2008/06/24号◆特集記事「多発性骨髄腫細胞を制御する主要タンパク質」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/06/24号◆特集記事「多発性骨髄腫細胞を制御する主要タンパク質」

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

2008/06/24号◆特集記事「多発性骨髄腫細胞を制御する主要タンパク質」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年06月24日号(Volume 5 / Number 13)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

____________________

特集記事

多発性骨髄腫細胞を制御する主要タンパク質

多発性骨髄腫はいくつもの異常な遺伝子変化によって引き起こされるにもかかわらず、これらの癌細胞は単一のタンパク質により制御されると、今週のNature誌オンライン版に掲載された。

多発性骨髄腫細胞は癌促進遺伝子の活性に左右されており、その活性はインターフェロン調節因子-4(IRF4:Interferon Regulatory Factor 4)というタンパクによって制御されていることが研究で示唆された。多発性骨髄腫細胞において、このタンパク質への「依存性」を断ち切ることで、多発性骨髄腫が治療できる可能性があることも示唆されている。

多発性骨髄腫の10種類の実験モデルにおいて、NCIの癌研究センターのDr. Louis M. Staudt氏らは、IRF4の産生を阻害すると骨髄腫細胞を死滅へと至らせることを発見した。

「われわれは、多様な遺伝子異常を伴う多発性骨髄腫細胞のすべてがIRF4阻害に対し極めて高い感受性をもつことを発見して驚きました。IRF4の標的治療薬は多発性骨髄腫において広く効果的である可能性を示唆しています。」とStaudt氏は述べる。

同義遺伝子の活性を制御する転写因子であるIRF4タンパク質は、ほとんどの骨髄腫細胞内では正常であるが、広範囲の遺伝子レパートリーを捕捉し、幅広い活性プログラムに指令を出すが、これには細胞代謝やその他の基本的機能における遺伝子活性も含まれる。骨髄腫細胞におけるIRF4の欠損は、ひいては、これら重要な機能に対し広範囲にわたって混乱を招くことから、このプロセスは「メッタ刺し」と言われている。

多発性骨髄腫とは、形質細胞という白血球の1種が侵される癌である。それらの細胞は免疫システムのB細胞から発生する抗体産生細胞である。

多発性骨髄腫は現在、治癒する方法がないものの、化学療法、幹細胞移植、あるいはボルテゾミブ(ベルケイド)またはサリドマイドなどの最新の治療法が有効とみられる。

IRF4の役割を理解するため、研究者らはRNA干渉法として知られている技術を用い、骨髄腫細胞のさまざまな遺伝子型を集めて「必須」遺伝子を調べたところ、この疾患の遺伝子のサブタイプすべてにおいて骨髄腫細胞がIRF4に依存していることを認めた。

骨髄腫細胞内でIRF4によって制御される癌遺伝子には、多発性骨髄腫およびその他の癌で重要な役割を果たすMYC遺伝子が含まれるが、IRF4とMYCはフィードバックループを形成するという予想外の事実がわかった。つまり、IRF4がMYCを活性化すると、続いてMYCがIRF4を活性化し、同時にIRF4が制御する異常な遺伝子ネットワークをも活性化することになる。

この研究は、いわゆる「非癌遺伝子依存性」と呼ばれるものである。この場合、癌細胞は、変異その他の癌遺伝子の特徴を持たない遺伝子の活性に依存するようになる。

IRF4の形成を伴うマウスの研究および実験を基に、正常細胞を傷つけずに骨髄腫細胞を死滅させうるIRF4産生をターゲットとする治療法に治療濃度域が存在する可能性に研究者らは期待を寄せている。

転写因子は、阻害するのが難しい分子であると考えられているが、転写因子p53およびBCL-6を標的とする最近の治療の成功は、「IRF4が多発性骨髄腫の弱点として利用できる希望をもたらします」と、研究者らは述べている。

—Edward R. Winstead

******
湖月みき 訳
真庭 理香 (薬学) 監修
******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward