『SELECT(セレニウムとビタミンEの癌予防効果試験)Q&A』 | 海外がん医療情報リファレンス

『SELECT(セレニウムとビタミンEの癌予防効果試験)Q&A』

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『SELECT(セレニウムとビタミンEの癌予防効果試験)Q&A』

NCI原文ページへ 原文2008年10月31日 更新2010年2月3日

Key Points

・SELECTとは、セレニウムとビタミンEの癌予防効果試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial)の略称で、これらのサプリメントの1つまたは両方が、前立腺癌を予防するかどうかを調べる臨床試験です。

・SELECTではこれらのサプリメントの効果の評価を継続していますが、参加者は現在では研究対象のサプリメントを摂取していません。

・この試験のための独立したデータ安全性監視委員会(Data and Safety Monitoring Committee)は、セレニウムとビタミンEを単独または併用で平均5年半摂取しても、前立腺癌を予防しないことを発見しました。

・SELECTのデータでは、統計的に有意でない2つの傾向が示されました。ビタミンEのみを摂取した男性は前立腺癌の発症がわずかに多く、セレニウムのみの男性は糖尿病の発症がわずかに多いという傾向です。この発見は、これらのサプリメントによるリスクの増加を証明するものではなく、偶然によるものかもしれません。

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1.SELECTとは何ですか?

SELECTとは、セレニウムとビタミンEの癌予防効果試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial)の略称で、これらの物質の1つまたは両方をサプリメントとして摂取した場合に前立腺癌を予防するかどうかを調べる臨床試験です。この試験は主に米国国立癌研究所(NCI)が資金提供し、研究機関の国際組織でNCIから資金提供を受けているSouthwest Oncology Group(SWOG)が調整しています。試験への登録は2001年に開始され2004年に終了しました。米国、プエルトリコおよびカナダの400以上の施設がこの研究に参加しました。3万5,000人以上の男性がSELECTに参加しました。 

2.SELECTの現状はどうですか?これらのサプリメントは前立腺癌を予防しましたか?

SELECTは当初、最低7年間、最長12年間の追跡調査として計画されました。しかしながら、試験のための独立したデータ安全性監視委員会(DSMC)は2008年9月15日に会合を開き、SELECTの研究データを検討した結果、セレニウムとビタミンEを単独または併用で摂取した場合でも前立腺癌を予防しないことを発見しました。また、セレニウムとビタミンEのサプリメントによって、研究の目標であった前立腺癌の発症を25%減少させる見込みはないことを決定しました。結果としてSELECT参加者は、2008年10月にビタミンEおよびセレニウム摂取の中止を伝えられました。

この試験では4群間の前立腺癌発症率に統計的な有意差(換言すれば、偶然のみでも生じえた差)はなかったものの、ビタミンEのみを摂取した男性における前立腺癌の発症率はより高い傾向にありました。この差はビタミンEが前立腺癌の原因となることを証明するものではなく、偶然によるものかもしれません。試験群別の数値と割合(2008年10月23日付)は以下のとおりです。

・プラセボ単独群:前立腺癌の5年発症率4.36%(416人の前立腺癌患者)
・ビタミンEサプリメントおよびセレニウムのプラセボ群:前立腺癌の5年発症率4.93%(473人の前立腺癌患者)
・セレニウムサプリメントおよびビタミンEのプラセボ群:前立腺癌の5年発症率4.56%(432人の前立腺癌患者)
・セレニウムサプリメントおよびビタミンEサプリメント群:前立腺癌の5年発症率4.56%(437人の前立腺癌患者)

SELECTの初期の結果は2008年12月9日付のオンライン版JAMA-Expressに発表され、2009年1月にJAMA誌の初版に掲載されました。(1)

3. SELECTのサプリメントは他の癌または病気に影響を与えましたか?

肺癌または結腸直腸癌、全癌の発症率、全死亡率、または循環器事象の全発症率にも試験群間の差はありませんでした。この試験の初期に報告されたデータによれば、セレニウムのみを摂取した男性(10%)はプラセボを摂取した男性(9.3%)に比べ、糖尿病の発症率が高くなりました。この発見は統計的に有意ではないため、セレニウムによるリスクの増加を証明するものではなく偶然によるものかもしれません。この試験開始後に糖尿病であると報告された男性の割合は、ビタミンE単独群は9.7%、セレニウム・ビタミンE群は9.1%でした。

4. SELECTに参加した男性はどうなりましたか?

研究に参加した男性は初期の発見について説明を受け、ビタミンEおよびセレニウムの摂取を中止するように言われました。2008年および2009年に、参加者は地域の研究スタッフによる健康管理下におかれ、研究アンケートに回答し、試験参加の5年後に血液サンプルを提出しました(未提出だった場合)。アンケートと血液サンプルから得られた情報によって、この研究は完全に解析できることになります。研究には、癌予防における抗酸化剤の役割や、前立腺癌、他の癌、男性の加齢に関連する病気の自然経過についての重要な分子レベルの調査も含まれています。2010年、参加男性はSELECT調整センターから電子メールで送付されるアンケートによって、SELECTへの参加延長を勧められます。この追跡調査は最長で5年間継続します。

5. 参加者が転居したり、SELECT研究チームと連絡が取れなくなったりした場合はどうするのですか?

研究チームと連絡が取れなくなったSELECTの参加者は誰でも、NCIの癌情報サービス(CIS)に詳しい情報とSELECT調整センターへの紹介について問い合わせることができます。米国およびプエルトリコの参加者はフリーダイヤル(1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)、月−金、現地時間午前9時から午後4時30分まで)、またはLiveHelpのオンライン・チャット・サービス(http://www.cancer.gov/livehelp月−金、東部標準時午前9時から11時)を利用できます。電子メール(cancer.govstaff@mail.nih.gov.)で問い合わせることもできます。

6. 誰がどのサプリメントを摂取したのですか?

この研究に参加した男性は1日あたり2個のカプセルを摂取しました。以下を摂取するよう無作為に割り付け(偶然による割り付け)されました。

  • セレニウムとビタミンE
  • セレニウムとプラセボ
  • ビタミンEとプラセボ
  • 2個のプラセボ

試験では2種類のプラセボが使用されましたが、1つはセレニウムカプセルに似た形状で、もう1つはビタミンEのカプセルに似た形状でした。どちらのプラセボにも非活性成分のみが含まれていました。参加者も研究者も、どの参加者がセレニウムとビタミンE、またはプラセボを摂取したかを特定できない「盲検」でした。 

7. 参加者はどのサプリメントを摂取しているか説明を受けましたか?

2010年に研究施設への訪問時に、全参加者は摂取していたサプリメントについて報告を受けます。

8. 男性が前立腺癌を発症する確率はどのくらいですか?

皮膚癌を除くと、前立腺癌は米国男性にみられるもっとも一般的な癌です。2009年では、米国では推定で19万2,280人の新たな前立腺癌の症例があり、2万7,360人が前立腺癌により死亡しています(2)。すべての男性に前立腺癌のリスクがありますが、もっともリスクが高いのは55歳以上、アフリカ系米国人、あるいは前立腺癌の父親または兄弟がいるというカテゴリーの1つ以上にあてはまる場合です。 

9. セレニウムとは何ですか。なぜセレニウムの前立腺癌予防効果について研究するのでしょうか?

私たちの体にはセレニウムが必要です。セレニウムは特に、米や小麦などの植物性食品、海産物およびブラジルナッツなどの食物に含まれている非金属の微量元素です。セレニウムは抗酸化物質で、癌の原因となる細胞傷害の制御に役立つ可能性があります。

1996年に初めて発表された栄養による癌予防試験(Nutritional Prevention of Cancer (NPC)study)には、非黒色腫皮膚癌歴のある1312人の男女が含まれていました。この試験の結果では、新たな非黒色腫皮膚癌の発症を予防するためにセレニウムを摂取した男性に、セレニウムが何の効果ももたらさなかったことが示されました。しかしながら、セレニウムを6年半にわたって摂取した男性はプラセボを摂取した男性に比べ、新たな前立腺癌の症例が約60%少ないことが認められました(3)。2002年の追跡調査報告では、セレニウムを7年半以上摂取した男性はプラセボを摂取した男性に比べ、新たな前立腺癌の症例が約52%少なかったことがデータで示されています(4)。この試験が、SELECTでセレニウムを研究している理由の1つです。

10. ビタミンEとは何ですか?なぜビタミンEの前立腺癌予防効果について研究するのでしょうか?

私たちはビタミンEを特に野菜、植物油、ナッツ類および卵黄などの広範な食物から摂取します。ビタミンEはセレニウムと同じように抗酸化物質の1つで、癌の原因となる細胞傷害の制御に役立つ可能性があります。

1998年にフィンランドの2万9133名の男性喫煙者を対象に行われた研究(アルファトコフェロール、ベータカロチン臨床試験またはATBC)では、肺癌予防のためにビタミンEをアルファトコフェロールの形で摂取した男性はプラセボを摂取した男性に比べ、前立腺癌の新たな症例が32%少なく、前立腺癌による死亡が40%少ないことが認められました。一部の男性はベータカロチンを摂取しましたが、アルファトコフェノールもベータカロチンも肺癌予防に効果はなく、またベータカロチンは前立腺癌にも影響をもたらしませんでした(5)。

11. 研究者はSELECTから何を学ぼうとしているのでしょうか?

先の、前立腺癌を主要目的としていない研究からの個別の発見を実証するために、セレニウムとビタミンEの大規模試験が必要でした。SELECTの主要目的は、日常的な診療で診断される前立腺癌の新たな症例に対するセレニウムとビタミンEの効果を評価することでした。

SELECTのその他の目的は、肺癌と大腸癌の発症率、ならびに癌の全発症率と生存率にセレニウムとビタミンEが与える影響の評価です。SELECTは、癌のリスクの分子遺伝学および食事と癌の関連性についての研究の基盤を提供します。SELECT参加者から登録時と登録後5年後に収集された血液サンプルのバイオレポジトリーが、前立腺癌や他の癌および男性の加齢に伴う病気についての分子学的および機構的研究で使用するために作成されました。またSELECTでは、参加者のQOLに対するセレニウムとビタミンEの影響も調査されており、この側面に関する結果も将来発表される予定です。 

12.どのような人がSELECTの参加者として適格でしたか?その適格性に制限はありましたか?

前立腺癌を含む多くの病気は高齢者でより多く出現します。高齢になるにしたがって、前立腺癌を発症するリスクも増加します。90%以上の前立腺癌は55歳以上の男性に発症します(6)。

アフリカ系米国人は50歳以上、その他の人種および民族の男性は55歳以上であることが参加条件でした。アフリカ系米国人の条件の年齢が低いのは、彼らが平均して若くして前立腺癌に罹患するためです。 

13. 良性前立腺過形成(BPH)を有する男性はSELECTに参加できましたか?

良性の前立腺肥大であるBPHが癌でも前癌状態でもないことから、BPHを有する男性もSELECTに参加することができました。BPHでは肥大した前立腺が尿道と膀胱を圧迫し、尿の正常な流れを妨げます。米国の60〜70歳の男性の半数以上および70〜90歳の約90%にBPHの症状があります。

BPHは米国食品医薬品局(FDA)が承認しているフィナステリド(Proscar)、テラゾシン(Hytrin)、ドキサゾシン(Cardura)、タムスロシン(Flomax)という4種類の薬剤によって治療できます。これらの薬剤を摂取している男性もSELECTから除外はされませんでした。 ただし、これらの投薬はSELECTの調査員によって記録されています。

14. SELECT参加男性はフィナステリドを摂取することができましたか?何人のSELECT参加男性がフィナステリドを使用していましたか?

フィナステリドは、テストステロンの有効な形への変換を阻害することにより作用する合成薬剤です。BPHの治療に少量、前立腺癌の治療には大量、脱毛に最少量が使用されます。2003年に行われたSWOGの調整による前立腺癌予防試験(Prostate Cancer Prevention Trial(PCPT))では、1万8,000人以上の男性が5mgのフィナステリドまたはプラセボを摂取し、フィナステリドが前立腺癌の発症のリスクを低下させるかが検証されました。その結果、フィナステリドを摂取した男性の前立腺癌が25%減少したことが示されました(7)。フィナステリドは現在のところ、前立腺癌の発症リスク低下についてFDAに承認されていません。SELECT参加男性はこれらの結果について説明を受け、フィナステリドの摂取を許可されました。全体でSELECT参加男性の約2.6%がPCPTのフィナステリド群に属していましたが、治験薬の摂取は中止していました。またSELECT参加男性の4.8%が研究中にフィナステリドをBPHのため(1日5ミリグラム)、または育毛のために(1日1ミリグラム)使用していたことを報告しました。

15.SELECTの適格性を決定するためにどのような検査が用いられましたか?研究中にはどのような検査が行われましたか?

検査には直腸指診(DRE)と前立腺特異抗原(PSA)検査が含まれました。DREでは医師が手袋を着用した指を直腸に挿入し、直腸の壁を通して前立腺に触れて隆起や異常な領域がないかどうかを調べます。PSA検査は血液の中のPSA(前立腺の細胞によって作り出されるタンパク質)のレベルを測定します。PSAレベルは、癌または良性の(癌ではない)症状により上昇することがあります。医師はPSA検査やDREを前立腺癌のスクリーニング検査として、前立腺癌の症状がない男性に対してもしばしば使用します。

SELECTに適格であるために、参加者は前立腺癌の徴候がないというDREの所見と全体PSAが4.0ng/ml以下であることを求められました。試験の間、DREとPSA検査は必須ではありませんが、研究期間中は年に1度の実施が推奨されます。SELECTのサプリメント使用は中止されていますが、研究スタッフによる参加者の健康状態の監視はPSA検査またはDREを含めて継続されます。

16.試験費用は誰が負担しますか?

医師、医学的検査および一般的な診療費用はDREを含め、臨床試験に参加していない場合と同様に参加者に請求されます。これらの費用は参加者の健康保険でまかなわれることがあります。財政的な援助が受けられる男性もいるかもしれません。しかしながら、SELECTは追跡調査のPSA検査の費用は負担します。保険による補填や償還に疑問がある男性は、地域のSELECT施設に確認してください。

17.SELECTで使用されたセレニウムの量はどれくらいですか?セレニウムの摂取にはどのようなリスクが伴いましたか?

セレニウム(L-セレノメチオニンとして提供された)の量は1日200マイクログラム(μg)でした。NPCの初期結果ではセレニウムが癌の発症を全体的に減少させることが示されましたが、2003年の更新ではプラセボ群と比べて、セレニウム摂取群で新たな非黒色腫皮膚癌が17%増加したことが報告されました(8)。SELECT登録時に皮膚癌に罹患していなかった男性、または皮膚癌のリスクが高くない男性にこれらの結果をどのように適用するかは不明です。 

SELECTの開始以来、セレニウムが血糖と糖尿病リスクに与える影響について4件の研究が発表されました。そのうちの2件では、サプリメントとして、または自然に摂取した高レベルのセレニウムと糖尿病のリスクの増加との関連性が示唆されました。また1件の研究にはセレニウムと糖尿病の関連は示されておらず、別の1件では血中のセレニウムレベルが高い場合に糖尿病のリスクが低下することが示されました(9-12)。これらの発見を受けて、SELECTのDSMCは2007年初頭より、特に糖尿病の症例について研究データを再調査するよう求められました。

18. SELECTのセレニウムサプリメントは、なぜ前立腺癌を予防しなかったのでしょうか?

SELECT参加男性の前立腺癌をセレニウムサプリメントが予防しなかった理由はいくつか考えられます。たとえば、NPC試験の結果が正確ではなく、セレニウムが前立腺癌のリスクに影響しないことが考えられます。NPC試験の参加者はSELECT参加者に比べてセレニウムが不足していたかもしれませんし、SELECT参加男性に与えられたサプリメントが最適な予防範囲を超えていたかもしれません。またはNPC試験で使用されたセレニウムの処方(高セレン酵母)が、SELECTで使用されたL-セレノメチオニンに比べてより活性があったのかもしれません。NPC試験で使用されていたセレン酵母に関する当初の検査では、1回の投与量に含まれるセレニウムの量にばらつきがあったことから、SELECTではセレン酵母は使用しませんでした。さらに酵母に存在する無機化合物が毒性を有していたり、活性セレニウムの生体内蓄積の減少につながったりする可能性もあります。

19.SELECTで使用されたビタミンEの量はどれくらいですか?どのようなリスクを伴いましたか?

ビタミンEの量(dl-アルファ-トコフェロール酢酸として提供された量)は、1日あたり400国際単位(IU)に相当する400ミリグラム(mg)でした。この量のビタミンEは血液をいくらか希薄にする可能性があります。治療を受けていない高血圧症男性は、この量のビタミンEの摂取によって脳卒中のリスクが高まる可能性があるためにSELECTの参加に適格ではありませんでした。

ビタミンEはある種の心臓血管の状態のリスクを高めることが示されています。2005年に発表された研究では、血管系の疾患または糖尿病の男女が7年間毎日400IUのビタミンEを摂取した場合、プラセボを摂取した参加者に比べて心不全のリスクが13%高まりました(13)。心不全は心臓の血液を送り出す能力が弱くなっている状態です。様々な健康問題を抱えた人々のビタミンE摂取に関する複数の研究を分析した2005年の分析では、大量のビタミンE(400IUまたはそれ以上)と死亡率増加の関連が示唆されています(14)。

SELECTの初期分析では試験群間の心血管有害事象、心血管系死亡または全体の死亡数に差はありませんでした。

20. SELECTのビタミンEサプリメントは、なぜ前立腺癌を予防しなかったのでしょうか?

ビタミンEのサプリメントがSELECT参加男性の前立腺癌を予防しなかった理由はいくつか考えられます。たとえば、使用されたビタミンEの投与量(400IU/日)が、ATBC研究で使用された少量の投与量(50IU/日)(種類は同じ)に比べて有効性が低かったのかもしれませんし、ビタミンEは喫煙者(喫煙者および元喫煙者が参加者だったATBCに比べ、SELECTでは比較的少数の7.5%)の前立腺癌予防により有効なのかもしれません。また、ATBCの初期の発見が偶然によるものだったのかもしれません。

21.SELECT参加者に求められた他の要件はどのようなものでしたか?

登録時に男性は体内のセレニウム量を評価するために、切った足指の爪を提供するよう求められましたが、これはセレニウムが手の爪と足指の爪に蓄積されるためです。足指の爪は手指の爪より伸びるのが遅いために、セレニウム摂取の経過が分かりやすいという理由から選ばれました。登録時にはビタミンEのレベルを評価するために血液サンプルも収集され、SELECT参加の5年後にも再び収集されました。これらの血液サンプルは将来の研究のためにSELECTのバイオリポジトリーに保存されています。

登録時に男性はまた、食事と過去のサプリメント使用状況についてのアンケートにも回答しました。さらにサプリメント使用について最新状況を確認するため、年1回のアンケートも実施されます。参加男性はこの研究の間、食生活を変える必要はありませんでした。男性はミシガン州のアリガンにあるPerrigo社製の、セレニウムやビタミンEを含まない特別なマルチビタミン剤を提供されます。ビタミンE、セレニウム、プラセボのカプセルとマルチビタミンは登録男性に対して無料で提供されました。 サプリメントの使用は中止されましたが、SELECT参加男性は以降もマルチビタミンの提供を受けることができます。

22.SELECT参加中に参加者が前立腺癌を発症した場合はどうなりますか?

研究中に前立腺癌と診断された参加者は治療を施され、頻度は減りますがSELECT研究スタッフによる調査が継続されます。

研究中の前立腺の問題、前立腺癌または他の病状の診断および治療に関わる費用は、この試験に参加していない場合と同様に参加者に請求されます。参加者が加入している保険契約に従い診断および治療に関わる費用が支払われるでしょう。保険に加入していない参加者は、診断および治療に関わる費用を負担する社会福祉を地方レベルで利用できる場合があります。 

23. SELECTにかかった費用はどのくらいですか?他に誰がSELECTの資金を提供しましたか?また、なぜ提供したのでしょうか?

NCIはSELECTに対する主要な資金提供機関で、1999年から2008年の間に約1億1, 400万ドルをSWOGに提供しました。また、同じく国立衛生研究所(NIH)に所属する国立補完代替医療センター(NCCAM)からは追加の450万ドルが提供されました。NCIはビタミンEとセレニウムが大腸ポリープの成長にも影響するかを調査する副研究に対しても資金を提供しています。また、以下の3つのNIH関連施設が補助研究に対して資金を提供しています。

  • 米国国立加齢研究所(NIA)は約700万ドルを、ビタミンEとセレニウムによるアルツハイマー病の予防(PREADVISE)に関する臨床試験に対して提供しています。この臨床試験はNIAによるSELECTの付属研究です。この研究ではビタミンEとセレニウムが、アルツハイマー病で見られる記憶力低下と痴呆の予防に役立つかを評価します。さまざまな研究によって、酸化ストレスの増加が脳細胞を損傷する可能性があり、またアルツハイマー病に関連していることが示されています。ビタミンEとセレニウムの動物試験および組織培養の研究では、これらの物質が酸化的損傷から脳細胞を保護できる可能性が示唆されています。
  • 国立眼病研究所(NEI)は、SELECT眼病指標(SEE)研究に対して約200万ドルを提供しました。加齢性黄斑変性症(AMD)および白内障は、米国の高齢者が患う2つの主な視覚障害です。AMDは中心視に影響する病気で、視力障害および失明の主要原因となっており、65歳以上の25%にはいくらかのAMDの症状が見られます。白内障は目のレンズが曇り、視力低下の原因となります。米国においては75歳以上の50%以上が、視覚的に支障のある白内障を患っています。いくつかのエビデンスは、SELECTで研究中のサプリメント(セレニウムとビタミンE)がこれらの目の問題を予防する可能性を示唆しています。SEE研究では、この問題をSELECT参加者という大規模な集団について調査しています。
  • 国立心肺血液研究所(NHLBI)は300万ドル以上を呼吸器官の補助研究(RAS)に対して提供しました。RASの全般的な目的はSELECTで研究中のサプリメントが、特に喫煙者に多く見られる加齢に伴う肺機能の低下に影響を与えるかを理解することです。この研究は2007年に参加者の登録を終了しました(訳者注)。参加を勧められた施設には、全般的なSELECT研究に比べて多数の現喫煙者と元喫煙者がいました。

24.前立腺癌予防について他にどのような研究がされていますか?

2003年に、1万8, 000人の男性が参加してフィナステリドまたはプラセボを摂取し、フィナステリドが前立腺癌発症のリスクを低下させるかを調査したPCPTが実施されました。この調査では、フィナステリドを摂取した男性に25%の前立腺癌の減少が見られました。フィナステリドは現在のところ、前立腺癌の発症リスク低下についてFDAに承認されていません(詳細はhttp://www.cancer.gov/pcptを参照してください)。

現在NCIでは複数の薬剤について、前立腺癌のリスクのある男性または前立腺癌と診断されたが未治療の男性の早期予防臨床試験を実施しています。これらの薬剤には緑茶抽出物のポリフェノンEや、ブロッコリー、ケール、カリフラワーなどのアブラナ属の野菜に含まれる化合物のジインドリルメタン(DIM)、トマトなどの赤色野菜に含まれるカロチノイドのリコピン、大豆が含まれています。

25.SELECTに関する詳しい情報はどこで入手できますか?

米国とプエルトリコからは1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)のNCIの癌情報サービスにて、英語とスペイン語の情報を提供しています。TTY設備がある場合は、1-800-332-8615にて英語の情報を提供しています。

以下のウェブサイトで追加の情報を提供しています。
http://www.swog.org – SELECTのオプションを選択する
http://www.cancer.gov/clinicaltrials/digestpage/SELECT – NCIより
http://www.cancer.gov/newscenter/SELECT – 前立腺、ビタミンEの結晶および化学構造、セレニウムおよびビタミンEカプセルの画像

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参考文献抜粋

  1. Lippman SM, Klein EA, Goodman PJ, et al. Effect of selenium and vitamin E on risk of prostate cancer and other cancers. JAMA 2009; 301(1) published online December 9, 2008. Print edition January 2009.
  2. National Cancer Institute (2009). SEER Cancer Statistics Review 1975-2006. Bethesda, MD: Retrieved October 14, 2009, from http://seer.cancer.gov/csr/1975_2006/browse_csr.php?section=1&page=sect_01_table.01.html
  3. Clark LC, Combs GF Jr., Turnbull BW, et al. Effects of selenium supplementation for cancer prevention in patients with carcinoma of the skin. A randomized controlled trial. Nutritional Prevention of Cancer Study Group.Journal of the American Medical Association1996; 276(24):1957-1963.
  4. Duffield-Lillico AJ, Reid ME, Turnbull BW, et al. Baseline characteristics and the effect of selenium supplementation on cancer incidence in a randomized clinical trial: A summary report of the Nutritional Prevention of Cancer Trial. Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention 2002; 11(7):630-639.
  5. Heinonen OP, Albanes D, Virtamo J, et al. Prostate cancer and supplementation with alpha-tocopherol and beta-carotene: Incidence and mortality in a controlled trial. Journal of the National Cancer Institute 1998; 90(6):440-446.
  6. National Cancer Institute (2008). SEER Cancer Statistics Review 1975-2005. Bethesda, MD: Retrieved October 24, 2008 from http://seer.cancer.gov/csr/1975_2005/results_merged/topic_age_dist.pdf
  7. Thompson IM, Goodman PJ, Tangen CM, et al. The influence of finasteride on the development of prostate cancer. New England Journal of Medicine 2003; 349:215-224.
  8. Duffield-Lillico AJ, Slate EH, Reid ME, et al. Selenium supplementation and secondary prevention of nonmelanoma skin cancer in a randomized trial. Journal of the National Cancer Institute 2003; 95(19):1477-1481.
  9. Stranges et al. Effects of Long-Term Use of Selenium Supplements on the Incidence of Type 2 Diabetes. Annals of Internal Medicine; 147:217-233, 2007.
  10. Bleys J et al. Serum Selenium and Diabetes in U.S. Adults. Diabetes Care; 30:829-834, 2007.
  11. Rajpathak et al. Toenail Selenium and Cardiovascular Disease in Men with Diabetes. Journal of the American College of Nutrition; 24: 250-256, 2005.
  12. Czernichowet et al. Antioxidant supplementation does not affect fasting plasma glucose in the Supplementation with Antioxidant Vitamins and Minerals (SU.VI.MAX) study in France: association with dietary intake and plasma concentrations. American Journal of Clinical Nutrition; 84:395-9, 2006.
  13. Lonn E, Bosch J, Yusuf S, et al. Effects of long-term vitamin E supplementation on cardiovascular events and cancer: A randomized controlled trial. Journal of the American Medical Association 2005; 293(11):1338-1347.
  14. Miller ER III, Pastor-Barriuso R, Dalal D, et al. Meta-analysis: High-dosage vitamin E supplementation may increase all-cause mortality. Annals of Internal Medicine 2005; 142(1):37-46.

横山加奈子:訳
朝井鈴佳(獣医学・免疫学):監修

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