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2008/09/23号◆注目の臨床試験「転移性または手術不能な腎臓癌患者に対する新薬」
- 2008年9月30日
同号原文|
NCI Cancer Bulletin2008年09月23日号(Volume 5 / Number 19)
~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇注目の臨床試験◇◆◇
転移性または手術不能な腎臓癌患者に対する新薬
◇臨床試験名
転移または切除不能な腎明細胞癌患者に対するVandetanib[バンデタニブ]の第II相試験(NCI-08-C-0039)[pagebreak>試験プロトコルの要旨は以下を参照のこと。 http://www.cancer.gov/clinicaltrials/NCI-08-C-0039
◇臨床試験責任医師
Dr. W. Marston Linehan氏およびDr. Ramaprasad Srinivasan氏(主任研究員)、NCI Center for Cancer Research(NCI癌研究センター)
◇この試験が重要な理由
腎細胞癌(RCC)は最も一般的な腎臓癌であり、腫瘍の持続的成長に必要な酸素および栄養を供給するための新血管の成長(血管新生)を促すことが多い。RCC患者の治療に対して米国食品医薬品局(FDA)に最近承認された2つの薬剤ソラフェニブ(ネクサバール)およびスニチニブ(スーテント)は血管新生の過程を阻害することで作用するが、しばしばこれらの薬剤に抵抗性を示すようになる。
Vandetanib[バンデタニブ](Zactima)と呼ばれる新薬も、血管新生の過程に関与するタンパク、すなわち血管内皮増殖因子受容体2(VFGFR2)を阻害して血管新生を抑制する。さらにバンデタニブは、腫瘍細胞の成長に不可欠な複数の機能を仲介するタンパクである上皮成長因子受容体(EGFR)を阻害する。「腎明細胞癌は、われわれが特定したVHL遺伝子と呼ばれる遺伝子の変異を特徴とします」とLinehan氏は説明し、「VHLは血管新生など多くの事象を調節し、バンデタニブはVHL遺伝子経路における2つの重要な分子VEGFR2およびEGFRを標的にします」と続けた。
このランダム化試験では、外科的に切除できない(切除不能)または広がった(転移した)RCCで、以前にソラフェニブまたはスニチニブの投与を受けた患者に、疾患進行または容認できない副作用が発現するまでバンデタニブを毎日投与する。
腫瘍のモニタリングに加え、MRIを実施して、バンデタニブが腫瘍の血液供給に対してどのように効果があるかを画像で確認する。また、VHL遺伝子経路における標的タンパクに対するバンデタニブの効果を見るため、全参加者から血液サンプルを採取する。
「ここNCIでVHL遺伝子を特定するために10年間を費やしました。そのため、私たちはVHL経路を標的とするこの試験の実施に期待を寄せています」とLinehan氏は述べた。
◇問い合せ先
適格基準リストおよび問い合わせは下記URLまたはNCIがん情報センター1-888-NCI-1937まで。この電話はフリーダイヤルで、秘密は厳守されます。 http://www.cancer.gov/clinicaltrials/NCI-08-C-0039
*過去の「注目の臨床試験」は以下を参照。 http://www.cancer.gov/clinicaltrials/ft-all-featured-trials
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吉村 祐実 訳
九鬼 貴美 (腎臓内科) 監修
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