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 ハーセプチンの使用で心毒性が高率にみられるが、治療により回復可能であることが研究により判明/MDアンダーソンがんセンター 2006/8


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ハーセプチンの使用で心毒性が高率にみられるが、治療により回復可能であることが研究により判明

MDアンダーソンがんセンター 2006/8/14

進行乳癌患者に対し、「実地医療」でのハーセプチン使用を検証した初めての試験により、これまで報告されている臨床試験の結果よりも高い割合(治療した患者の28%)で心毒性がみられることが明らとなったが、この心臓へのダメージのうち多くは、治療によって回復可能であるとも結論づけられている。

Journal of Clinical Oncologyのオンライン版で8月14日に発表されたこの試験は、転移性乳癌に対するハーセプチンの使用について「リスクは許容範囲である」と結論づけている。
本研究の執筆責任者であり、テキサス大学 M. D. アンダーソンがんセンター、Breast Medical Oncology部門の Francisco J. Esteva医学博士は語る。

トラスツズマブとしても知られるハーセプチンは、1998年にHER-2陽性進行乳癌女性への使用が承認された。転移性乳癌細胞の約30%で、その表面にHER2タンパクの過剰発現がみられる。これにより癌はより悪性度が高くなる。ハーセプチンはこれらのタンパク質に鍵をかけ,腫瘍の増大を阻害するモノクローナル抗体である。

ハーセプチンと化学療法の併用を検証した他の複数の臨床試験では、10〜26%の患者に心毒性がみられ、これは治療プロトコールに依存することが明らかとなっている。これを受けて、ハーセプチンの使用によってうっ血性心不全を発症する可能性があり、十分な血液を全身に送り出すことができなくなったり、血液を心臓から拍出する心室が機能不全に至るという、2003年のFDAの警告に至った。

Esteva氏によれば、計画された試験は別として、ハーセプチンを1年以上投与後に医院で治療を受ける患者に何が起こるかを検証した研究者は、この試験の前にはいないという。「患者が治療に奏効していればハーセプチンを数年間投与することがよくあるので、その危険性の定量化に着手した」と彼は語る。

本試験はMDアンダーソンで転移性乳癌の治療を受けた173例を追跡。患者は1年のハーセプチン治療後に試験に登録し、「ベースライン」の心機能評価とともに試験期間中の定期的な心臓検査を受けた。追跡期間中央値が32ヵ月をこえた後、研究班は49例(28%)に心事故を観察した。このうち46例は心不全が潜在的に関与する心毒性であり、3例は無症候ではあったが、心室機能にかなりの低下がみられた。これら患者の多く(31例)は、ハーセプチン単独投与中(事前のハーセプチンと化学療法併用投与後)に心毒性を発現。残りの18例ではハーセプチンと化学療法併用投与中に発現した。心臓関連死は1例であった。

ハーセプチンを中止しβ遮断薬やACE阻害薬などの心臓の治療薬を用いることで、3例を除くすべての患者の心機能は改善した。心臓へのダメージが回復したのち、ハーセプチンの治療を再開することができたとEsteva氏は語る。

「この薬剤は生存期間を大幅に延長する一方、重篤な心毒性があることが分かった。また、この副作用は十分に治療可能であることも分かった。これは本試験の前には明確には知られていなかったことである」、とEsteva氏は語る。「ハーセプチンの副作用である心毒性を処置することができれば、この薬剤は安全に使用できる」

ハーゼプチンや化学療法で治療すると、なぜ心毒性が発現するかは知られていないが、一部の動物実験でHER2タンパク質が心臓細胞の発達に対し重要な役割を果たしているため、ハーセプチンによる治療は細胞の正常な機能に影響を及ぼしているのではないかとEsteva氏はいう。患者の多くが心臓への影響があると知られているある種の化学療法薬を以前に使用していたこと、さらに一部の患者では、糖尿病など心機能に影響のある疾患に罹患していたことを考えると、本試験でみられた心毒性のすべてがハーセプチンの使用によるものかは不明である。  

Esteva氏は、進行乳癌患者は本薬剤を使用する前に「ベースライン」の心機能評価を受け、さらに心臓専門医による追跡検査を受けるべきであると強調した。彼は、早期乳癌患者に本結果を適用してはならないと述べた。「心毒性は早期の患者にとって大きな懸念であろう」と彼は語る。早期患者は本試験には含まれていない。

「これは、心毒性の危険を引き起こす他の重要な疾患を患者は抱えているという、実際の臨床を正確に表している」とEsteva氏は語る。「進行乳癌患者に対しては十分な心臓のケアが必要である」

Nellie B. Connally 乳癌研究基金より、資金援助を一部受けた。M. D. アンダーソン試験の共同研究者:Valentina Guarneri, M.D.; Daniel Lenihan,M.D.; Jean-Bernard Durand, M.D.; Kristine Broglio; Kenneth Hess, Ph.D.; Laura Boehnke Michaud, Ph.D.; Ana Gonzalez-Angulo, M.D.; and Gabriel Hortobagyi, M.D.

(Okura 訳・Maniwa Ph.D. 監修)

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