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2008/09/23号◆特集記事「バーチャル内視鏡」は大きなポリープを検出できる」

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2008/09/23号◆特集記事「バーチャル内視鏡」は大きなポリープを検出できる」

同号原文 

NCI Cancer Bulletin2008年09月23日号(Volume 5 / Number 19)

~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

「バーチャル内視鏡」は大きなポリープを検出できる

New England Journal of Medicine誌9月18日号に掲載された米国放射線学会画像ネットワーク(American College of Radiology Imaging Network:ACRIN)によるNational CT Colonography Trial(米国CTコロノグラフィー試験)の結果報告において、CT コロノグラフィー[別名:バーチャル(仮想)大腸内視鏡]を用いることで直径1 cm以上の腺腫(癌化し得る非癌性腫瘍)や大腸癌の90%を検出できることが明らかにされた。

NCI癌画像プログラムの画像診断課で主任を務めるDr. Carl Jaffe氏によると、今回の結果は標準的な大腸内視鏡の結果(このサイズの病変を見落とす確率は約8~10%)に匹敵するものであるという。

CTコロノグラフィーや大腸内視鏡は、前癌病変であるポリープをスクリーニング検査する際に使用される。同ポリープを切除することで、大腸癌への進行を予防できる。大腸内視鏡では、結腸や直腸の内部を検査するうえで細い筒状の器具を使用するのに対し、CTコロノグラフィーでは、コンピュータと接続した高性能X線機器を使用して結腸や直腸の2次元または3次元画像を撮影する。

Jaffe氏によると、CTコロノグラフィーで必要なコンピュータ断層撮影技術は、ほぼすべての医療機関ですでに導入されているという。 Jaffe氏らは、「大腸内視鏡と比較して、CTコロノグラフィーの低侵襲性や検査関連の合併症リスクの低さは患者にとって魅力的なものであり、また、患者と医療者の懸念に対応することによってスクリーニング遵守率が向上するであろう」と述べている。

15医療機関の試験担当医がACRIN試験に参加し、大腸内視鏡によるスクリーニング検査を受ける予定の試験参加者(50歳以上)を2,500人以上登録した。試験参加者は、CTコロノグラフィーに続いて標準的な大腸内視鏡を受けた。大腸内視鏡は、試験参加者99%に対して同日に実施した。

CTコロノグラフィーと大腸内視鏡による各患者の検査結果を、直径5mm以上の病変の検出力について比較し、CTコロノグラフィーに関する偽陰性率と偽陽性率を算出した。偽陰性とは、病変を見落とす確率であり、偽陽性とは、後の結腸内視鏡では認められなかった病変を誤って検出する確率である。

CTコロノグラフィーでは直径10mm以上のポリープを1個以上有する患者の90%を正確に検出できるのに対し、より小さいポリープを有する患者を正確に検出する確率は低くなり、直径5 mmのポリープについては65%となる。

このような小さい病変の重要性についてはまだ議論の途中である。NIHで疾患予防に関する副主任を務めるDr. Barry Kramer氏は、「これまで、進行性腺腫(1cm以上の大きな高異型腺腫)は癌化する可能性が最も高いと考えられてきた。小さいポリープに因るリスクは、放射線専門医と消化器科専門医の間ですでに議論の的となっており、今後も議論は続くであろう」と述べている。

ハーバード大学医学部の名誉教授であるDr. Robert Fletcher氏が記した付随の論説によると、CTコロノグラフィーには解決すべき問題点が他にもいくつかあるという。同論説では特に、平坦または偏平な腺腫をCTコロノグラフィーで見落とす可能性があるかどうか、およびスクリーニング検査での通常のCTスキャンによって累積された放射線照射がどのような結果を及ぼすかについて述べられている。

Kramer氏は、「平坦または偏平な腺腫に関する問題点は、その発達の仕方についてほとんどまだ明らかになっていないということである。最後の1個まで検出することの重要性は不明である」と述べている。CTコロノグラフィーと結腸内視鏡の双方共に、この種の腺腫をより正確に検出できるように精度を向上させる必要がある。

Jaffe氏は、放射線曝露量が標準的なCTスキャンの曝露量未満であれば本対象集団においてさほど問題ではないと考えている。同氏は、「50歳以上であれば、リスクはわずかである。また、より新しいCTを用いれば、曝露量を比較的少なくできるであろう」と述べている。Jaffe氏がCTコロノグラフィーについて最も胸を踊らせている点は、ポリープが認められた患者に対して大腸内視鏡(高価かつ侵襲的であり、専門家が必要であるが米国では不足している)以外の手段となりうる可能性である。「その結果、消化器科専門医がポリープ切除の適応がある症例に集中できる」と同氏は結論付けている。

— Sharon Reynolds

結腸直腸癌スクリーニングに関するU.S Preventive Services Task Forceガイドラインは、http://www.ahrq.gov/clinic/uspstf/uspscolo.htmにてオンラインで閲覧できる。

【その他のジャーナル記事】
「プライマリーケアにおける大腸癌スクリーニング検査の実施率改善」に関する補遺がMedical Care誌に最近掲載された。22ページからなる同補遺には、プライマリーケアにおける大腸癌スクリーニング検査の実施、利用および結果を改善するためにNCIやAgency for Healthcare Research and Quality(AHRQ)が資金提供した研究プログラムが掲載されている。また、プライマリーケアにおける大腸癌スクリーニング検査の実施方法や検査結果の評価方法も記されている。ここでは、米国における大腸癌スクリーニング検査の実施率を改善させることを提唱している。米国での実施率は低く、約50%である。

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斉藤 芳子 訳

鵜川 邦夫(消化器科) 監修

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