2008/08/05号◆特集記事「富豪たちが世界規模の禁煙政策を推進」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/08/05号◆特集記事「富豪たちが世界規模の禁煙政策を推進」

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2008/08/05号◆特集記事「富豪たちが世界規模の禁煙政策を推進」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年8月5日号(Volume 5 / Number 16)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

富豪たちが世界規模の禁煙政策を推進

マイクロソフト社創始者ビル・ゲイツ氏とニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグ氏は、途上国で広がりつつあるタバコ使用の拡大を阻止するため5億ドルの援助を約束した。これはタバコ消費量の減少に実績あるプログラムや政策を各国政府が実施するための支援を行うものである。この声明は7月23日、ニューヨーク市での記者会見で発表された。

「タバコを世界規模で規制するためのこのような注目すべき貢献が得られ、私たちは感激しています」とDr. ロバート・クロイル(NCI(米国国立癌研究所癌制御・集団科学部門所長)は述べている。「NCIは、この重要なイニシアチブが支援するプログラムや政策に対し、役立つ情報提供のできる研究を継続的に支援していきます」。

世界保健機構(WHO)はMPOWER(エムパワー)というタバコ規制のための政策を立ち上げた。MPOWERは非常に重要で効果的な次のような6つの方針からなる。1)喫煙状況および喫煙予防政策の監視、2)タバコの煙からの人々の保護、3)禁煙支援、4)タバコの危険性の警告、5)タバコ広告、販売促進活動、スポンサー活動の禁止強化、タバコ税引き上げ、である。

この戦略は、「喫煙の拡大阻止に向けた厳しい方針(ブルームバーグ市長)」である。ブルームバーグ市長の基金はこのMPOWERの拡大を支援する。ところが、この政策は効果に関する明確な科学的根拠があり、世論が支持しているにもかかわらず、重要な5つの方針のうちひとつでも完全に実施している国はおよそ5カ国に1カ国の割合に過ぎず、6つ全てを完全に実施している国はない。

このような現状が直ちに変わることがこの億万長者の慈善活動家らの願いである。ブルームバーグ市長は2005年の支援額1億2,500万ドル(約135億円)に加えて2億5,000万ドル(約270億円)を今後4年間にわたり支援することを約束している。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金からは5年間で1億2,500万ドル(うちブルームバーグ基金への補助金2,400万ドル)が投入される。

「私たちの活動は、各国政府が効果の証明されているMPOWERを実施してタバコの使用拡大に対して取り組むための支援を行うことです」とブルームバーグ市長は声明の中で述べている。「この支援の対象は、十分な人員を配備したタバコ規制プログラムの確実な実行、タバコ税の引き上げ、積極的な広報キャンペーンの展開、公共の場での広域禁煙区域の設置、タバコ広告の禁止です」。

喫煙者は世界中で10億人にのぼる。近年、タバコの使用の拡大は、喫煙量が概ね減少しつつある高所得国から、中・低所得国へと移行している。2030年までにタバコによる死亡は世界で年間800万人に達し、その80%は途上国が占めるとみられる。緊急に対策を講じない限り今世紀のタバコによる死亡者は10億人を超えるであろうとWHOは警告している。

ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金は、タバコ規制政策を裏付ける経済的証拠を確立し、タバコの害を市民に伝える公教育振興に用いられる。また同基金は、元来喫煙率の低いサハラ以南のアフリカ諸国にタバコがまん延するのを食い止めるための援助も行っている。

「タバコによる疾患は、途上国が直面しつつある最大の健康問題のひとつです」とゲイツ氏は報道発表で述べている。「幸いなのは、何百万人もの生命を救うために何をすべきかが明らかであり、その取り組みが実行されているところでは効果が出ているということです」タバコ規制はゲイツ基金の新しい取り組みであるが、この組織は各国政府や市民組織と協力してマラリアなどの病気に取り組んできた豊富な経験をもっている。

ブルームバーグ市長とゲイツ氏は声明の中で政財界の首脳陣に対し、タバコ規制のための予算を増やしタバコ消費量減少に実績ある政策を実行することで、タバコ規制に取り組む優先順位をもっと上げるよう求めた。

「ブルームバーグ市長とゲイツ氏の取り組みは膨大な数の人々の生命を救う上に、新しい政策の効果を明らかにする一連の自然実験としても意味があります。そうした政策は、特に米国食品医薬品局(FDA)がタバコ規制を担当することになった場合、米国内で実施されることも考えられます」とクロイル氏は述べている。

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Chachan 訳

関屋 昇(薬学)監修

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