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 グリベックRにより心毒性が発現しうる /Cancer Consultants 2006/8


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グリベックRにより心毒性が発現しうる
Cancer Consultants 2006/8

8ヵ所の異なる医療施設の研究者らにより、グリベック(メシル酸イマチニブ)投与で慢性骨髄性白血病(CML)患者に重度の心毒性が発現する可能性があり、さらに同様の心臓への損傷は複数のマウスでもみられることが報告された。本研究の詳細はNature Medicine 2006年8月号に掲載[1]。これよりも前に、グリベックで治療後に脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の上昇を伴う心不全が2例でみられたという報告が韓国からなされた[2]。

グリベックはCMLならびに消化管間葉系腫瘍(GIST)患者の推奨治療である。グリベックは融合タンパク質Bcr-Ablのキナーゼ活性を標的としており、忍容性に優れた薬剤であると考えられている。しかし、約10%の患者にみられるさまざまな皮膚反応や、関節腔内の滲出液貯留、色素脱失、腎不全、肝不全、骨髄抑制ならびに貧血といった副作用が発現している。軽度の末梢浮腫は過去に報告されているが、グリベックによるうっ血性心不全発症の報告はこれまでなかった。最近、Memorial Sloan-Kettering 癌センターの研究者らから、グリベックを服用する患者の一部に、骨・ミネラル代謝の変化を伴う低リン血症がみられるという報告があった(関連ニュース参照)。

Nature Medicineの報告では、ヒューストンのMDアンダーソン癌センターにおいてグリベックで治療を受けたCML患者10例で、うっ血性心不全の発症が投与開始1−14ヵ月内にみられたという。グリベック服用開始時の左室駆出率は平均56%であり、心機能はいずれも正常であった。これらの症例の再検査での左室駆出率は平均25%であった。2例の生検の結果、中毒性のミオパシーに特有の異常がみられた。この報告には心毒性の発現率は示されていない。

同著者らは、グリベックで治療した複数のマウスで左室拡張に至る左室機能不全を起こす心毒性がみられたことも報告している。マウスの心臓の細胞では、グリベックによりミトコンドリア機能が失われ、細胞死がもたらされた。研究者らはAblキナーゼの阻害が心臓に作用するのだと推測している。

研究者らは、グリベックを服用する患者の心不全の兆候を、注意深く観察すべきであると推奨している。

韓国からは、グリベックが関与するうっ血性心不全を発症した2例について報告された。この報告では心不全はBNP値の上昇によるものとしている。

コメント:これら2つの研究は、グリベックによる治療を受けた患者は重篤なうっ血性心不全を発症する可能性があると指摘している。正確な発生率ならびに、投与量が関与するか否かを解明するためには、さらなる研究が必要である。この副作用はCML患者がグリベックを服用することを妨げるものではないが、この潜在的な副作用に対しては今まで以上の注意を払わねばならない。

参考文献
[1] Kerkela R, Grazette L, Yacobi R, et al. Cardiotoxicity of the cancer therapeutic agent imatinib mesylate. Nature Medicine. 2006;12:908-916.
[2] Park YH, Park HJ, Kim BS, et al. BNP as a marker of the heart failure in the treatment of imatinib mesylate. Cancer Letter. 2005; December 30 ahead of print. (abstract available on PubMed).

(Okura 訳・Dr.Saru 監修)

 
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