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2008/07/08号◆特集記事「癌の臨床試験、ワークショップでの討議開始」

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2008/07/08号◆特集記事「癌の臨床試験、ワークショップでの討議開始」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年7月08日号(Volume 5 / Number 14)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

癌の臨床試験、ワークショップでの討議開始

先週、臨床試験の専門家による会合が開催され、数十年間にわたって国に貢献してきたシステムを、より患者および多くの関係者のニーズに応えるために、どのような修正・更新が必要であるかの改善策が話し合われた。

開会の挨拶を行ったNCI所長Dr. John Niederhuber氏によれば、今回のワークショップの主なテーマのひとつは、その改正は全世界的なものでなければならず、規制当局、第三者支払機関、および米国国立癌研究所(NCI)や製薬会社などの資金提供団体を含むものでなければならないという点であった。

政府、規制当局、学界、産業界および患者グループを代表する100人以上の人々が、National AcademiesのKeck Centerで6月1~2日 に開催されたInstitute of Medicine(米国医学研究所)のNational Cancer Policy Forumのイベントに出席した。議論の中心は、多施設で行われる最終段階の臨床試験およびNCIのClinical Trials Cooperative Groupプログラム(以下、共同研究グループプログラム)の役割についてであった。

共同研究グループプログラムによって、毎年約22,000人の癌患者が、大学医療センター、癌センター、地域の病院および民間の研究施設で実施される臨床試験に登録されている。本プログラムは議会の承認を得て1955年に開始され、現在では米国で全国規模の10団体1,700の施設が名を連ねるまでに成長した。

本プログラムは、多数の癌治療法の安全性および有効性を明らかにする上で役立つ存在であった。しかし、現在の臨床試験システムは、癌の複数の経路を標的とする新たな併用療法の進歩に対応していない。

「今回の会合では、注意を要する問題やニーズについての包括的で情報に富んだリストが作成されました」とNiederhuber氏は述べた。「積極的な変更に関するいくつかの素晴らしいアイデアも示されました。この最も重要な(そして急速に発展しつつある)臨床研究体制のための強化活動を続ける中、あと数週間のうちには、これらの懸案事項をもってNCIの行動計画を発表することになります」。

その他の議題としては、患者と医師の募集、経費と支払い、および安全性と有効性を立証するためのデータ収集基準などの規制上の問題などがあがった。

最も重要な試験を優先させる必要性などの基本的な問題に関しては、一般的な合意が得られたようである。実施する試験数を絞ることによって、試験立案者は貴重な資金を適正の不完全な試験から他の試験へまわすことが可能となるかもしれない。

共同研究グループプログラムに対する年間の財政支援は約1億4,500万ドルであり、NCI癌診断治療部門の癌治療評価事業により管理されている。1997年、独立審査委員会は共同研究グループプログラムに対する相応の資金援助の必要性について言及した;その後、試験実施費用は上昇したがそれに相対する予算の増加は行われていない。

「重大な科学的問題に対してだけでなく、臨床試験システムにおける資金調達問題や長期的な効率の悪さにも対応しなければならないのです」とNiederhuber氏は述べた。

ワークショップ計画委員会の議長は、テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター病院長であるDr. John Mendelsohn氏が務めた。彼は、共同研究グループプログラムがますます企業に財政支援を求めることになるだろうと予測した。共同研究グループは、多くの企業が募集できるよりもはるかに多種多様な患者を提供していることから、企業にとって魅力的な存在となっている。また、組織バンクを所有したり、即時に遺伝子発現や分子標的を検索できるグループがあることももう一つの利点となっている。

「私たちがより個別化された医療へ移行している時に、これらのグループは私たち全員が関心を示すような試験を行うことができるのです」とDr. Mendelsohn氏は述べた。

安全性と有効性に関するデータ収集についてのパネルディスカッションで、食品医薬品局(FDA)のDr. Richard Pazdur氏は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)で以前行われたように、今後のワークショップもしくは公開討論会で今回の話題が検討される可能性があることを示唆した。

ASCO会長のDr. Richard Schilsky氏は、規制当局の承認取得に必要なデータセットの作成について話し合うために、彼の組織はFDAやその他の関係者と「喜んで」協力するつもりであると述べ、その申し出に即座に応じた。

Vanderbilt-Ingram Cancer Centerの名誉所長でありNational Cancer Policy Forumの議長であるDr. Harold Moses氏は、以前のNCI 共同研究グループの審理結果が反映されなかったことに言及し今回はそうはならないだろうと述べた。

ワークショップのまとめで、大筋で合意に至った範囲が話し合われ、その内容が米国医学研究所(Institute of Medicine)研究委員会の基盤となるであろう。恐らく次の春までには、このような機関が推奨案を作成し提言することになるであろう。

「どういうものになるのか、出席者全員が興味津々です」とDr. Mendelsohn氏は述べた。

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豊 訳

鵜川邦夫 (消化器内科/有明癌研究所) 監修
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