, 1984. EPA/540/1-86/049 (NTIS PB86134608). Retrieved April 10, 2009, from

http://cfpub.epa.gov/ncea/cfm/recordisplay.cfm?deid=40602. .

 

8 International Agency for Research on Cancer. Asbestos. IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, vol. 14.(アスベスト ヒトにおける発癌リスク評価のIARCモノグラフ14巻) Lyon, France:  Retrieved April 10, 2009, from: http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol14/volume14.pdf.

 

9  O’Reilly KMA, McLaughlin AM, Beckett WS, et al. Asbestos-related lung disease. American Family Physician (アメリカの家庭医) 2007 ; 75(5):683–688..

 

10  Landrigan PJ, Lioy PJ, Thurston G, et al. Health and environmental consequences of the World Trade Center disaster. Environmental Health Perspectives(世界貿易センター災害の健康と環境への影響) 2004; 112(6):731-739.

 

11 Herbert R, Moline J, Skloot G, et al. The World Trade Center disaster and the health of workers: Five-year assessment of a unique medical screening program. Environmental Health Perspectives(世界貿易センター災害と労働者の健康:独自の医学スクリーニングプログラムにおける5年後評価) 2006; 114(12):1853?1858.

 

12 Agency for Toxic Substances and Disease Registry . Asbestos: Working with Patients: Diagnosis.(アスベスト:患者と共に:診断) Retrieved April 9, 2009, from: http://www.atsdr.cdc.gov/asbestos/medical_community/working_with_patients.

 

 

根本明日香 訳
中島美香 訳更新(2009/5/1分)
平 栄 (放射線科) 監修

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