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シスプラチンとゲムシタビンの併用が進行性胆道癌患者の生存期間を改善する
投稿日時: 2010-05-11

Cisplatin Plus Gemcitabine Improves Survival of Patients with Advanced Biliary Tract Cancer
(Posted: 05/11/2010)

キーワード
胆道(胆管と胆嚢における)癌、胆管細胞癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌、併用化学療法、ゲムシタビン(ジェムザール®)、シスプラチン(Platinol® ※注:日本ではブリプラチン)

要約
シスプラチンとゲムシタビンの併用化学療法は、ゲムシタビン単独療法に比べて、局所進行性や転移性の胆管細胞癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌患者の全生存期間を改善した。英国でのこれら第3相臨床試験の結果が、進行性胆道癌に対して化学療法が有効であるという有力な証拠を示し、さらに、標準療法の確立に寄与するであろう。

出典
2010年4月8日発行のNew England Journal of Medicine誌(ジャーナル要旨参照)

背景
胆道癌は先進国では極く低頻度である。米国では毎年、胆管細胞癌として、新規の胆嚢癌患者は約6,500人、胆管癌患者は約6,000人である。手術が唯一の治癒的治療であるが、ほとんどの患者は局所進行性や、転移性であると診断され、再発の頻度も高い。5年生存率はわずか15%である。

これらの癌は低頻度であり、多くの患者は進行性で、緩和ケアを受けている為、第3相臨床試験はほとんど実施されなかった。しかしながら、小規模な初期相臨床試験により、化学療法がある程度効果があると示されている。通常使用される薬剤はゲムシタビンやシスプラチン、フッ化ピリミジンである。ゲムシタビンとシスプラチンの併用は他の癌には非常に多く使用されており、より小規模な臨床試験において、進行性胆道癌患者に展望を示している。

ここに述べられている進行性胆道癌に対する臨床試験(ABC-02)は、この疾患集団におけるこれまで実施された最大規模の第3相ランダム化比較対照試験である。

試験
2002年から2008年の間、英国の37医療機関の研究者らが、局所進行性や転移性の胆管細胞癌、胆道癌、十二指腸乳頭部癌(膵管と総胆管からなるファーター乳頭部の癌)の410人の患者を登録した。患者はゲムシタビンとシスプラチンの併用療法の治療群(204人)とゲムシタビン単剤投与群(206人)とに無作為に割り付けられた。

当初試験はランダム化第2相試験として計画され、2004年に86人の患者が参加した。併用療法を受けている群で無増悪生存期間が改善された結果がでた際に、第2相試験(ABC-01)は第3相試験のABC-02に延長され、最初に参加した患者も引き続き参加することとなった。

薬剤は12週間静脈内投与され、患者の腫瘍部は造影法により評価された。患者の測定可能な疾患が進行していなければ、さらに12週間の治療を継続することが可能であった。併用療法群(63%)ではゲムシタビン単独投与群(52%)よりも多くの患者が最初の12週を超えて治療を受けた。

筆頭著者は、英国のChristie Hospital and the University of Manchester のJuan Valle医師である。臨床試験は英国癌研究所の上部消化器癌臨床研究グループにより行われた。

結果
当初のABC-01試験では、ゲムシタビン単独投与されている患者(48%)よりも、ゲムシタビンとシスプラチンを投与されている患者では6カ月後に疾患の進行がみられない患者が多かった(57%)。ABC-02試験では、中央値8ヶ月間のフォローアップ期間後、併用療法群の患者は36%死亡者数が少なく、生存期間の中央値はゲムシタビン単独群の8.1カ月に比べて、11.7カ月であった。

併用化学療法は、無増悪生存期間も改善させ、併用療法群では中央値が8カ月、ゲムシタビン単独療法群では5カ月であった。併用療法においての全生存期間の改善は胆道癌の全てのサブタイプで見られた。

ゲムシタビン単独投与群の27%、併用療法群の17%の患者に肝機能異常値が認められ、ゲムシタビン単独投与群で24%、併用療法群の32%の患者に血液毒性がみられた。他の全ての毒性については両群で同様であった。

コメント
進行性胆道癌治療に統一された標準治療がない一方で、「これは非常に有力な結果である」と米国国立癌研究所の癌治療・診断部門のJack Welch医学博士は語っている。「これが、ゴールドスタンダードに一番近いものである。内科医は患者にこの併用を薦めながら、エビデンスに基づいた処方をすることに自信を持つことができる」。

研究者らは、患者を「登録するために素晴らしい仕事」をした、とWelch氏は付け加えた。数年間、世界中で進行性胆道癌に対する、この説得力のある結果を示すために充分な数の患者を登録できた試験は無かった。対象となる新規患者は、英国で毎年約1,000人しかいないにもかかわらず、臨床試験の主催者は6年足らずの間に、必要な400人以上の患者を登録することができた。

最後にWelch氏は、大規模臨床試験は多施設共同試験において、進行性胆道癌に最もよく使用されている単独薬剤のゲムシタビンの投与による全生存期間の最も正確な評価を行った、と指摘している。

ハーバード大学医学部のBrian M. Wolpin医学博士とRobert J. Mayer医師は、共同著書の論文で、「Valle氏らは胆道癌の将来の臨床試験の重要な基礎を提供した」と書いている。将来臨床試験を計画する際には、研究者らは、候補となる治療法の試験をこの併用療法を対照標準療法として実施するだろう、とWelch医師は説明した。

制限事項
この試験の通常と異なる点は、小規模第2相試験として始まった臨床試験が、第3相試験として延長されたことである。しかしながら、結果は有効である、とWelch氏は述べ、この治療アプローチが米国において他の設定や疾患で追随されていることを指摘した。
Lilly Oncology社により本試験の為のゲムシタビンは提供された。

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平川 麻衣子 訳 
辻村 信一(獣医学/農学博士)監修
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