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BRCA1遺伝子変異が術前化学療法の効果に関連/MDアンダーソンがんセンター

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BRCA1遺伝子変異が術前化学療法の効果に関連/MDアンダーソンがんセンター

先天的BRCA1遺伝子変異を有する乳癌患者は術前化学療法に良好な反応

MDアンダーソンがんセンター

2011年9月6日

BRCA1遺伝子変異を有する乳癌患者の半数近くが、治療前の病期に関係なく、標準的な術前化学療法後に病理学的完全奏効(pCR:乳房組織およびリンパ節から病気の痕跡がすべて消失した状態)に達していたことが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの新研究で報告された。

本研究は9月6日付けJournal of Clinical Oncology誌オンライン版に掲載され、現在のところ最大規模の研究である。今回、pCRの率はBRCA2変異を有する患者(13%)およびいずれのBRCA変異も持たない患者(22%)に比べBRCA1変異を有する患者で有意に高い(46%)ことが示された。患者全体でみると全生存率に統計学的な差は見いだされなかったが、pCRに達したBRCA1変異患者では5年無再発生存率および全生存率が改善した。

BRCA1およびBRCA2は腫瘍抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子の一群に属する。これら遺伝子の変異は子孫に受け継がれ、より悪性度の高い乳癌が発生する確率が80%増加する。研究では、この遺伝子変異の有無によって同一の治療法に対する反応が異なるかの調査を目的とした。

「遺伝性乳癌は散発性乳癌と比較して悪性度が高いことが多いですが、BRCA1変異がある腫瘍では、アントラサイクリン系およびタキサン系化学療法薬に対する反応および感受性は散発性乳癌と同等であることがわかりました」とMDアンダーソンの乳腺腫瘍内科部教授で本研究の筆頭著者であるBanu Arun医師は述べた。「今回の知見は、BRCA遺伝子変異を有する患者群に対し最善の治療方法を決定する一助となるでしょう」。

今回の研究ではMDアンダーソンの乳癌管理システムデータベースを用い、1997年から2009年までに術前化学療法とBRCA1およびBRCA2の遺伝子検査を受けたさまざまな病期の患者317人を特定した。57人がBRCA1変異、23人がBRCA2変異を有し、237人には変異はなかった。化学療法後、患者61人は乳房温存手術を受け、残り256人は乳房切除を選択した。

患者の追跡期間中央値は3.2年で、この時点で22%の患者が再発または死亡していた。BRCA遺伝子変異の有無ならびに術前化学療法の種類によって生存に関する転帰については有意な差が認められなかった。

Arun氏によると、BRCA変異を有する患者に対しもっとも効果が高い化学療法レジメンについては、前向き研究が少ないことから意見が分かれているという。

「今回の新知見から、BRCA1変異の存在により患者が術前化学療法に反応するかわかるのではないかという仮説が立てられそうです。しかし、これらの知見を検証し最適な治療法を確立するため、今後、さらに大規模な集団で追跡期間も長くした前向き研究が必要です」。Arun氏はこう述べた。

Arun氏以外の研究者は次のとおり(全員MDアンダーソンの乳腺腫瘍内科部門)。
Angelica M. Gutierrez Barrera, M.S., Deann Atchley, Ph.D, Lajos Pusztai, M.D., Jennifer Litton, M.D., Vicente Valero, M.D., and Gabriel N. Hortobagyi, M.D.
その他協力者はSoley Bayraktar, M.D.(癌医学部門)、Diane Liu, M.S.(生物統計学部門)、Funda Meric-Bemstam, M.D.(外科腫瘍学部門)、Constance Albarracin, M.D.(病理学部門)。

本研究はLynn Cohen Breast and Ovarian Cancer ProjectならびにNellie B. Connally Breast Cancer Research Fundから一部資金援助を受けた。

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橋本 仁 訳
原 文堅 (乳腺科/四国がんセンター) 監修
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原文

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