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No216 P13K阻害剤 乳癌


 ハーセプチンが奏効しない乳癌がPI3K阻害剤併用によって回復の可能性-RAD001(everolimus)、TCN-P(triciribine)-/MDアンダーソン癌センター2006/4


原文 
ハーセプチンが奏効しない乳癌がPI3K阻害剤併用によって回復の可能性
MDアンダーソン癌センター
2006/4/4


ハーセプチン(トラスツズマブ)が奏効しないHER2陽性乳癌患者は、ハーセプチンと一種か複数のPI3K阻害剤を含むカクテル療法から有用性が得られる可能性がある、とテキサス大M.D.Anderson癌センターの研究者らは述べている。

米国癌研究学会(AACR)年次集会で発表された研究者らの所見は、細胞培養やマウス実験によるものであるが非常に有望なものなので、ハーセプチン療法でも病状が進行したHER2陽性乳癌患者を対象にM.D.Anderson癌センターで第1相・第2相臨床試験が開始される予定である。 

“半数以上のHER2陽性患者にハーセプチンは単剤としては奏効しませんが、その原因とこうした患者を救うためにできることが研究により明らかになりました。”と同研究の主執筆者であるDihua Yu医師(医学博士, 腫瘍外科教授)は述べている。Yu医師は4月5日(水)9時からAACRの記者会見で所見を述べる予定である。

“このカクテル療法剤に有用性が見られれば、ハーセプチンが奏効しない患者を治療前に特定でき、新たに有効な薬の組み合わせの提供が可能になればと考えます。”とYu医師は述べている。”ハーセプチンが奏効しない患者の転帰は懸念すべきものであり、この研究がそうした患者に役立てばと考えます。

既存の治療法とPI3K阻害剤の併用は、さらに他の種類の乳腺腫瘍にも有用な可能性がある。

2004年、Yu医師と研究チームは、ハーセプチン奏効患者の腫瘍はPTEN値がより高いのに対し、ハーセプチン非奏効患者の乳腺腫瘍はPTEN値が極めて低いことを報告した。正常細胞においてPTENは、細胞分裂の調節を促進する強力な腫瘍抑制遺伝子である。しかし、全乳癌(HER2陽性、陰性を含む)のうち約半数は、PTEN値が極めて低いか、たんぱく質が完全に欠失している。

モノクローナル抗体であるハーセプチンが腫瘍細胞の外側にあるHER2タンパクと結合した際、たんぱく質の分解に数日要することがわかっている。Yu医師はハーセプチンが投与から10分以内でPTENを活性化することを発見した。このことは、ハーセプチンがHER2成長シグナルを阻害するだけでなく、PTENを急速に動かす働きがあることを示唆している、と述べている。

さらにYu研究室の研究により、ハーセプチン奏効とPTEN高値が関連すること、およびハーセプチン無効とPTEN低活性(または不活性)の関連が立証されている。したがってHER2陽性腫瘍でPTENがあれば、ハーセプチン奏効予測の強力な判断材料となる、とYu医師は述べている。

さらに同研究グループは、PTENを欠失している乳腺腫瘍にはどうしたらハーセプチンが奏効するかという問題により深く取り組んだ。

PTENは、PI3Kとして知られる成長促進たんぱく質の働きを阻害することがわかっている。PI3Kはそれ自体、細胞増殖キナーゼAktmTORを含む発癌経路を調節する。Yu医師は、PI3Kを阻害する試験的薬剤を投与してPTENの腫瘍サプレッサー活性を模倣するとどうなるかを調べることにした。

この試験で研究グループは、臨床試験で使用中または開発中の7種のPI3K阻害剤を使用した。その結果、RAD001(everolimus)とハーセプチンの併用は、ハーセプチンやRAD001の各単剤使用よりも抗腫瘍活性が増強されることがわかった。

別のPI3K阻害剤であるTCN-P(triciribine)は、ハーセプチン併用時に顕著な有益性を示した、とYu医師は述べている。低用量のTCN-P投与でも、ハーセプチンとの併用によりPTEN欠失HER2陽性マウス移植乳癌の進行が阻害された。

“ハーセプチンとPI3K阻害剤の併用は、複数の発癌経路に影響を与えると考えます。”と述べている。“また現在開発中のPI3K阻害剤の中に、PTEN欠失乳癌やHER2陽性PTEN陰性腫瘍に対して有用なものがあるか調査するのも興味深い。”

Yu医師チームによる前臨床データに基づき、Fancisco Esteva医師(医学博士、乳腺腫瘍学部助教授)が臨床試験を実施する。

(Chachan 訳・Dr.くま 監修)

 

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